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2017.07.31

汚部屋がスッキリ!親の家を片づける技術|ミニマリストが実践した「BEFORE・AFTER」

東洋経済オンライン

親の家の片付け方にある「原理原則」とは?(写真:SAMURAI / PIXTA)

参照元:http://toyokeizai.net/articles/-/181336?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

親の家の片付け方にある「原理原則」とは?(写真:SAMURAI / PIXTA)

「帰省するたびに実家(義理の両親の家)の散らかりが気になっている」「親の健康状態が心配。介護などの準備として、そろそろ家を整えたい」「遺品整理に困っている」……親の家を片付ける事情は、家族の数だけあります。ただ、親の家の片付け方には、「原理原則」があると語るのは、自身も親(義父母)の家の片付けを経験したミニマリストのやまぐちせいこさん。『ミニマリスト、親の家を片づける』の著者でもあるやまぐちさんに、親の家がみるみる片づく5つの原則を教えてもらいました。

親の家の片付けだからこそやるべき原則

夫の仕事の都合で引っ越しが多かったこともあり、子どもが生まれてからもずっと賃貸暮らしを続けてきた私たち家族ですが、急きょ、親(私にとっては義父母)と同居することに。今まで同居していた親族が親の家を出ていくこととなり、私たち4人家族が、空いた二世帯住宅に引っ越すことになったのです。

ところが、実家はモノであふれ、家中にカビやホコリが積み重なり、玄関や廊下は足の踏み場がない……。言葉は厳しいかもしれませんが、世間的に言う「汚部屋」の状態になっている部屋もありました。しかも、モノが多すぎて居場所がなくなり、義父母が別居するという状態。想像を絶する大変な状態だったのです。

そんな中、実家の片付けをスタート。ひたすら「モノを捨てる」ことで、親の家は劇的な変化を遂げました。

ただし、親の家の片付けは、自宅の片付けとは事情が異なります。何しろ今も親が生活しているのですから、好き勝手に片付けを進めるわけにはいきません。ここでは、「親の家の片付けだからこそやるべき原則」を5つ紹介しましょう。

【原則①】捨てるが先、考えるのは後

汚部屋がなかなか片付かない家は、「考えすぎて結局捨てられていない」場合が多いです。「そんなこと、当たり前じゃないか」と思われるかもしれませんが、「捨てるが先、考えるのは後」という片付けの鉄則が、意外とできないのです。

親の家の片付けは、遺品整理などある日突然始まります。私の今回の片付けもそうでした、理想の暮らしを考える前にとにかく捨てなければ、何も始まらないのです。

捨てることは、物事の優先順位を決めることです。捨てて、捨てて、捨てて、捨てて……その先に残ったものこそが、その家に本当に必要なもの、その家の価値観に合ったものです。そういう意味では、捨てることで、あえて「理想の暮らし」を考えなくても、おのずと自分の部屋のスタイルが決まってくるともいえます。

私の義母はもともとたくさんの「いただき物」を捨てられず、ため込んでいる人でした。結果、自分は何が好きなのかもあまり考えないまま、「もらったから」という理由で、ピンクのこたつ布団や柄物の掛け布団など、派手なインテリアに囲まれた部屋で暮らしていました。

ところが、いらないモノを捨てた結果、部屋の趣味が驚くほどシックに変わっていました。本人曰(いわ)く「もらいものを飾るうちに、どんどん物が増えていった」とのこと。義母は捨てることによって、ほんの少しですが自分にとって大事なものがわかったようです。

具体的にゴールを決める

【原則②】片付けの「終わり」を具体的に決める

「最終的に、どんな部屋、暮らしを目指すか」というゴールは、具体的に決めておく必要があります。わが家の場合は、次の4つが具体的なゴールでした。

① 別居している義母を家に帰す(そのために、義母が戻ってきて暮らせるように、亡くなった祖父の家を片付ける)

② 私たち家族が二世帯住宅に住めるようにする

③ 人を呼べる家にする

④ 家族みんなで、庭でバーベキューをする

これは、親の家を片付け始めるときに、義父母と話し合って決めたものです。片付ける前のわが家には、このような現実がありました。

① 家がモノであふれ、義母の居場所がなく別居していた(亡くなった祖父の家は2年間放置)

② 引っ越しの荷物が運び込めないほど、先住の親族のモノが残っていた

③ トイレが汚いことを嫌がって、孫や近所の人があまり寄り付かなくなっていた

④ 庭にモノがあふれていたため、バーベキューの道具を出す場所がなかった

親と一緒にゴールを考えるときは、とにかく、言葉の定義をあいまいにしないことが大切です。「お父さん、お母さんが安全に暮らせる家にする」。これだけだとNG。安全といっても人によって考えていることが違うので、どこまで片付けるかがはっきりしていません。「お父さん、お母さんが安全に暮らせる家にするために、玄関の床には何も置かない」。こうすれば、何をすべきかが明確になります。

片付けの「終わり」も明確になる

ゴールが具体的であればあるほど、親子がお互いに「あれができていない」「これができていない」とイライラすることもなくなります。「床には何も置かない」がゴールであれば、棚が片付いていなかったとしても、大目に見てしまっていい。やるべきこととやらなくていいことの線引きができるので、片付けの「終わり」も明確になります。

