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2017.09.28

乳がんの権威「福田先生」に聞いてきました。~乳がんの基礎知識編~

ワコールピンクリボン

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先日行った座談会「みんなは乳がんのこと、どう思ってる?乳がんについて語り合おう!」では、乳がんについてたくさんの疑問が出てきました。そこで気になったことを、聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニックで、院長をなさっている福田 護(ふくだ・まもる)先生にお話を伺ってきました。

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聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニックは、日本初の乳がん診療に欠かせない画像診断設備を併設したブレスト&イメージングセンターです。
ブレストとは乳房のこと、イメージングとは放射線や超音波を使った診断法のことです。世界最高水準のケアをモットーに、高い知識と技術を兼ね備えたスタッフによる医療を提供し、日本で乳がん診療の中心施設になることを目指します。

お伺いしたお話を前編・後編に分け、今回の前編では、「乳がんの基礎知識」をご紹介します。

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\インタビューの前に乳がんについて語り合いました!/

そこで出てきた質問をもとに先生に乳がんのことを教えていただきました。

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乳がんの基礎知識

ちーちゃん:「乳がん」について、関心を持つ女性が増えてきていますが、私たちのような医療の知識がない女性は、きちんと理解していないことが多いと思います。インターネットなどで気軽に触れられる乳がんに関する情報が、本当に正しいのかもわからないので不安に感じることもあります。今日は、そんな女性の代表として、福田先生にお話をお伺いできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

福田先生:はい、よろしくお願いいたします。

ナリちゃん:乳がんは乳房のどこに、どうやってできるのですか?

福田先生:乳がんは、「ミルクを作る・運ぶ管(乳管)」にできます。管の内張にできたのが「非浸潤性乳がん」で、管を破って外にまで出たのが「浸潤性乳がん」と呼ばれます。

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福田先生:乳管の内側だけにがん細胞がある場合には、「超早期発見」であり、ほぼ全例治るがんです。この場合でも、胸にしこりができることがあります。乳管の外には血管やリンパ管が存在するため、乳管の外まで出ると転移を起こす危険性がでてきます。
「乳がんで全身治療」と聞くと、驚く方もいらっしゃるのですが、この危険性を少しでも減らすために行います。

ナリちゃん:乳管の内側にできたがんは検診でわかるものなのですか?

福田先生:乳がんの検査をすると、カルシウムの粒が白く映ります。これを「石灰化像」といいます。
がん組織は、特徴的な石灰化像をしています。乳がんの約15%を占める「非浸潤がん」の多くは、石灰化像でみつかります。

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乳がんに関する疑問

ナリちゃん:胸が大きかったら乳がんになりやすいというのは本当でしょうか?

福田先生:よくいわれることではありますが、これは関係ないですね。
乳房の大きさは、乳腺組織より脂肪組織の量に左右されることが多く、乳腺組織からできる乳がんにはあまり影響しないからです。
ただ、太った人には乳がんがやや多いため、太って乳房の大きい人は少しなりやすいかもしれません。

ナリちゃん:乳がんになりやすい人の特徴ってありますか?

福田先生:乳がんは、「栄養状態が良い」となりやすいです。
出生体重が重くて大きく生まれた子は、乳がんになりやすいと報告されています。そして、思春期の身長が高い子というのも乳がんになりやすいですね。それと、初潮が早かったり、閉経が遅かった人というのも。また、初産が遅かったりホルモン補充療法をしているとリスクが高くなりますね。

ナリちゃん:年齢が若いと進行が速いと聞いたのですが本当ですか?

福田先生:それは都市伝説ですね。
乳がん組織を使って、がんの性格を診断します。
乳がんの性格が悪いと、年齢が高くても早く進行してしまう。
ホルモン剤治療が効くタイプは、性格が良いがんであることが多く、年齢が若くてもゆっくりと進行します。
つまり、「年齢は今のところは関係ない」といえます。

ナリちゃん:がん家系ってよく聞きますが、もし祖母や母が乳がんだったら自分も乳がんになりやすいですか?

福田先生:家族に乳がんがある場合、体質や生活環境が似ているため、乳がんになりやすいことが知られています。
また「遺伝性乳がん」と言って、特定の遺伝子が関与している乳がんがあります。

乳がんになったら、自分の家族にどんながんがあったかを書いてみてください。
この場合の「家族」は、第1度近親者・第2度近親者・第3度近親者です。

ちーちゃん:それって「何親等」というものと一緒ですか?

