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2016.11.16

一流の人が忙しくても瞑想を欠かさない理由|俯瞰し、平常心を保つことが良い結果を生む

東洋経済オンライン

自己認識力や人間関係力などを高められるといわれています(写真:Choreograph / PIXTA)

自己認識力や人間関係力などを高められるといわれています(写真:Choreograph / PIXTA)

東京都内のIT企業で役員を務める竹内徹さん(50、仮名)には、毎日欠かせない習慣があります。

時間にするとほんの10分。目を閉じて、呼吸に意識を置く。外界から意識を遮断し、 呼吸を感じて自分の心を整える時間を意図的につくります。途中で雑念が浮かんで呼吸から意識がそれたことに気づいたら、また呼吸に集中――。竹内さんが取り組んでいるのは、瞑想の一種であるマインドフルネスです。

瞑想やマインドフルネスへの関心が急上昇

仏教の禅やヨガを源流とする「瞑想」や「マインドフルネス」への関心が、ビジネスパーソンの間で急速に高まっています。グーグルやフェイスブック、ナイキ、インテルなどの世界的に有名な企業だけでなく、アメリカなどでは政府機関の研修などにも取り入れられているケースも見られます。日本にもその波は押し寄せ、グーグルトレンドでキーワード検索してみるとマインドフルネスの人気度は今年夏、5年前の100倍になっていました。瞑想も同約4倍です。

マインドフルネスが注目されるのは、ビジネスパフォーマンスをあげるための心のトレーニングになるからです。時間としては、1分でできるものから本格的なものまであり、特にビジネスシーンにおける自己認識力や人間関係力などのスキルを高められるといわれています。

筆者はヨガの瞑想やビジネスセミナーを通じて、述べ5000人以上に呼吸法を通じた簡単な瞑想方法やコミュニケーショントレーニングを行ってきました。これらの経験から実感していることの一つは、どんなに忙しくても瞑想やマインドフルネスを日常的に欠かさない人には、一流と呼ぶにふさわしい経歴や実績、能力を持っているケースが多いということです。

マインドフルネスを含む瞑想とは、「判断することなく、今、起こっていることを観ること」。 20年以上の臨床経験を持つ精神科医の益子雅笛さんに言わせると、「人間の体は3次元ですが、脳が作り出しているものは過去や未来という時間軸が加わって4次元。つまり、体と脳にはギャップがあり、このギャップが脳にとって負担になることがあります」。

瞑想は呼吸を意識することを通じて、脳と体の時間軸を「今」に一致させることで、脳を安心させ、休めます。反対に未来や過去のことで不安になっていると、心が「今」にいないので疲れやストレスにつながっていきます。瞑想をすると仕事のパフォーマンスが向上するといわれます。具体的には「集中力が上がる」「平常心が保てるようになる」「人間関係が良くなる」などの効果が挙げられています。

東京都内の研修会社社長、瀬尾純一さん(45、仮名)は電車に乗るときや食事のときなど、日常生活の中で1日10~40分の瞑想を実践して約20年になります。瀬尾さんは「瞑想によって、自分の状態がどうなっているかを俯瞰できるようになりました」と話します。

瞑想を習慣にすると、自分の微細な変化に気づけるようになります。瀬尾さんが「いつもなら、呼吸に意識をおけるのに、今日は考えが浮かんできて意識が散漫しやすいな、というときがあります」と明かすように、あるがままの自分を観察できます。

周りの人への洞察力が高まり、人間関係が良くなる

また、瞑想を通じて呼吸や目の前のものや動きなど、一つのことに注意を向けるトレーニングが集中力を向上させます。湧き上がってくる感情と一緒になって流されるのではなく、俯瞰してみることによって、困難なことがあっても「平常心を保つこと」につながります。自分を俯瞰してみるようになると、周りの人に対しても洞察力が高まります。結果として「人間関係が良くなる」のです。

