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2017.04.09

「自宅を片づけられない人」はトヨタ式に学べ|モノの適正量を知れば、もう悩まなくて済む

東洋経済オンライン

「片付けの専門家」が取り入れている方法とは?(写真はすべて筆者提供)

参照元:http://toyokeizai.net/articles/-/166392?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

「片付けの専門家」が取り入れている方法とは?(写真はすべて筆者提供)

新年度がスタートして1週間余り。気分一新して職場で働くこの季節ですが、自宅に帰れば「家がグチャグチャ」「モノが多すぎて何から手を着けていいかわからない」などと密かに悩んでいる人も少なくないでしょう。

私は「ライフオーガナイザー」という職業に就いています。初めて耳にする方もいらっしゃるかもしれません。もともとはアメリカで生まれ、「思考と空間の整理の専門家」といわれておりますが、要は「片付けの専門家」として、日々お客様の相談に乗っています。

私は幼いころから物事のしくみを考えるのが大好きな「リケジョ」でもあります。大学卒業後「アイシン・エィ・ダブリュ(AW)」というトヨタ自動車のグループ企業に入社し、7年間カーナビ事業部に勤めました。

短期間で効果が出る「トヨタ式」とは

ところが、仕事に夢中になる時期と結婚が重なったため、仕事と家事の両立に悩む日々。そこで、グループ会社全体に浸透していた「トヨタ式」と呼ばれる5つの仕事の効率化ロジックを家での片付けに取り入れてみたところ、短期間で効果が出ました。

拙著『トヨタ式おうち片づけ』でも詳しく紹介している、私が編み出した手法はとてもシンプル。「片付けの方法論(ロジック)」とロジックのカギになる「モノの数を決めること」の2つだけ。ロジックを理解することで納得できるため、片付けへの迷いがなくなり、モノの数を決めることで具体的なゴールが設定できるので、一歩前に踏み出すきっかけになります。

「トヨタ式」のロジックを家での片付けに取り入れました

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「トヨタ式」のロジックを家での片付けに取り入れました

トヨタグループの製造現場では、必要な時に必要なだけ使うために、モノが効率よく整理整頓されています。これは、モノの「見える化」が徹底されているためです。「見える化」とは、簡単にいうと「関係者が状況を一瞬で把握できるようにする」こと。製造工場に限らず、技術、事務、販売などあらゆる職場で実施されています。

私はこの「見える化」を家の片付けに取り入れる時に「モノの適正量」に注目しました。今までは、すべてのモノをひとつずつ手に取り、順番に「好きか嫌いか」「必要か不要か」といった判断基準で分けることが多かったのではないでしょうか? これだと、「いったん片付いた!」という解放感でついまた買ってしまい、気づくと再びモノであふれた空間にリバウンドしてしまいます。

私は小さい頃からモノを厳選して暮らしていたので、モノの適正量に敏感でした。持っているモノの数には、必ず理由があります。そして、私が片づけをアドバイスしているお客様に「モノの適正量を決めましょう」とお伝えすると、ほとんどのケースでお客様の「片づけスイッチ」がONになることを体感しました。自分(家族)の数値が決まれば、手を動かしやすくなるのです。

ひとつ買ったらひとつ捨てる、では永久に片付かない

「ひとつ捨ててから、ひとつ買う」を実践してみてください

参照元:http://toyokeizai.net/articles/-/166392?page=2

「ひとつ捨ててから、ひとつ買う」を実践してみてください

当たり前ですが、モノは家の中に勝手にやってくるわけではありません。誰かが持ち込んでいるのです。

ダイエットに例えれば、食べていないのに体重がリバウンドすることはないのと同じ。もちろん、自分の意志で食べているのです。片付けのリバウンドも原因は同じ。結局は「買いすぎ」なのです。

買いモノが趣味という方。買う前に、家からモノを出す作業をしていますか? 「ひとつ買ったらひとつ捨てる」では自分に甘くなり、結局捨てられません。ぜひ「ひとつ捨ててから、ひとつ買う」を実践してみてください。買い忘れても生活に支障がないことに気づいて、結局買わないですむ、ということに気づくと思います。

「買いモノ好き」は暮らしを変えたい願望の表れ

買っているものにかたよりがあるケースがほとんどです

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買っているものにかたよりがあるケースがほとんどです

買いモノが好きという方、自分がどうして買いモノが好きなのか、きちんと考えたことはありますか?

