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2024.03.07

たった2品で栄養抜群のおかずが完成。小松菜といわしの蒲焼き缶詰めのノンオイル炒め【旬野菜レシピ】

kencom公式:管理栄養士・前田量子

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野菜を多く食べる人は脳卒中や心臓病、ある種のがんにかかる確率が低いという結果が多くの研究から導き出されています。しかし、日本人の野菜類平均摂取量は、目標の350gに届かず「健康にいいことはわかっているが、十分な量の野菜を摂取できていない」のが現状です。

『旬野菜図鑑』で紹介した小松菜をたっぷりいただく料理を管理栄養士の前田量子さんに教えていただきました。

たった2品で栄養抜群な小松菜といわしの蒲焼き缶詰めのノンオイル炒め

栄養たっぷりな小松菜と缶詰めのいわしだけで作る本レシピ。超簡単なのに、栄養価も抜群!味付けも不要ですので、忙しい日の食卓に追加したい時に最適です。

材料(1人分)

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小松菜  150g(1/2袋)
いわしの蒲焼き缶詰め 1缶(90g)

主な栄養素(1人分)

エネルギー 230kcal
たんぱく質 14.1g
カリウム 993mg
カルシウム 453mg
鉄 6.0mg
ビタミンA 418μg
ビタミンC 59mg
EPA 1620mg
DHA 1260mg

作り方

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1. 小松菜は根元をよく洗い、4〜5cm幅に切る。

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2. 電子レンジ600wで1分30秒加熱する。

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3. フッ素加工のフライパンにいわしの蒲焼き缶詰めと加熱した小松菜を入れる。缶詰めに汁がある場合はすべて加える。フッ素加工のフライパンがない場合は、油を小松菜がフライパンにくっつかない程度加える(分量外)。

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4. 炒めて出た汁が煮詰まるまで炒めて絡めたら出来上がり。

このレシピのポイント

①小松菜は下茹でしない

小松菜は、カリウムやビタミンCなど水溶性の栄養素を豊富に含んでいます。しかし、下茹でしてから使うと、せっかくの栄養素が流れ出てしまいます。あくが少ない野菜なので、下茹でをしなくても美味しくいただけます。

②電子レンジを上手に活用してノンオイルでもしっとり仕上げる

今回のレシピでは、フッ素加工のフライパンを使うことで、油を一切使っていません。しかし、油をまったく使わないで小松菜を乾煎りすると、どうしてもしんなりしにくくなってしまいます。そこで活用したいのが電子レンジ。電子レンジで加熱する方法で下処理をすると、小松菜がしんなり柔らかくなります。

電子レンジは食材が持っている水分に直接作用して中の水分が沸騰し、細胞壁を破って下茹でしたような食感になります。やわらかめにしたい場合は600wで100gあたり2分、シャキッと感を残したい場合は600wで1分を加熱の目安にするとよいでしょう。

この方法は、ダイエット中のノンオイル調理などにも使えます。

このレシピの栄養ポイント

小松菜といわしは栄養吸収のゴールデンコンビ

今回使用したいわしの缶詰めにはDHAやEPAが豊富に含まれています。

DHAは中性脂肪を低下させたり、高脂血症、高血圧、脳卒中、虚血性心疾患、アレルギーを予防したりする効果があるといわれています。また、EPAは抗血栓作用や中性脂肪の低下、脳血管障害、虚血性心疾患、高血圧、動脈硬化、高脂血症、皮膚炎の予防効果があるとされています。

DHAやEPAは魚に多く含まれ、特にさんま、いわし、さば等の青魚に豊富に含まれており、積極的に摂るとよいと聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし、魚の調理には知識や手間がかかるため敬遠されがち。そんな時に活用したいのが缶詰めです。魚の缶詰めは手軽に購入でき、賞味期限も長いため好きなタイミングで使えます。そして、缶に入れてから調理をしているのでDHA・EPAが酸化していないという栄養メリットもあります。

小松菜に含まれるビタミンAは脂溶性のため、脂を含むいわしの缶詰めとともに料理をすることで吸収率がアップし、栄養吸収の効率がとてもよい組み合わせといえます。

下茹でしない小松菜で、カリウムを豊富に摂取可能

カリウムは体液の浸透圧を調整したり、神経や筋肉の情報伝達にも関係している重要なミネラルです。特筆すべきはナトリウムの排出を促す作用です。様々な研究によって血圧低下や脳卒中の予防につながることが分かってきており、積極的に摂ってほしい栄養素ですが、日本人の摂取量は不足傾向にあります。ただし、腎臓機能に障害がある方は注意が必要です。

1日摂取目標量は18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です。このレシピでは993mgを摂取でき、これは目標量の男性30%以上、女性40%弱相当。小松菜を下茹でせずに調理するので、カリウムの損失がないのもとてもよい点です。

小松菜は貧血対策にも秀でた食材

普段から不足しがちな栄養素のひとつが鉄分です。鉄分の摂取推奨量は30歳〜69歳の場合、1日あたり女性で11mg、男性で7.5mgです。今回のレシピでは6.0mgの鉄分を摂れるため、1日の摂取目標のうち、女性なら50%以上、男性なら80%もの量をカバーすることができます。

小松菜に含まれる鉄分は非ヘム鉄という吸収率が低いものですが、ビタミンCとともに摂取すれば吸収率が高まることが知られています。小松菜には豊富にビタミンCが含まれているため効率よく鉄分を吸収でき、貧血予防にも役立つでしょう。

簡単メニューで骨密度アップにも期待

普段から不足しがちな栄養素のひとつが、カルシウム。1日あたりのカルシウムの摂取推奨量は、30歳〜74歳の場合、女性が650mg、男性が750mgです。

今回のレシピでは、1食あたり453mgのカルシウムが摂取できます。これは女性なら1日の必要量の約70%、男性なら約60%に相当します。また、カルシウムの吸収を促してくれるものにビタミンDがありますが、いわしの缶詰めにはビタミンDがとても豊富に含まれているため、非常に吸収率が高くなっているといえるでしょう。

カルシウムは骨をつくる大切な成分。今回のレシピを活用して手軽に摂ってください。

記事情報

引用・参考文献

著者プロフィール

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前田 量子(まえだ・りょうこ)
管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、電子レンジの加熱時間や法則を書いた『ロジカル電子レンジ調理』が2022年2月に発売。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

制作

文・レシピ:前田量子

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