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2016.07.29

【津下先生のメタボの本質③:特定保健指導】減量すれば、腹囲だけでなく、「血圧」や「中性脂肪」も改善!

津下一代

健診でメタボと言われたら、「特定保健指導」のお知らせが届きます。さて、実際どんな指導で、効果はどのくらいあるのでしょうか?
糖尿病・肥満を専門とし、厚生労働省における「標準的な健診・保健指導プログラム」や「運動指針」等の策定にも携わる、あいち健康の森健康科学総合センター・センター長 津下一代先生が、メタボに悩むあなたに知ってほしい基礎知識をわかりやすくご紹介する連載記事です。

3~4%の減量で、体重だけでなく血圧や中性脂肪も改善

「そろそろやらなくっちゃって思っていたところでした」。健診でメタボと判定され、特定保健指導を受けられた多くの方がおっしゃる言葉です。

ベルトがきつくなり、検査値も徐々に悪化し始めた。運動不足も感じているし。食事を少しは意識しているけど、なかなか減る気配はないし…。そこへ保健指導のご案内が届くというわけです。

2008年度に始まった本制度。年間約78万人が特定保健指導を利用します。検査値の改善が期待できる3〜4%減量を目標として、エネルギー収支をマイナスにする行動目標を立てます。

体に必要な栄養素は確保しつつ余分な摂取エネルギーを減らし、運動消費量を増やすこつを体得します。体重が1〜2キロ減ったら、いったん安定させることも大切。無理に急いで減らすと、脂肪よりも筋肉を落としてしまい、基礎代謝の低下につながるからです。

国や医療保険者などでは健診データを分析し、保健指導の効果を検証しています。データを比較すると、保健指導を受けた人のほうが、体重、腹囲だけでなく、血圧、中性脂肪などが下がっていることが分かりました。血糖値は保健指導を受けない群で高くなるのに対し、受けた群は改善しています。

保健指導のご案内は生活習慣改善のチャンス!

<著者プロフィール>

■津下一代(つした・かずよ):
昭和58年名古屋大学医学部医学科卒業、国立名古屋病院内科(内分泌代謝科)、名古屋大学第一内科での臨床・研究活動を経て、平成4年愛知県総合保健センターに勤務、12年あいち健康の森健康科学総合センター、23年より同センター長兼あいち介護予防支援センター長(現職)。医学博士、日本糖尿病学会専門医・糖尿病療養指導医、日本体育協会公認スポーツドクターなどの資格をもち、糖尿病、肥満、スポーツ医学の専門医として活躍。日本肥満学会理事、日本人間ドック学会理事、厚生労働省にて日本健康会議実行委員会委員をつとめ、「標準的な健診・保健指導プログラム」や「運動指針」等の策定に携わる。主な著書に「しなやか血管いきいき血液―健康寿命をのばすために知っておきたい65のはなし」「図解 相手の心に届く保健指導のコツ―行動変容につながる生活習慣改善支援10のポイント」など。その他、「NHKきょうの健康 コレステロール・中性脂肪対策のごちそう術」の監修も務める。

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