福田先生:「親等」とは違うものですよ。
遺伝子を持っている可能性があるかは、「家系図」を書くと良いですね。
この家系図には、「乳がん以外でもがんに罹った方とどんながんだったか」を書き入れます。

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ナリちゃん:ということは、乳がん以外のがんになった親族がいる場合も乳がんになりやすくなりますか?

福田先生:そうですね、乳がんはもちろんですが、卵巣がんやすい臓がん、そして前立腺がんなども対象になります。
ちなみに男性も乳がんになるんですよ。
また、思春期に男性も胸が大きくなるんです。
これは一時的なもので、中学生前後によく見られます。
本人は大変気にします。

乳がん検診に関する疑問

ナリちゃん:検診はいつから行けば良いんですか?

福田先生:リスクがない人はそんなに早くから行かなくても良いのです。
年代により異なりますので、こちらを参考にしてみてください。

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ナリちゃん:超音波検査とマンモグラフィ、どちらを受けた方が良いんですか?

福田先生:検診の場合、30代までは超音波検査を受け、マンモグラフィは40代から受けてください。マンモグラフィには被ばくがあります。また20代や30代では乳腺組織が多いため、マンモグラフィではがんがみつかりにくいということもあるからです。
2017年現在、自治体検診で40歳以上の方はマンモグラフィを受けることができます。自己検診とマンモグラフィを柱にすると良いでしょう。エコーはトッピングとして考えてください。検診は、若ければ若いほど良いのではなく、適切なタイミングに適切な検査を受ける必要があります。

ナリちゃん:でも、がん家系の人は早めの方がいいのではないですか?

福田先生:先ほどがん家系図を書いてくださいと言いましたが、第1度や第2度の近親者にがんに罹った方がいらっしゃる場合は早めに検診を受けてください。
一般的に乳がんが見つかるのが「2cm前後」ですが、ここまで育つのにがん化し始めてから約10年間かかります。例えば、母親が乳がんに罹った方の乳がん検診を受ける目安をご紹介するとこのようになります。

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マンモグラフィ検査時期の疑問

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ちーちゃん:30代はなぜマンモグラフィを受けなくてもいいのですか?

福田先生:実は30代はマンモグラフィが有効な証明がないんですね。
・救命効果の証明がない
・被ばくのリスクがある
・マンモグラフィでは見つけにくい
という3点から、30代の検診はエコー中心でも良いと考えています。
また、20代の乳がんの検診は非常にまれなので、セルフチェックだけで良くてエコーも不要です。とはいえ自身のリスクによって判断するのがおすすめです。
大切なことは、セルフチェックです。

乳がんのセルフチェックの注意点

ナリちゃん:セルフチェックって自分でするのと先生にしてもらうのと違いはありますか?

福田先生:セルフチェックでは、左の乳は右手しか使うことができませんよね。
けれども、医師だと両手を使うことができます。
また、乳がんのしこりを触った経験もあります。
とはいえ、本質的には変わらないです。

ちーちゃん:セルフチェックの注意点はありますか?

福田先生:セルフチェックでは、そんなに強く押す必要はないんです。多くの場合、しこりの位置は想像するより浅いです。
皮膚から1cm位、少し下のものに触れるような感じで。入浴時に、胸を手で洗うと良いですよ。

「固さ」や「しこり」に注意してくださいね。「痛み」を無視することはないんですが、痛みはあまり関係がありません。また、しこりだけではなく、「分泌物」も注意して欲しいポイントのひとつです。

ちーちゃん:分泌物ってどんな色ですか?特徴を教えてください。

福田先生:そうですね、ひとつは「血が混じったら」というのがポイントです。分泌物というのは、普通はサラサラしていたり乳白色だったりします。そしてもうひとつは、「片方の乳首の1ヵ所からでた場合」です。乳がんはひとつの細胞からでき、広がります。
乳首には15位の穴があるので、1ヵ所から出るというのは乳がんである可能性も考えます。

ちーちゃん:もしがんができているときにセルフチェックをした場合、触ることで増えたりしないのでしょうか?

福田先生:外的な刺激でがんが増えることはありません。 勿論、マンモグラフィでもがんは増えませんよ。

――終始にこやかに、そしてわかりやすくお話をしてくださった福田先生。

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福田 護 先生

昭和44年3月金沢大学医学部卒業、平成21年3月より、聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニック院長を務める。日本における乳がんの権威として知られており、ピンクリボン活動の草分け的存在。

情報提供:ワコール
監修:認定NPO法人乳房健康研究会

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