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2017.04.30

「自宅のモノ溢れに悩む人」はトヨタ式に学べ|しまいこんだ高級品はあえて使ってしまおう

東洋経済オンライン

「なぜコレがこんなところに」という不要なモノに占領されたスペースが存在しませんか?(写真はすべて筆者提供)

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「なぜコレがこんなところに」という不要なモノに占領されたスペースが存在しませんか?(写真はすべて筆者提供)

「減らす」=「捨てる」ではない

「とにかくモノが捨てられなくて困っています。前の引っ越しの荷物がそのままで……」

そんな依頼をいただき、大学講師として忙しい日々を送る40代のEさんのお宅に伺ったときのこと。一人暮らしには広すぎる2LDKには、住んで5年以上たっているというのに、引っ越し用段ボールがゲームオーバー寸前のテトリスのように、天井近くまで積み重なっていました。

Eさんのように、なんとか部屋を広く使えないかと試行錯誤している割に、頻繁に使わないモノのストックが大量にあったりしませんか? 「なぜコレがこんなところに」という不要なモノに占領されたスペースが存在しませんか?

私は「ライフオーガナイザー」という職業に就いています。初めて耳にする方もいらっしゃるかもしれません。もともとはアメリカで生まれた職業で、「思考と空間の整理の専門家」といわれていますが、要は「片づけの専門家」として、日々お客様の相談に乗っています。

私は幼いころから物事のしくみを考えるのが大好きな「リケジョ」でもあります。大学卒業後「アイシン・エィ・ダブリュ(AW)」というトヨタ自動車のグループ企業に入社し、7年間カーナビ事業部に勤めました。

ところが、仕事に夢中になる時期と結婚が重なったため、仕事と家事の両立に悩む日々。そこで、グループ会社全体に浸透していた「トヨタ式」と呼ばれる5つの仕事の効率化ロジックを家での片づけに取り入れてみたところ、短期間で効果が出ました。

トヨタグループには、モノづくりのベースに「カンバン方式」という手法があります。各企業が広大な工場を持っているにもかかわらず、在庫を極力持たず、必要なときに必要な分だけ作り、定期的に棚卸を行い、在庫の状態をチェックするのです。

拙著『トヨタ式おうち片づけ』でも詳しく紹介しているのですが、この「カンバン方式」の考え方をベースに、私が推奨している手法の1つが「片づけのムダとり」。それはモノの発見・活用によって空間を広げることです。同じ空間に住んでいると景観に慣れてくるので、不要なモノがあっても「この状態が当たり前」と思ってしまいがちです。でも、少し下がって俯瞰して見ると「ムダの発見」が正しくできるようになります。

Eさんの話に戻りましょう。私には段ボールの山よりも気になったことがありました。段ボールに寄り添うように、いろんなモノが置かれていたことです。

・買いモノついでに買ったお風呂洗剤のストック
・先月の出張で使った資料の束
・定期的に届く大量のサプリメントと化粧品
・お葬式で持ち帰ったのりとお茶のセット
・昨日使った通勤バッグ
そういった、「毎日少しずつ持ち帰った何気ないモノ」が段ボールにもたれかかるように置かれるため、少しずつ段ボールの山の「すそ野」が広がっていくのです。「モノがモノを呼ぶ」とはまさにこのこと。同じように部屋の中に伏魔殿ならぬ「伏ゴミ殿」があるという人は多いのではないでしょうか。

モノを捨てられない方には、漠然とした「捨ててしまうことへの不安」があります。「片づけるということは、捨てなきゃダメなんですよね?」と聞かれることが多いのですが、答えは「NO」。必ずしも捨てる必要はありません。では、どうすればよいのでしょうか。

ズバリ「減らす・生かす」のです。

減らし方は、全部で3つ。

(1) 分ける

(2) 「1軍」へ昇格させる

(3) 自由に使える空間を広げる

そして、生かし方も全部で3つ。

(4)使いきる

(5)流用する

(6)譲る

この(1)~(6)を行うことで、家の中のムダ取りを行います。

「毎日使う/週1/月1/年1」で分けるとうまくいく

トヨタグループでは、モノの置き場所を「使う頻度別」で決定しています。でも、家の中は仕事と違ってくつろぐための空間ですから、雑貨などは使用頻度では分けにくいですよね。そういうモノは「好き」「嫌い」という軸で分ける作業を行うのですが、明確に使用頻度で分けて収納するとよい場所として具体例を1つ紹介しましょう。食卓用のナイフやフォーク、スプーン、箸などを収めている「カトラリーケース」です。

・はし
・スプーン
・フォーク
・ナイフ
・その他
以前、4人家族のお客様の家で、フォークだけで20本もあったケースがありました。これはよくある例です。この数を使用頻度で分けてみましょう。

毎日使うのは1~2本。そして残りは年に1回ほど来客があったときに使うかも? 程度。そう考えると「来客にフォークを出す」というケースは非常に少ないことがわかります。毎日使う1、2本と、年に1回あるかないかの来客用が同じケースに収納されているということが問題なのです。これだと、毎日の1、2本を取り出すのに、来客用をよけるようにして探し出すことになり、毎回数秒のロスが発生します。