東京都内の精密部品メーカーで会長を務める神山晋作さん(62、仮名)は、「瞑想によって平常心を保てるようになった」と実感している一人です。いろいろな瞑想方法をためした神山さんが現在実践しているのは、出社前にカフェで1時間ほどゆったりとすること。「集中できる時間は短いですから、より効率的な仕事をするためにカフェの時間は自分にとって瞑想のようなものです」

職業柄なのか、神山さんはその因果関係に興味を持ち、アメリカから脳波を計測する機器を取り寄せて自分だけでなく、自身が経営する社員を調べてみました。すると、瞑想状態とほぼ同じ脳波のときに良いアイデアが生み出せていることが分かりました。「会議でいえば終わった後。そこで会議ではリラックスした楽しい雰囲気をなるべくつくるように心掛けています」(神山さん)

では、瞑想やマインドフルネスとは実際どのように行えばいいでしょうか。本格的な瞑想はおおむね以下のようなイメージです。

1.20分~1時間くらいかける

2.場所を決める

3.座禅

4.だれにも邪魔されない

5.心に雑念が一切わかない

「お寺で座禅を組んで、背中を叩かれる」というイメージの人も多いでしょう。そのため「ガチ瞑想」と呼んでもいいかもしれません。

一方、マインドフルネスは禅の瞑想がもとになってできていますが、短時間で、かつ場所もどこでも行えるので、その手軽さからすると「プチ瞑想」といえるでしょう。特徴は以下の通りです。

1.短い時間、たとえば1分からでもOK

2.場所を選ばない

3.立っても座っても寝ていてもできる

4.周りにだれがいてもできる

5.心は雑念だらけでも全然問題ない

瞑想はそれぞれが相互作用しており、どれかの目的を達成するために瞑想をするのではなく、心のトレーニングとして習慣にすることで効果を実感できます。20年以上も瞑想を続けている一流のビジネスパーソンの瞑想のやり方やその効果をみると、「ガチ瞑想」ではなく、「プチ瞑想」のやり方で、自分なりの続けやすい方法見つけて、継続しているという共通点がありました。

「プチ瞑想」ならできるかも、と思った方は以下の5ステップを参考に是非、取り組んでみてください。

誰でもできるプチ瞑想実践方法5ステップ

ステップ1

以下に紹介する「プチ瞑想の導入事例トップ12」の中でまず、できることをやってみる。

1.シャワーを浴びながら呼吸に意識をおく
2.電車で最後の一駅前にスマホを閉じてゆったりとした呼吸を行う
3.商談の前に5分早くついて、待合席にて行う
4.カフェで一人の時間に行う
5.寝る前のお布団のなかで行う
6.エレベーター、エスカレーターに乗ったとき、スマホをとじて呼吸を意識する
7.歩きながら、自分の呼吸を意識する
8.トイレ休憩の往復時間に歩く瞑想をしてみる
9.オフィスで、仕事の合間に一度伸びをしたあとにゆったり呼吸する
10.待ち合わせで相手が遅れてきたとき、呼吸に意識を置く
11.会社の給湯室で飲み物をゆっくりいれたり、飲んだりするのを楽しむ
12.リビングで大の字になって寝転がり、体の感覚を眺めてみる

ステップ2

「プチ瞑想導入事例トップ12」を何度かやってみる。やりやすい内容をみつけて、何度かやってみる。そのときに、判断や評価を手放して行う

ステップ3

毎日できるプチ瞑想習慣をつくる。「これならできる!」ことを一つでもいいから、毎日行う習慣にする

ステップ4

誰かと一緒にやってみる。マインドフルネス関連のセミナーやヨガのレッスンにでて、他の人と一緒にやる機会をつくってみる

ステップ5

セミナーに出て、習慣にする。自分にあったセミナー、ヨガ、プチ瞑想関連のレッスンに定期的に通い、プチ瞑想習慣のペースメーカーを見つける

どんなに忙しくても瞑想をかかさない一流の人でも、瞑想中に雑念が浮かんでくることがあります。瞑想で大切なのは、生活の中に取り入れて習慣にすることです。「自分にはうまくできない」と肩肘張らずに、まずは簡単なステップから始めてみると良いでしょう。

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大西 千春:CHIラボ代表/ヨガインストラクター

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