実は服ばかり買っているなど、ジャンルに偏りがあるケースがほとんどです。特定のジャンルのモノを買うことで「何か(うまくいかない)状況が変わるはず」という思いが購買意欲を増長させているケースがあります。

私は基本的に買いませんが、楽天のタイムセールをのぞく時は、キッチンジャンルを集中的に見てしまいます。それは、私自身が料理に対して苦手意識を持っているからだと思います。

・コレがあれば、苦手な料理が楽しくなるのでは?

・コレを使えば、料理がもっとおいしくなるのでは?

と、無意識のうちに探しているのです。自分自身が腕を磨くことなくモノに頼るのは簡単ですが、モノが増えることで作業スペースが狭くなり、洗い物が増えます。これでは本末転倒ですね。そこで私がいつもやっているのが、「すべてのモノを並べ、自分にとってのほどよい数(適正量)を決める」というやり方です。

タオルの枚数は、モノの管理力のバロメーター

タオルを何枚持っているか把握していますか

参照元:http://toyokeizai.net/articles/-/166392?page=3

タオルを何枚持っているか把握していますか

あなたは、自分がタオルを何枚持っているか、すぐに答えられますか?

そしてそれは、あなたにとって本当に適正な量でしょうか? この問いに自信を持って答えられる人は少ないはず。逆にいうと、ほとんどの人が片付けてもリバウンドしてしまう可能性があるということ。

片付けに時間を費やしたり、大金を払って代行してもらったりする前に、必要なモノの「適正量」を決めるのが先決です。

適正量の決め方はいたって簡単、次の3ステップです。

ステップ(1)ひとまずモノを全部出す

まず、量を決めたいモノを1カ所に集めます。こうすることで、自分の脳にモノの多さをしっかり認識させます。ほとんどの人はこの量の多さを見て「やっぱり、なんとかしないとヤバい」という気になりますが、どこかに隠れてしまうと、「臭いモノにはフタ」にしてしまいがち。モノの全貌が見えた時が、ほどよい量を決めるチャンスです。

ステップ(2)コンセプトで分けて数える

適正量の決め方は簡単

参照元:http://toyokeizai.net/articles/-/166392?page=4

適正量の決め方は簡単

次に、1カ所にまとめたモノを、季節のモノや使う人、使う目的などで分けていきます。分け方が思いつかない場合、服であれば、着るシーズンや仕事・プライベートで分けてみてください。こうすることで、どんなシーンでどんなモノが使われているか、使われていないかを、目で見て、手で触れて実感できます。

ステップ(3)ほどよい量を決める

最後に、「見える化」を行い、あなたにとって何がどれだけ必要かを考えます。適正量を感情で決めることは難しいので、日本では現在4人家族よりも多い核家族(両親+子ども1人)の適正量を元にお話ししていきます。

ただし、最終的にはあなたの価値観で決めてください。適正量がなかなか決まらない場合は焦らず、もう一度自分(と家族)の価値観を振り返ってみてください。どんな生活を送りたいのか? 大切にしたいものは何か? それらが具体化すれば、何がどれだけ必要かが必ず見えてきます。

冷蔵庫はどう片付ける?

冷蔵庫の片付け方をご紹介しましょう。

冷蔵庫編(食材)

ステップ(1)全部出す

初めに、冷蔵庫に入っているモノをすべて出します。

ステップ(2)並べる・数える

冷蔵庫に入っているモノは基本的に食べ物。出しながら「賞味期限・消費期限のボーダーラインを超えているかどうか」を基準として分けてみましょう。

ボーダーラインをクリアしたモノについては、自分の価値観に沿って分けていきます。あなたは、「食事を作る」ことについて、どんな価値観を持っていますか?

