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2017.03.15

アロマで月経トラブルが改善…研究の道へ【インタビュー:心を癒す香りの力①】

KenCoM編集部

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現代はストレス・疲労と戦う時代です。
事実、大阪市都市型産業振興センターの「抗疲労・癒しビジネス市場と将来展望」調査によると、2007年度時点でのリラクゼーション市場規模(※1)は、3.02兆円と推計され、2020年度には5.76兆円に拡大すると予測されています。

仕事のストレスに、人間関係、家事育児の疲れ、ご近所付き合い・・・様々なストレスの中で疲弊している人は多く、情報社会ではますますストレスにさらされていくのかもしれません。

そんな中、 ストレスを和らげるとして人気の”アロマテラピー”とは一体どういったものでしょうか?香りに人を癒す効果は本当にあるのでしょうか?

今回、日本を代表するアロマテラピーの団体・公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)の理事である熊谷千津さんに、ご自身の体験も交えながら、アロマテラピーの効果や利用方法を伺ってきました。熊谷さんは、アロマテラピーのプロフェッショナルであるだけではなく、薬剤師・博士(農学)という研究者の顔を持つ多才な女性です。

※1 鍼灸・整体・エステ・アロマテラピー・温浴施設・ヨガ・気功などのリラクゼーション産業の合計値

<お話を伺った方>熊谷千津さん

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■熊谷千津(くまがい・ちづ)さん
公益社団法人日本アロマ環境協会理事・薬剤師・博士(農学)。
大手製薬会社に勤務の後、イギリスのTisserand Institute Holistic Aromatherapy Diploma コースに留学。ディプロマを取得し帰国後、緩和ケア病棟にてアロマセラピストとして活動する。2014年より公益社団法人日本アロマ環境協会常任理事。2児の母でもある。

アロマテラピーとの運命の出合いとは?

21歳で「視床下部型無月経」に

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――まず、熊谷さんご自身のアロマテラピーとの出会いを聞かせていただけますか?

私は大学時代は剣道部で、すごくスポーツに打ち込んでいたこともあり、21歳の時に体重が落ち過ぎて生理が止まってしまったんですね。そこで、クリニックに検査へ行ったところ「視床下部型無月経」と言われました。つまり、ホルモンを出せという信号が大脳から出ないために、排卵が起こらず、月経が起こらないという状態でした。その後は7年間、通院しながら薬を処方される日々が続いていたんです。

留学先のイギリスで、偶然手に取ったアロマテラピーの本

熊谷先生の運命を変えた書籍『ホリスティックアロマテラピー』

熊谷先生の運命を変えた書籍『ホリスティックアロマテラピー』

大学卒業後は製薬企業に勤めていましたが、27歳の時にイギリスへ短期の語学研修へ行きました。
そこでたまたま出合ったのがアロマテラピーの第一人者ロバート・ティスランドの『ホリスティック・アロマテラピー‐芳香療法のすすめ‐(原題 Aromatherapy for everyone)』という本です。

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そこには、「アロマテラピーのホリスティック(※)ケアとは、病気を治すのではなく、病気を持つ”人”そのものを見てケアをするものである」ということが書かれていました。

※編集部注:ホリスティック=全体的な

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――病気ではなく、人を見るんですね。ちなみに、実際にアロマテラピーというのはどういう効果があるのでしょうか?

私は、アロマテラピーには3つの意味があると考えています。
1つは大脳への嗅覚刺激を通じた精油(※編集部注:エッセンシャルオイルとも言う。100%植物由来の芳香成分のこと)の薬理作用。2つめは「タッチング」といってトリートメントで人が触ることの効果。最後に3つめが、アロマトリートメントのように、嗅覚刺激と触覚刺激を両方もたらしながら会話をするなど、コミュニケーションをとりながら行うことによる効果です。特に2つめのタッチングの力は大きいと考えています。

隣町に学校が!行くしかない!

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――なるほど。それで、その本に出合った後はどうされたんですか?

当時ロンドンから120km離れた南西部の町に住んでいたのですが、ちょうど隣の町にロバート・ティスランドの事務所があったんです。これは行くしかない!と、この学校に通うことを決めたんです。

7年間続いた無月経が治ったのはなぜ?

肌の保湿用のローズの香りで脳に刺激が

その後、Tisserand Instituteへ入学した後、乾燥肌のケアのためにローズ(編集部注:バラの香り)・サイプレス(編集部注:ヒノキ科の木の葉からとった香り)・フランキンセンス(編集部注:乳香とも言う。カンラン科の木の樹脂から蒸留した香り)の精油をブレンドしたトリートメントオイルを作って、使い始めました。
スキンケアのための精油だったのですが、なんと月経が再開したんです。
香りが嗅覚を通じて大脳・視床下部に信号を送り、自然とホルモンバランスも整っていったようでした。
ホルモンを外から投与するのとは異なり、精油は脳に働きかけて、自然と体がバランスのとれた状態に戻してくれるのだということを、自身の体験の中から学んだんです。

熊谷さんがこの経験から学んだことを書いた、ロバート・ティスランド氏宛ての手紙は、アロマテラピーの専門紙にも掲載された。“amenorrhoea”とは無月経のこと

熊谷さんがこの経験から学んだことを書いた、ロバート・ティスランド氏宛ての手紙は、アロマテラピーの専門紙にも掲載された。“amenorrhoea”とは無月経のこと

――アロマテラピーの香りが体のバランスを整えてくれたんですね。その後、学校を卒業された後は?

1995年に日本に帰国しました。それは日本にアロマテラピーの協会ができる前年で、日本でもアロマテラピーを学びたい人が増えてきた時期でした。とはいえ、衣服を脱ぐ必要があるアロマトリートメントにはまだ抵抗がある人が多い時代だったので、自分が学んだことを活かせることは何なのか考えて始めたのが、ホスピスでの緩和ケアのトリートメントです。

――ホスピスですか。難しそうです。(次の記事に続きます)

月経トラブルからのアロマテラピーとの出合いを機に、アロマテラピーの道へと進んだ熊谷先生のご自身のお話を伺いました。人生には、何か導かれるような出合いがあるものなのかもしれませんね。
次回は、帰国後のホスピスでのお話を伺います。3月20日(月)公開予定です。

(取材・文・撮影:KenCoM編集部)

▼第2回・第3回はこちら

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参考文献

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