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2017.02.28

冬~春の食養生!季節の変わり目を乗り切る【元気を育む東洋の知恵①】

KenCoM編集部

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立春を過ぎた2月でも全国で冬将軍が大暴れしていることもあり、いまだ風邪やインフルエンザが流行っているようです。四季が日々移り変わっていく中で、毎日をいきいき過ごすためには、体を季節に対応させた食事の取り方や生活を送ることが重要です。

今回このインタビューでは、西洋医学の薬剤師から中医学へと転身を図り、のべ1000人以上の人に漢方を通じた健康のアドバイスをし続けてきた一般社団法人女性の中医学普及会代表理事・薬剤師の柳沢侑子さんに、中医学に基づいた健康づくりについてお話を伺いました。
冬から春を健康に過ごすためのコツはなんでしょうか?

<お話を伺った方>柳沢侑子さん

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■柳沢侑子(やなぎさわ・ゆうこ)さん:
一般社団法人女性の中医学普及会(http://women-tcm.jp/)代表理事・薬剤師・国際中医専門員(中国政府認定)・不妊カウンセリング学会会員。
大手製薬会社にて勤務、後に中医学に出会い、中国北京での研修を経て2011年国際中医専門員を取得。大手漢方薬局にて5年間、のべ1000人以上のカウンセリングを実施し2016年4月独立した。

冬~春の初めの変化と気をつけること

冬は体を冷やさないこと、早く眠ること

ーー寒い日が続いていますが、冬に健康を維持するために気をつけるべきことを教えていただけますか?

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中医学(編集部注:中国伝統医学のこと)では、季節や天候や環境により、体に影響を及ぼす6つの邪気があると考えます。例えば、梅雨の時期は湿気がすごいですよね?体が重だるくなったり、胃腸の状態が悪くなったりしませんか?これは「湿(しつ)」の邪気によるものだと考えます。
冬は、「寒(かん)」の邪気の影響を受ける時なので、当たり前ですが寒さに注意して、薄着をしないこと、体を冷やさないようにすることが重要です。

ーー病気の原因は邪気、なんですね。特に寒い時期には、何に気をつければいいでしょうか?

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冬の「寒」の邪気の影響を受けないようにするためには、外側・内側の両方から対策をしないといけません。
外側の対策は、薄着をしないこと。特に、手足・手首・首を冷やさないことや冷たいものを体内にいれない(食べない・飲まない)ことが重要です。
内側の対策は、体のエネルギーを補い、邪気の影響を受けにくくすることです。寒い季節は体を温めるためにもエネルギーを使います。
中医学では生命エネルギーの源は「腎」にあると考えますので、それを補う必要があります。
腎というのは、泌尿器や腎臓、ホルモンや生殖器などを含む、生命力の源を指しますが、これは年齢とともに低下していきます。寒いと体を温めるためにエネルギーを消耗するので、早く寝て、無駄なエネルギーをつかわないことが大切です。

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ーー冬眠みたいですね!運動に関してはどうでしょうか?

そうですね。動物の冬眠も理にかなっているのだと思います。適度な運動はOKですが、無理は禁物です。特に1月末の大寒の前後が要注意です。

春の初めはストレスに要注意

ーー立春後の今の季節はどうでしょうか?

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そろそろ春の準備が始まる季節です。2月~4月は自然界では気温が上がり、植物の芽が出て…と急激な変化のある時です。気温・気候が急激に変わる時で、人間の体がその変化に対応しきれず、自律神経が乱れやすいです。漢方薬局にも眩暈がしたり、不眠や不安、やる気が出ないなどという方が増えます。毎年決まって春の始めに増えるご相談なので、こういう不調の方が増えると「春になってきたな」と感じるくらいですね。

ーーなるほど。その時期に気をつけることは何でしょうか?

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春は季節の中でも特にストレスに気をつけるべき季節です。専門的には、「気のめぐりが悪くなる」というのですが、精神的にも不安定になりやすいのです。
気晴らしに運動をしたり、セロリや紫蘇など香りが良い食材を食べたりすることをおすすめします。ハーブティーやアロマの香りも気のめぐりを良くします。

ーー花粉症対策はいかがでしょうか?

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鼻水、目のかゆみなど、花粉症のタイプによって漢方薬を使い分けます。また、体のバリア機能が弱っていると花粉の影響を受けやすいので、バリア機能を高めるためものも使っていきます。
お薬以外ですと、中国茶でドライフラワーの状態で使われるのですが、菊の花が花粉症の目のかゆみにおすすめです。菊の花は漢方薬でもよく使われていますよ。
また、胃腸が弱っているとバリア機能が弱くなるので、花粉に負けない体をつくるためには、甘いものの食べ過ぎ、暴飲暴食に注意が必要です。

冷え対策~春の初めの食養生は?

