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2017.06.20

カリスマ栄養士が明かす「一流の食事」の秘密|「大事な決断の前はアーモンドを食べなさい」

東洋経済オンライン

脳が冴えるために必要な栄養素は?(写真:onairjiw / PIXTA)

参照元:http://toyokeizai.net/articles/-/176430

脳が冴えるために必要な栄養素は?(写真:onairjiw / PIXTA)

ランチを食べると眠くなって、パフォーマンスが下がる。飲み会のせいで、朝から体が重い。残業続きでまともな食事を取っていない。そんな悩みを抱え、疲労を感じながら仕事をする人がいます。しかし一方で、長時間労働をこなしながらも、エネルギーにあふれ、高いコンディションを維持している人がいます。両者の違いは、どこから生まれるのでしょうか。『世界のピークパフォーマーが実践する脳を操る食事術』の著者であり、荒川静香、高橋大輔、長友佑都などトップアスリートの栄養サポートを担当する、栄養士の石川三知さんが明かします。

あなたは昨日のランチで、何を食べましたか。覚えていた人はどれくらいいたでしょう。すぐに思い出せない人は、ルーティンでなんとなく食べているのかもしれません。しかし昨日食べた食事は、今日のあなたの「体の材料」になっているのです。

私は栄養管理士として、数多くのアスリートやチームを栄養面からサポートしてきました。2000年のシドニーオリンピックから2016年のリオまで、16年間で計8回のオリンピックで選手村にて仕事をしたり、選手に帯同して食事のサポートをしたり。そのなかで、自分に合った食事を見つけたことで、大きく飛躍した選手を何人も見てきました。フィギュアスケートの荒川静香選手、高橋大輔選手、陸上の末續慎吾選手、スピードスケートの岡崎朋美選手、サッカーの長友佑都選手……。トップ選手との出会いにも恵まれ、たくさんの気づきを得ることができました。

アスリートは自分の体を大切にしています。彼らは、試合が調子のよい状態で迎えられるわけではないことを知っているからです。試合とは、自分以外の誰かが日程を決めます。だからこそ、試合に自分を合わせてコンディションを整え、状態を上げていく、「ピーキング」が大事なのです。

ビジネスパーソンも同じではないでしょうか。体を壊して十分な準備ができない、当日体調が優れずお客さんの前で集中力を欠く、エネルギー切れを起こす……。それでは、結果は期待できません。

マインドフルネスも食事が悪いと台なし

ビジネスパーソンが日常で酷使する部分といえば「脳」でしょう。

資料をつくる、企画を考える、プレゼンテーションする、予算の計算をする……脳を使って行うものばかりです。つまり、ビジネスパーソンは脳のコンディションが大切、ということです。

最近はマインドフルネス(瞑想)を取り入れ、心を落ち着かせ、パフォーマンスを上げようとする取り組みが人気です。メンタルトレーニングを取り入れることは筆者も大賛成です。でも、それだけでは十分ではありません。脳の神経細胞や神経伝達物質をつくる材料が足りなければ、思ったようにはいかないでしょう。5人分のカレーライスをつくるのに、肉が3人分しかないようなものです。

では、脳が冴えるためには、どのような栄養素を取ればよいのでしょうか。

「イライラするのはカルシウムが足りないから」

よくこういう言葉を耳にします。これは、根拠のない話ではありません。神経伝達のメカニズムから考えると、実に理にかなっているといえます。

神経というのは、身体各部が受けた刺激を脳や脊髄に伝える、また、脳や脊髄の信号を末梢に送る、タンパク質でできた神経線維の束のことです。シナプスという、情報を出力する側の細胞と入力する側の細胞との間にすき間がある構造になっているため、情報の受け渡しを「神経伝達物質」が担います。

カルシウム・マグネシウムが思考力を最大化する

この伝達を正常に行うために、神経伝達や神経細胞の働きを促進しているのが、カルシウム、マグネシウム、ビタミンB群です。

カルシウムやマグネシウムが不足すると、システムが不安定になって情報がきちんと伝わらなくなるので、体にいろいろな不具合が出てきます。

何時間もパソコンの画面に向かっていたら、目の下がピクピク痙攣(けいれん)してきた。休日にサッカーの試合に出たら、後半足がつってしまった。こういう経験はありませんか。

これらは長時間、目や足といった体の特定の場所を使い続けたために、その部分のカルシウムやマグネシウムが減って、神経伝達システムが誤作動を起こした結果です。自分では筋肉を痙攣させたり、収縮させたりする命令など出していないのに、筋肉のほうは勝手にそういう信号を受け取ってしまっている。こうなると自分の意思ではどうにもなりません。

つまり、カルシウムやマグネシウムが不足すると、思いどおりに、頭や体を動かすことができないのです。

判断が鈍るのも、カルシウムやミネラルといった神経伝達に必須のミネラルが不足している可能性が高いといえます。ミネラル不足になる原因は、主に次の3つです。

1つは、ストレス過多。仕事のプレッシャーや人間関係、明るすぎる夜、騒音など、現代人は朝起きてから夜寝るまで、絶えずプレッシャーにさらされています。そして、人はストレスを受けると、体内のミネラルが急激に消費されます。

2つ目は、スナック菓子やファストフード。これらに含まれている白い砂糖や油脂は、カルシウムの大敵。しかも、そういった加工食品にはミネラルがほとんど入っていませんから、失われた分を補給しないかぎり、減ったミネラルはそのままになってしまいます。

3つ目は、日本の土壌。ミネラルが存在するのは水と土の中だけなので、人は通常、野菜などを食べて、それらを間接的に体に取り入れます。ところが、日本の土壌はほとんど火山灰なので、もともとミネラルの含有量が少ないのです。

大事な決断の前は、アーモンドとバナナを食べなさい

ミネラルが減りやすく、摂取しにくいという環境は変えようと思っても限界があります。どうすればよいか。そこで、食べ物です。 神経伝達に欠かせないのはカルシウムやマグネシウム、ビタミンB群ですから、それらを多く含む食品を食べればよいのです。 まずは、大豆製品、海藻、ジャコ、桜エビ、アーモンドを、意識して多めにとる。 乾物・乾燥類としては、切り干し大根やヒジキの煮物、切り昆布の煮物といった総菜がおすすめです。コンビニでも買うことができます。また、豆類としては、サラダビーンズをサラダはもちろん、スープや炒め物に追加するのもよいでしょう。


『世界のピークパフォーマーが実践する脳を操る食事術』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

小腹がすくと条件反射的にチョコレートのようなお菓子を食べていた人は、それをバナナやおにぎりに替える。缶コーヒーをやめて果汁100%のオレンジジュースにする。これを習慣にすれば、仕事のミスの回数は必ず減っていきます。

最近ストレスがたまっているという自覚があるなら、いつもの朝食やランチにヨーグルトや生野菜を加えてみてください。カルシウムやマグネシウムのサプリメントを飲んで補うというのもいいアイデアです。

心を落ち着けようとマインドフルネス(瞑想)やヨガを始めても、カルシウムやマグネシウムが減っている状態では、効果は期待できません。ならかご参考になればと思います。

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石川 三知 :Office LAC-U 代表、Body Refining Planner