・子どものおやつは手作りしたい

・子どもやパートナーへのお弁当を作り続けることが愛情の証

・一汁三菜、栄養を意識した食事が大切

・朝ご飯は必ず家族みんなで食べる

というように、さまざまな価値観をお持ちのことと思います。

カテゴリーで分ける

その場合は、

・子どものおやつは手作りしたい → おやつセット置き場

・お弁当を作り続けることが愛情の証 → お弁当セット置き場

・一汁三菜、栄養を意識した食事が大切 → 常備菜置き場

・朝ごはんは必ず家族そろって食べる → 朝食セット置き場

というカテゴリーで分けて並べるようにしましょう。

一方で、

冷蔵室は7つのカテゴリーに分けています

参照元:http://toyokeizai.net/articles/-/166392?page=5

冷蔵室は7つのカテゴリーに分けています

・お腹が満たされればメニューにはこだわらない

・お菓子が大好き

・夜はお酒を飲むので、おつまみだけでいい

といった価値観の方もいると思います。その場合は、

・食事はおなかが満たされれば内容にはこだわらない → インスタント食品置き場

・お菓子が大好き → お菓子置き場

・夜はお酒を飲むので、おつまみだけでいい → ビールとおつまみ置き場

といった具合です。これらを参考に、自分(と家族)にとって必要なカテゴリーに分けていきましょう。

参考までに、香村家のカテゴリーをご紹介します。わが家は冷蔵室を7つ、冷凍室を5つのカテゴリーに分けています。

【冷蔵室】
(1)乾物(昆布やヒジキ、パスタなど)
(2)ドリンク類(お茶パック、紅茶のティーバッグ、コーヒーフレッシュ、角砂糖)
(3)お菓子(あめやラムネ、小分けになったお菓子、お土産でもらったクッキーなど)
(4)ご飯のお供(海苔、ふりかけ、梅干し、納豆)
(5)朝食セット(ヨーグルト、バター、ジャム、チーズ)
(6)スパイス類(ワサビやカラシのチューブ、バジルやローリエなど)
(7)その他(どこにも行き場のないもの)
粉類(小麦粉や片栗粉、砂糖・塩など)と今飲んでいるドリンク……右ポケット
調味料……左ポケット
【冷凍室】
(1)肉
(2)魚
(3)パン
(4)野菜
(5)その他

「どれだけ捨てているか」で考える

ステップ(3)ほどよい量を決める

冷凍室は5つのカテゴリーに分けています

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冷凍室は5つのカテゴリーに分けています

次に、適正量を決めていきます。冷蔵庫に関しては簡単。「毎日どれだけ食品を捨てているか」を考えればいいのです。前回の買い物から次に買い物に行くまでの期間で、廃棄したモノが金額に換算してざっといくらになるかを計算してみましょう。

消費者庁の調査によると、家庭において「まだ食べられるのに廃棄される食品」は、国民1人当たり毎日お茶碗1杯分もあるそうです。仮に、お茶碗1杯のごはんを廃棄すると、1杯当たり約32円に相当します。1カ月だと960円。3人家族だと1カ月2880円です。これに、カビが生えたりしてもう食べられないものも加えると、毎日どれだけ廃棄していることになるのでしょう。


『トヨタ式おうち片づけ」(実務教育出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

私の場合、恥ずかしながら適正量を意識する前は、廃棄量が今の2倍ほどありました。今は、冷蔵庫のモノを使わずに捨てることはまずありません。大人が食事を残すこともほとんどありません。

ただ、子どもが食べると思っていた量を食べなかったというケースがあり、毎日家族5人でお茶碗1杯分ほどロスが出ています。作る量や盛りつける量に気をつけて、少しずつ適正量を見極めていきたいところ。

この要領で玄関、クローゼット、キッチン、洗面所などに展開していくことで快適な空間が生まれていくのです。

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香村 薫:ライフオーガナイザー/ミニマライフ.com代表

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