2016.01.21
「生後100日のお祝い! お食い初め」 おかっぱちゃんの子育て奮闘日記 Vol.19
子どもが産まれると、一年を通して何かとイベントごとが増える。
家族にとって、その子が第一子ともなれば「待ってました!」とばかりにおじいちゃん、おばあちゃんは初孫をこれでもかというくらいにかわいがる。
イベント事ともなれば、盛り上がりはすごいもの。
お宮参りに始まり、生後100日目には「お食い初め」がある。お食い初めとは、子どもが一生食べ物に困らないよう家族が願い、産まれて初めて食べ物を口にする行事のこと。まだ食べれないので“フリ”をするのだ。
わが家の息子がこの世に誕生して、100日目を迎える日、西荻窪にある料亭で両家が集い「お食い初め」をすることになった。
良い機会だ! これは息子にオシャレをさせたい。
わたしは産前から、息子のために買い揃えておいたベビー服の中でも一番お気に入りのものを選んで息子に着せた。
お祝いの席に両家が集い、あいさつを済ませるとさっそく食事が運ばれてきた。
「この度はお子さまの生後100日、おめでとうございます」。
お店の方からお祝いの言葉をかけてもらい嬉しい気持ちになる。
うぅ、母になったわたしも100日記念だ。
息子用の食事はというと、鯛の焼き魚、すまし汁、野菜の煮物、香のもの、赤飯、梅干しが用意された。
う~ん、なんて美味しそうなんだ!
見た目だけでも大満足。美しい盛りつけ。
事前に調べておいた順番通り、ごはん、汁物、ごはん、魚、ごはんを三回食べさせるフリをする。
息子は口元に運ばれてくるものがとっても美味しい高級魚とは知らず、終始口をあけたままぼーっとしている。
赤子とは純粋無垢な生き物よ。良いことも悪いことも判別ができないなんて、ある意味すごいことだ。
そんな無表情な息子に怯まず、おじいちゃんとおばあちゃんは、お酒も入ってやいのやいの楽しそう。
そんな中、突然父がポケットからあるものを取り出した。「いや~この石ね、竜飛岬で見つけてきたんですよ」。
それは、丈夫な歯が生えるように、孫の歯固めを願う小石だった。わざわざ700キロメートル以上離れた場所から拾ってきたというのだ。
たかが石だとしても、これは嬉しい贈り物。
初孫が産まれ、念願だったおじいちゃんになれた我が父。
「この石はきっと縁起がいいぞ!」と、小石を息子の目の前にそおっと置いて、にこにこと目を細めていた。その日は、みんな良い笑顔でたくさん、たくさん笑った。何度も何度も息子の名前を呼んで、父も、母もとても嬉しそうな顔をしていた。
3世代でこうして集うことができた今日を忘れないでいたい。
息子が産まれたことで、こんなにも家族に笑顔が増えるなんて思っても見なかった。
こどもの存在とは、ここまで人を幸せにするものだったのか。
これから先、5年、10年、20年と時が過ぎて、息子もそのうち大人になるんだろう。息子が立派な成人を迎えたころ、私たちの両親はまだ元気でいてくれているだろうか?
息子の成長とともに、母も、父も歳を重ねていく。思い出が増えるたびに、残された時間は短くなっていってしまう。親孝行をこれからたくさんできるといいなぁ、と切に思った。
そんなことを感じながら店を後にし、父からもらった小さな石を握りしめ、わたしは少しだけ寂しくなった。
つづく
次回は「夫が脱サラ!? ~仕事と育児~」をお送りします。
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