来客用はカトラリーケースの奥に「来客専用カトラリーボックス」を作ってそこに入れる

参照元:http://toyokeizai.net/articles/-/168865?page=3

来客用はカトラリーケースの奥に「来客専用カトラリーボックス」を作ってそこに入れる

これは、「分ける」ことで簡単に解決できます。

わが家では毎日使う1~2本だけがカトラリーケースに入っているので、視線をそこに向けなくてもフォークが取り出せます。そして来客用はカトラリーケースの奥に「来客専用カトラリーボックス」を作ってそこに入れるようにしています。

高級品は「しまい込む2軍」からあえて「毎日使う1軍」へ

片づけの現場で私がいちばんワクワクするとき、それは「キッチンの吊り戸棚」と「押し入れの天袋」を片づけるときです。そこには住んでいる本人もすっかり忘れていたお宝が眠っていることが多いためです。

よく出てくるのが「ワイングラス」「食器」「コーヒー豆や茶葉」「缶詰」「高級タオル」。引き出物やお中元・お歳暮でのいただきモノですね。自宅で使うつもりがあるなら、今すぐ封を開け、現状使っている1軍と取り換えましょう。ワイングラスに関していえば、グラスが違うだけで、香りと味が全然違ってきます。コーヒー豆なども鮮度がいいほうが、おいしいコーヒーになるに決まっています。今日からさっそく使っていきましょう。

「でも、来客用だからふだん使いはちょっと……」と思われたのではありませんか?

年に1回あるかないかの来客のためにステキな食器や新鮮なコーヒー豆を保管し、ふだんの生活は100円ショップのカップでインスタントコーヒー。一生懸命片づけた後でも、あなたはそんな暮らしを望んでいるのでしょうか?

ぜひ、来客用の高級品をふだん使いの1軍へ昇格させてあげてください。そして、本当に来客があったときだけお客様にその食器を使ってもらうのはどうでしょう。

「でも、ふだん使いにすることで割ってしまったら……」と思う方もいるでしょう。私にいわせると「使わずにしまってある」のと「割ってしまって使えない」のは同じこと。言うまでもなく、モノはたくさん使ってこそ意味があるのです。

ぜひ、「来客用はふだん使ってはいけない」という思い込みを外してみてください。

また、この「しまいこんでいた2軍」を「毎日使う1軍」に昇格させることで、「吊り戸棚」「天袋」のスペースがガラッと空きます。「分ける」で2軍行きになったモノたちを収納する場所が確保できるのです。

これにより、片づけ前はどの引き出しもギュウギュウだったという人でも、

・1軍はお気に入りのモノでゆったり収納

・2軍は少し手の届きにくい場所にまとめて収納

「モノを大切にする」


『トヨタ式おうち片づけ」(実務教育出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

「モノを捨てられない人はモノを買いすぎ」だと何度もお伝えしていますが、そういう方はもともとのストック数が多いのが特徴です。

お客様と一緒に片づけをしているとき、必ず出てくる大量の消耗品。

・化粧品/ヘアケア商品の試供品
・歯ブラシ
・旅館のお泊まりセット
・割りばし・スプーン
・ポケットティッシュ
・粗品のタオル
・エコバッグ
・スーパーのレジ袋
・ワサビ、からしのたれ
「モノを大切にする」ことについて、ここで一度考えてみましょう。
「宝物箱」に入れて押し入れの奥に置いておくことって、本当に大切にしていることになるのでしょうか?

お客様の家では、ティーカップなど、高級なモノであればあるほど使わずにひっそりと保管されています。皆さん口をそろえて「もったいないから使えない」とおっしゃるのですが、正直「何のために買ったんだろう……」と思わずにはいられません。

高価だからこそよく使うモノの代表として有名なのが、ペルシャ絨毯(じゅうたん)です。ペルシャ絨毯は踏めば踏むほど強度が増し、古くなればなるほど格が上がるといわれています。そのため、わざと人がよく通るホテルのエントランスに置かれていたりします。

わが家にも、ペルシャ絨毯と同じイラン製の「ギャッベ」という絨毯があります。夏はさらりとして冬は保温効果に優れ、100年以上の耐久性があります。

踏めば踏むほど強度が増し、古くなればなるほど風合いが出るイラン製のギャッベ

参照元:http://toyokeizai.net/articles/-/168865?page=4

踏めば踏むほど強度が増し、古くなればなるほど風合いが出るイラン製のギャッベ

こちらも、購入当初はゴワゴワした手触りでしたが、私が家族に口酸っぱく「フローリングの上に立つならギャッベの上に立って」と言っていたこともあり(笑)、いまやほおずりしたくなるほどのしなやかさになりました。

私は、高価なモノであればあるほど「つねに誰かが使っている人気モノ」になるべきだと思っています。価格を飛び越えるくらいの使用頻度があって初めて、「これは買って正解」と思うのではないでしょうか。

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香村 薫:ライフオーガナイザー/ミニマライフ.com代表

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