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2017.07.01

年金を普通よりも40%以上多くもらう方法|これから年金をもらう人は知っておきたい

東洋経済オンライン

年金を普通より40%以上も多く受け取る方法があるのを知っていますか?(写真:freeangle/PIXTA)

参照元:http://toyokeizai.net/articles/-/177732?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

年金を普通より40%以上も多く受け取る方法があるのを知っていますか?(写真:freeangle/PIXTA)

公的年金については相変わらず悲観的な見方や記事が多いようです。たとえばネット上でも「年金激減! いま50代以下の人は逃げ切れない」「年金財政は破綻する!」などといった話があふれています。

しかし、私はそれほど悲観的に考えていません。もちろん「公的年金さえあれば老後は万全」というわけではありませんが、少なくともすぐに破綻するとか、もらえなくなるということはないと考えています。実は「年金破綻論」というのは私が30歳ぐらいだった40年近く前から言われ続けていますが、いまだに破綻はしていません。それはある意味当然です。なぜなら現役世代が払う保険料がそのまま、年金として支払われているからです。

年金は60歳から70歳までで、いつからでも受け取り可能

もちろん、労働人口が減れば年金の受け取り額が少なくなることは避けられませんが、制度そのものが破綻することはまずありえないと考えていいでしょう。それに公的年金というのは、受け取るに当たって意外と融通の利く制度になっています。ところがその便利さをあまり知らない人が多いように思えます。

公的年金は一部の人を除くと、今後支給開始されるのは65歳からです。ただ、65歳からでないと絶対もらえないのかというと、そんなことはありません。60歳まで繰り上げて受け取ることができます。逆に繰り下げることもでき、こちらも最大5年間繰り下げて70歳まで延ばすことができます。つまり「年金は65歳から受け取るもの」という固定観念にとらわれるのではなく、「60歳から70歳までの間、いつからでも受け取りを開始することができる」というふうに考えればいいのです。

ということは60歳で定年になった後、一切働かずに暮らすということであればそこから受け取りを始めてもかまいませんし、逆に65歳を過ぎてもまだ働き続けていて収入があるのなら、受け取りを遅らせることも可能なのです。

ただし、早く受け取り始めると年金支給額は減ります。具体的に言うと1カ月早めることで0.5%減額となりますから、仮に5年間受け取りを早めて60歳から受け取り開始にすると0.5%×12カ月×5年=30%、すなわち本来受け取れる年金よりも3割少なくなります。

「え! 3割も」と思われるかもしれませんが、逆に5年早く受け取れるわけですから、一定の年齢までなら、トータルの受け取り額は早くもらい始めることによって多くなります。具体的な損益分岐点は76歳です。つまり76歳よりも早く亡くなれば60歳からもらい始めたほうが多くもらえることになりますし、逆にそれ以上長生きすればトータル受け取り額は65歳からのほうが多くなります。

70歳開始なら、受け取り額はなんと42%もアップする

では逆に65歳から受け取らず、70歳まで繰り下げしたらどうなるかということですが、こちらは繰り上げとは逆に年金の受け取り額はアップします。先ほどの場合は1カ月早めることで0.5%のダウンでしたが、繰り下げる場合、1カ月遅らせることで0.7%アップします。ではこちらも最大限5年、すなわち70歳まで受け取り開始を遅らせると、0.7%×12カ月×5年=42%、何と70歳からの受け取り額は42%もアップします。

では、こちらの場合、遅らせると4割以上も支給額は増えると言いますが、5年も遅らせるのですからある程度長生きしないと65歳から受け取り始めたほうが得だということになります。ではこの場合は何歳でトータル受け取り額が逆転するかといえば81歳です。この年齢は男性の平均寿命とほぼ同じくらいです。もちろん、それ以上長生きすれば「トータルの受け取り額」はどんどん広がっていきます。

よく「どっちが得か?」ということを言われますが、これは正直わかりません。なぜなら、何歳まで生きるかは誰にもわからないからです。したがって年金を損得で考えてもあまり意味がないのです。年金は貯蓄ではなくて保険です。長生きしたときでも生活に困らないようにするためのものです。だから支給は終身、つまり死ぬまでもらえますし、原資が枯渇しないように現役世代で保険料を賄う仕組みになっているのです。

結局、「これが絶対おススメ」という受け取り方があるわけではなく、どういう受け取り方が良いかは、その人の考え次第ですから自分で決めればいいのです。ただ、受け取り方にはこういう年齢の幅と選択肢とがあるということは知っておいてもいいと思います。

それに、考えようによっては5年我慢することで42%も増える(年利にすれば8%以上)のですから、こんなに利回りの良い資産運用はありません。下手に資産運用するぐらいなら、そのおカネを65歳から70歳までの生活費に使ったほうが有利と言えるかもしれません。

最大5年さかのぼって、まとめて受け取ることも可能


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さらにこれはあまり知られていないかもしれませんが、年金をまとめて受け取るという方法もあるのです。先ほど65歳から受け取る年金を70歳まで遅らせることができるという話をしましたが、そのためには何か特別な手続きがいるわけではありません。年金というのは請求しないと受け取れませんから、何もしないでいると自動的に繰り下げになります。

仮に65歳時点で考えて、「受け取りを70歳まで遅らせよう」と考えたとします。ところが3年ほど経って68歳の時に、何か大きな病気をしたり、まとまったおカネが必要になったりする事態が起きたとしましょう。

その場合、68歳で受け取るにあたって、本来受け取り開始になるはずだった過去3年分もさかのぼってまとめた金額で受け取ることもできます。もちろん、その場合はそれまでの金額もそこからの受け取り額も0.7%のアップ分はありません。つまり年金の支給請求というのは5年さかのぼることもできますので、「単に請求を忘れていた」として請求すればそれまでの未払い分をまとめて受け取ることも可能だということです。

このように公的年金の受け取り方には、かなり融通の利く部分があります。どういう方法がベストなのかはその人のライフプラン次第ですから、自分で考えて決めれば良いと思いますが、少なくともこういう選択肢は知っておいていいでしょう。

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大江 英樹:経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表

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