わが家の場合も、事前にゴールを決めたことによって、共通のイメージをもって片付けを進めることができました。祖父が亡くなってから2年間放置されていた部屋もキレイになり、今ではその部屋に、義母が暮らしています。また、モノがあふれていた庭も片付き、バーベキューができるようになりました。

(写真提供:KADOKAWA)

参照元:http://toyokeizai.net/articles/-/181336?page=3

(写真提供:KADOKAWA)

(写真提供:KADOKAWA)

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【原則③】「モノごと」ではなく「部屋ごと」に片付ける

私はこれまでに自分の家の引っ越しをするときなどは、書類は書類、服は服という感じで「モノごと」に片付けをしていました。今も自分の家を片付けるときは、このやり方がいちばん合理的だと思います。しかし、親の家の場合には、「モノごと」の片付けは向いていません。「部屋ごと」に片付ける理由は2つ。

・親の家は、生活に無理が生じないようにしながら片付けなければならないから

・親の「安全、健康」を考えると、玄関、トイレのような生活動線の確保が必須だから

モノごとに片付けるとしたら、一度大量のモノを、1カ所に集める必要があります。親の家でこれをやろうとすると、あらゆる場所にモノがあふれかえり、親子共々「寝る場所もない!」「足の踏み場もない!」ということになりかねません。

当然、そうした状況は高齢の親にとっては危険です。モノにつまずいたり、片付けの途中でモノが落下してきたりしてケガをする可能性もあります。そうならないためにも、1部屋ごとに片付けを「完了」させていくことが重要なのです。

親の家が広ければ広いほど、片付けには時間がかかります。仕事をしている場合、毎日は親の家に通えないでしょう。そういうときも部屋ごとに片付けていけば、途中で中断することができます。

触れてはいけない場所もある

【原則④】「ホットスポット」は触らない

子の立場からすると「明らかなゴミ」でも、いきなり捨ててはいけないモノも存在します。私はこれを親の「ホットスポット(言い換えると、地雷原)」と呼んでいます。

ホットスポットにはモノが大量にあるので、もし最初に捨てることができればスペースが大幅に空きますが、あえてここは後回しにしましょう。最初にこの地雷を踏んでしまうと、せっかく芽生えた親の「片付けよう」という気持ちが一気に消えてしまいます。ホットスポットには、次の3つの特徴があります。

① 親が迷わず「捨てたくない」と言う

② 同じモノが大量にある

③ 人生に通じるモノがある

義母は、夫婦2人だけの生活にもかかわらず、冷蔵庫4台、食器棚5台を所持していました。義母は料理を作ることがとても好きで、食器にもこだわりがあります。以前私に「料理をしているときが、いちばんのストレス解消になるのよ」と話してくれました。好きな料理に関係するからこそ、こんなにモノが増えてしまった。彼女にとってキッチンは、まさにホットスポットだったのです。

最初は私も「夫婦2人に冷蔵庫は1台で十分でしょう? 3台を捨てたらどうでしょうか? 明らかにゴミでは……」と言いそうになりましたが、ホットスポットだと気づいてからは、ぐっと我慢しました。結局今回の片付けでは、義母の家のキッチンにはいっさい触っていません。

一方で私は、義父のホットスポットを見落としていました。義父の地雷原は「未開封の贈答品」でした。義母と一緒に「これはバザーに出すから、中身を見て整理しよう」。ある日、倉庫の中に押し込まれた何十年も前の贈答品を整理しようとしたところ、義父の逆鱗に触れました。外に出された贈答品を全部捨てるのだと思った義父は、「使えるモノや人からいただいたモノを捨てるのは無礼だ! もう、片付けなくていい!」と怒り、倉庫の片付けはそこでストップしてしまいました。

ホットスポットのモノをどうするかに答えはありませんが、基本的に親が亡くなるまで、そのまま置いておくことをおすすめします。親の家の片付けは「すっきりするため」にやるのではありません。ホットスポットのモノを片付けて一時的に問題が解決したとしても、引き換えに別の何か――親の暮らしの潤い、生きがい、人生の足跡――を奪うことになります。それは、単なる暴力です。

根本から見直した部屋づくり

【原則⑤】「美しい部屋」より「わかりやすい部屋」をつくる


『ミニマリスト、親の家を片づける』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ミニマリストで、モノが少なくて、見た目が美しい。私がこれまで満足していた部屋は、本当に親にとって、家族にとって使いやすいのか。親の家の片付けをきっかけに、私は自分の部屋づくりを、根本的に見直すことになりました。

最も大きく変えたポイントは、「美しい部屋」へのこだわりを捨て、「わかりやすい部屋」にしたこと。見た目のこだわりを手放し、認知能力が低くなっても暮らしやすいこと、そして家族全員がモノの位置を把握できることを重視するようになりました。

わかりやすくするためのテクニックは、家の中のあらゆるモノを「見える化」すること。中身が見える収納用品を使ったり、ラベリングをしたりすることで、「誰が見てもわかる」部屋、収納をつくることができます。

「見える化」は隠す収納の真逆なので、見た目はごちゃごちゃします。正直、ミニマリストとしては「収納の中身は白1色にしたいなあ」と、納得いかない部分もあります。それでも親の「安全、健康」を第一に考え、たどり着いたのがこの原則です。

記事画像

やまぐち せいこ:ミニマリスト、主婦

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