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2017.04.07

Google社員が実践!脳を再起動する心のトレーニング【マインドフルネス・後編】

KenCoM編集部

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情報過多の現代社会においてここ数年以内の情報量は、人類が2000年かけて発信してきた情報よりも多いといわれています。
そんな状況下において、ビジネスリーダーが常に高いパフォーマンスを発揮するために必要なものとしてマインドフルネスの普及に努める荻野さん。アメリカのGoogle社にあったという、マインドフルネスの普及に欠かせない根拠に迫ります。

<お話を伺った方>荻野淳也氏

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マインドフルリーダーシップインスティテュート代表理事。
外資系コンサルティング会社コンサルタント(管理会計、組織開発)、ベンチャー企業役員を経て独立。ミッションマネジメント、マインドフル・リーダーシップ、マインドフル・コーチングという軸で、リーダーや組織の本質的な課題にフォーカスし、その変容を支援している。2013年にマインドフルリーダーシップインティテュート(MiLI)を設立した。

米Google社が開発した「現代の瞑想」

禅の考え方とITのロジカルな思考が融合

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ビジネスにおけるマインドフルネスの必要性を説くにあたり、科学的根拠が不足していました。そんな時に出会ったのが、米Google社で実践していた独自の研修プログラム『サーチ・インサイド・ユアセルフ』です。

これは脳科学ベースに開発されている上に、Googleのエンジニアによる詳細なロジックが組まれた人材開発トレーニングでした。このトレーニングで得られるものが、マインドフルネスであり、ビジネスで大切な『科学的な根拠』だったのです。

――あのGoogleが瞑想を研究していたことに驚きました。

IT企業はドライなイメージが強いですが、彼らが目指すのは「世界で一番健康で、幸福、かつ生産的な組織」。だからこそ、自然とメンタルマネジメントに取り組む必要があったのでしょう。

実はマインドフルネスの重要性は何年も前から議論されていました。例えば1970年代にベトナム僧侶のティク・ナット・ハンが著書を執筆したり、1980年代にはマサチューセッツ大学のジョン・カバット・ジン博士が科学的な研究を始めたりと、効果に注目していた人は少なからずいたのです。

――仏教の修行を科学的に解明する試みがあったのですね。

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この10年、脳科学の分野から検証が進められていく傍ら、ビジネスやスポーツの世界でマインドフルネスの瞑想を実践する人たちが現れました。Appleの創業者スティーブ・ジョブズが瞑想を習慣化していたり、バスケットのシカゴ・ブルズがマインドフルネスのコーチを採用していたり。
そしてGoogleによって、ビジネスの世界でも通用する理論を確立したといえます。

――なるほど!自然な流れに見えてきました。

瞑想は古くからあり、仏教徒だけのものだと思われがち。しかし、そこで得られる集中力や心の安定などは世界共通であり、誰にでも必要なものです。

組織を強くする“心と脳の筋トレ”

セルフコンディションの意識を高める

価値観の多様化が進む現代社会において、ビジネスパーソンは様々なストレスにさらされています。だからこそ、セルフコンディションを見直す時間や手法が必要ではないでしょうか。

――どのような人材に必要だといえますか?

組織やチームを背負うリーダー人材には特に必要だと思います。
自分の意思決定が人を動かすことになるので、常に最良の精神状態が望まれます。例えば、以前は狂犬とまで言われるほど怒りっぽかったのに、トレーニング後に人が変わったように部下と接するようになったという人がいます。

―――それはいい事例ですね!どのようなトレーニングをするのですか?

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1日20分の瞑想だったり、座学だったりと、マインドフルネスの状態を毎日つくることをトレーニングしていきます。私たちは「心と脳の筋トレ」といっていますよ。

――「心と脳の筋トレ」は新しいキーワードです。

筋トレと表現したのは3つの理由があるからです。
① 知識だけでは意味がない
② 誰でも習得ができるスキルである
③ 継続しなければ効果がない
筋トレと同じように、続けることが大切。まずは7週間のトレーニングから始めることを提案しています。

――具体的なトレーニング方法を教えてください。

5~20分、静かに座り、目を閉じ、呼吸に注意を向けるマインドフルネスワークの実践をお伝えしています。しかし、そのような時間がなかなか取れないという方もいます。まずは、会社のデスクや通勤電車の中など、ちょっとした時間を利用して、「呼吸に注意を向ける」ことからはじめてみることをお勧めします。

――シンプルなことだから難しい。続けるコツはあるのですか?

定期的にみんなで集まる場所をつくって効果をシェアすることが続けるコツです。例えばGoogle社では「G Pause」という集まりを社内で定期的に行い、各々の瞑想効果を振り返っています。

脳のアップデートがビジネスの力をアップする

自分の心に“気付き”の時間をつくる

マインドフルネスで重要なのは、自分の心に「気付く」という意識。そのため、無心で瞑想をする必要はなく、むしろ雑念があるという意識に気づくのが大切なのです。自然と湧き上がる感情をキャッチする「気付きの力」を鍛えることを最重要視しています。

こうして身につくのが、「今この瞬間に注力する」という力です。

――マルチタスクが当たり前の今、ひとつのことに集中するのは難しい。

パソコンやスマートフォンの普及により情報過多の時代となっています。しかし、人の脳は進化しているわけではありません。10年、20年と第一線にいるビジネスパーソンの脳は常にフル回転の状態です。マインドフルネスは、脳を整理するための一時停止の方法であると同時に、これからも動いていくためのアップデートでもあるのです。

「瞑想」と聞くと宗教色があるかもしれませんが、「脳のアップデート」と考えればビジネススキルの一環として感じられませんか?

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――集中力や精神力はパフォーマンスに直結します。

そうですよね。
リーダークラスの意識が変われば、質の高いコミュニケーションが生まれて働きやすさが格段に上がり、移り変わる社会の中でもニーズを的確に捉えてイノベーションを起こしやすい強い組織になるはずです。そんな企業が増えるのを信じて、日々活動を続けています。

それと子育てにも有効です。子供の予測不能な動きに振り回されて、カッとなってもマインドフルネスを知っていれば衝動的・感情的に怒ることもなくなりますよ。これも実体験です(笑)。
それと最近ではトレイルラインニングにハマっています。山の中を全力で走るという意識の集中も、マインドフルネスの一環ですね。

――今後のマインドフルネスの広がりは要注目ですね!貴重なお話をありがとうございました。

メールやSNSの発達によって、ひとつの物事に集中するのが難しい今、あえて立ち止まる時間をつくるというのは大事なのかもしれません。日々仕事に追われて悩んでいる、最近頭がすっきりしないという人は、一度マインドフルネスを体験してみてはどうでしょうか?

※うつ病と診断された方、またはうつ病を経験された方は医師と相談の上、マインドフルネストレーニングを進めてください。

(取材・文・撮影:KenCoM編集部)

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参考文献

世界のトップエリートが実践する集中力の鍛え方 ハーバード、Google、Facebookが取りくむマインドフルネス入門
著者:荻野 淳也, 木蔵シャフェ君子, 吉田 典生

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