体温より低い温度のものを食べない

ーーそれでは、冷え対策の食べ方について、もう少し具体的に教えていただけますか?

まず基本的に「体温より低い温度のものを食べない」こと。
冷たいものを食べると、胃腸に負担がかかってしまいます。食べ物は胃腸でエネルギーに変わりますので、胃腸に負担をかけなないで、胃腸をいたわることが非常に大切です。
胃腸の動きを良くするために、朝起きてからお白湯を飲むことはおすすめしている養生法のひとつです。
中国人の漢方医の先生が冷たいものを飲まなずにお白湯をよく飲まれているのを見て、私も普段から水ではなく、お白湯を飲むようになりましたね。

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「腎」を補う食べ物を食べる

それからエネルギーの源である「腎」を補う食べ物を食べることです。例えば、海老、鶏肉、特に手羽先など骨付きの鶏肉です。他に、黒豆や鮭も腎を補います。

ちなみに、お肉ですが、最も体を温めるものから順番に並べると、ラム、牛、鶏、ブタの順序なんです。最も体を温めるラムは、寒い北海道の名物としてジンギスカンで食べるでしょ?逆に、暑い沖縄では豚肉でゴーヤチャンプルです。豚肉は平性といって体を冷やしも温めもしないものなので、夏には豚肉がおすすめです。

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ーーなるほど!ジンギスカンとゴーヤチャンプルですね!わかりやすいです。

ただ、ラムは体を温め、熱を生む力が強いので、のぼせやすい方や、皮膚に炎症があり、体が温かくなると痒くなりやすい方は気をつけてくださいね。

春は肝の働きを良くするセロリや菜の花・イカを

ーー他に春の初めにおすすめの食材を教えていただけますか?

イカとセロリの炒め物

参照元:http://www.recipe-blog.jp/profile/18712/recipe/4366

イカとセロリの炒め物

春はセロリや菜の花など香りの良いものを先ほど紹介しましたが、イカもおすすめですね。自律神経に関係する「肝」の働きを良くする食べ物として知られています。イカは春の薬膳料理として良く使われていて、イカとセロリの炒め物は、春の定番レシピです!

季節を彩るお茶・ハーブティー

寒い季節は紅茶、暑い季節は緑茶

ーー健康に良いお茶についても、もう少し詳しく教えてください。

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お茶は昔からの治療法の1つで、歴史的には「神農」という人がいろんな薬草を食べてみて、毒があるかないか調べ、毒に当たった時はお茶で解毒したなんて話があります。
普段何気なく飲んでいるお茶にも、それぞれ性質があるので季節や体質により飲む種類を変えてみると良いと思います。

例えば、紅茶は体を温め、緑茶は余分な熱を取ります。体を温めるか余分な熱を取るのかは、茶葉の発酵度合いで変わるのですが、紅茶と緑茶の間がウーロン茶やジャスミン茶です。のぼせやすい方や夏の暑い時は、体にこもった熱を取るために緑茶がおすすめですし、冷え性の方や冬の寒い日は紅茶がおすすめです。

春は香りのハーブティーを

ーーチャイやコーヒー、ハーブティーなんかはどうでしょう?

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シナモンは漢方薬でもお腹の冷えに良いといわれているため、冷え対策にシナモンパウダーを入れたチャイなども良いです。ちなみに、しょうがは胃の冷えによく、シナモンはお腹の冷えに良いんですよ。

実はコーヒーはカフェインが胃に刺激を与えることもあるため、あまりおすすめではないのです。しかし好きなものを避けることはストレスになってしまうので、コーヒーが好きな方には、飲みすぎないことと、アメリカンで薄めに飲むことをおすすめしています。

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香りが良いものは気のめぐりを良くしてくれるので、自律神経に影響がでやすい春やストレス対策には、ハーブティーがぴったりです。

ーーいいですね。春に香りの良いお茶を飲むことにします!(第2回に続きます)

第1回は、冬の冷えから春の初めに起こること、それにどう対応すればよいかを、日常の食生活を中心に漢方薬剤師の柳沢さんに伺いました。季節ごとに環境と体で何が起こっているかを理解すると、シンプルにやるべきことがわかる気がしますね。冷え対策は冷たいものを食べず、お腹を冷やさないことが重要なようです。

それでは第2回は、食生活以外にも毎日をいきいき過ごすための暮らし方のコツをお伺いします。

(取材・文・撮影:KenCoM編集部)

▼第2回はこちら

参考文献

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