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2017.04.13

女性従業員が約9割!ワコールの健康経営とは?【訪問!健康企業/健保vol.1・後編】

KenCoM編集部

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▼前編はこちら

新連載「訪問!健康企業/健保」で第1回に登場するのは、経済産業省と東京証券取引所が共同で取り組む「健康経営銘柄」に、2年連続で選出された株式会社ワコールホールディングス。当記事では、その健康支援を約40年以上前より一手に引き受けてきたワコール健康保険組合にて、常務理事を務める柏木裕之氏に、健康保険組合の具体的な取組みや課題、さらに今後のビジョンを伺いました。前編ではがん検診受診率向上施策と禁煙推進施策についてご紹介してきましたが、この後編では生活習慣病予防や労働時間に関する取組み、ビジョンを語っていただきます。

<お話を伺った方>

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(右)ワコール健康保険組合 常務理事 柏木 裕之氏
(左)ワコール健康保険組合 健康開発チーム 課長 保健師 須山 有輝子氏

ワコールの生活習慣病予防・メンタルケアの施策は?

メタボ予備軍には早めの対策を

――生活習慣病予防の施策についてはいかがでしょうか?

もともと弊社ではそれほどメタボ予備軍の方は多くはないのですが、以前よりメタボ判定された対象者には「ヘルスアップチャレンジ」と名付けた特定保健指導の取組みを行っています。この保健指導は、メタボ判定とされた対象者は原則全員参加となっています。
他に食堂でのヘルシーメニューの提供、スポーツジムとの法人契約によって社員が安価で利用できる環境の整備などの取組みも積極的に行っています。

その他、メタボ健診のない20代30代に対しても、初めて肥満と認定されたときには「スマートボディチャレンジ」として、簡易版特定保健指導のような取組みに参加していただくことにしています。

――取組みのネーミングが素敵ですね。

メンタルチェックと保健師のきめ細かなフォロー

――長時間労働への対策やメンタルケアはどのように行われていますか?

長時間労働をする人はそれほどいない企業文化なのですが、PCのログイン情報から労働時間を会社で把握し、社外にいたとしてもその分もきちんと労働時間として記録させるような仕組みになっています。また、ノー残業デーや有休取得率アップなど一般的な取組みは行っています。

ただ、実はワコールというのは元々従業員と会社の「相互信頼」を大切にしている企業文化で、タイムカードもない会社だったんですね。なのでPCのログイン情報を取ることについては少し反発もありました。

メンタルケアについては、今年度から始まった厚生労働省のメンタルチェックシステムと同様のものを以前から導入していましたので、今年も9割以上の受検率でした。今後は100%にしたいと思っています。

相互信頼を軸としたワコールの企業文化とは?

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――労働時間に対する施策を伺うと、一般的な企業と比較しても非常に働きやすい企業だと感じられますね。

そうですね。
ワコール健康保険組合は40年以上前に設立されましたが、そのとき設立の主旨として「社員及び家族の健康管理を従来の治療中心から、健康開発、体力づくり、健診強化等の予防中心に脱皮し、会社・健康保険組合・労働組合が三位一体で、積極的な健康管理を推進する」という考えがありました。

――40年以上前から、予防の観点をお持ちだったのですか。健康経営のかなりの先駆けですね。

創業者の塚本の“相互信頼”という考えが強く浸透しており、人を大切にする経営をしてきていました。

――社員の定着率も高く、勤続年数も長いのではないでしょうか?

2016年の実績で平均勤続年数は13年ですね。女性が非常に多い会社としては長い方だと思います。

ワコール健保の今後とは?

社員への啓蒙活動がキーポイント

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――改めて今後の健保のビジョンと課題をお聞かせください。

『ワコールホールティングス統合レポート 2016』より抜粋

『ワコールホールティングス統合レポート 2016』より抜粋

”ワコールGENKI計画2020”として、生活習慣病対策、がん対策、メンタルヘルス対策における目標数値を定めて進めていますが、実際にこのプロジェクトを認知し、理解している社員はそれほど多くないと思います。ですので、今後は、社員にこの施策を広め、理解してもらい、自分の体のことを見直していただく機会を作ることに取組みたいと考えています。
また、減量や喫煙率に対する様々な施策の効果を数値化し、効果のある取組みに集中していきたいとも考えています。

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社内の健康リテラシーの格差解消も重点

大きな課題としては、やはり外勤スタッフの健康支援をどう行うかということですね。
外勤スタッフと内勤スタッフの生活習慣病有所見率、喫煙率の差は明らかですので、健康に対するリテラシー格差も大きいかもしれません。特に若いうちから情報感度を上げて健康を維持できるようになってほしいと考えています。
いずれワコールの健保から国保など別の健保へ移行されると思うのですが、ワコール出身の方には健康なまま次の健保へバトンタッチしたいんですよ。

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――他の健保への送り出すことまで想定されていらっしゃるんですね。他の健保の方へのメッセージはありますか?

私自身はワコール健保の常務理事になってからまだ1年にも満たないので、これからも他の健保さんと情報交換をして学んでいきたいと考えています。
今日お話ししたことは他社さんにとっては「うちではなかなか同じことは…」と思われるかもしれません。弊社は、企業風土としても健保が施策を推進しやすく、また人事と健保の連携もよいため、正直恵まれている方だとは思います。ただ、社会的に健康経営に対して追い風が吹いており、健保が社員の健康支援に力を入れていけるチャンスでもあるので、業界一緒になって取り組んでいきたいですね。

――ちなみに、社員の健康支援にKenCoMはお役に立てますでしょうか?

KenCoMを導入した理由は「楽しみながら、健康に。」というコンセプトがあったからです。というのも、健康な時には健康のために情報収集したり行動するのは意外と難しいものなので、気軽にきっかけをつかみ、気軽に行動ができるといいなと。サイトの利用を生活の一部に取り入れられるといいなと思います。

――ありがとうございます。今後の更なるご活躍を応援しております。

ワコール健康保険組合の柏木常務理事は、健康経営を社会全体の取組みと捉え、社会全体の健康増進を進めたいとおっしゃっていました。働き盛りの世代の健康は、社会全体の資産です。企業単位・健保単位・社会単位で皆様の健康を支援していきたいものです。また、1人1人がご自身の健康に興味を持ち、今日の行動を1つ変えることで、自分自身を、家族を、そして会社を、社会全体を幸せにできるのかもしれません。
まずは手始めに、ご自身の健診結果を改めて見直してみてはいかがでしょうか?

(取材・文・撮影:KenCoM編集部)

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