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2023.12.02

寝つきのよさは呼吸から。腹式呼吸を習慣化してぐっすり眠ろう【簡単!身体メンテ】

kencom公式:理学療法士・石田佑也

筋肉や関節の柔軟性を高めることを目的にした運動をストレッチングといいます。有酸素運動や筋力トレーニングとは違って、生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防に効果的かどうかはまだエビデンスが十分ではないですが、習慣的なストレッチやヨガが血圧低下につながったり、柔軟性の高い人は動脈硬化になる確率が低いことがわかっています。またストレッチ以外にも、セルフメンテナンスで身体のコリや疲れを緩和することも重要です。

本連載『簡単!身体メンテ』では、理学療法士の石田佑也さんに体の悩みを解消するセルフメンテナンスの方法を教えてもらいます。

普段、あなたはどんな呼吸をしている?寝つきの悪さ、原因は呼吸かも!

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寝つきが悪かったり、よく眠れなかったり、しっかり眠ったのに朝起きると身体の疲れが取れていないことはありませんか。

寝つきが悪くなる原因や要素は様々ですが、ストレッチで解決ができる場合もあります。なぜなら、寝つきの悪さに呼吸が関係してることがあるからです。睡眠は健康のために大切な要素のひとつ。健康のためにも眠りに入りやすい身体を手に入れましょう。

鼻から吸って口から吐く、腹式呼吸のすすめ

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呼吸法には2種類あります。口で吸って鼻から吐く“胸式呼吸”と鼻で吸って口から吐く“腹式呼吸”です。多くの人が日常的にしているのは胸式呼吸です。しかし、これが寝つきの悪さや肩こりの原因になっている可能性があります。寝つきをよくするためには、腹式呼吸に変えるのがおすすめです。

胸式呼吸で寝つきが悪くなるのはなぜ?

胸式呼吸は、身体の興奮モードである交感神経を優位にしやすくします。逆に腹式呼吸は身体が反るような動きや肩が上がるようなことがないため、身体のお休みモードである副交感神経が優位になります。

寝ている時に興奮モードの交感神経が優位になってしまうと、身体が休める状態にならず寝つきが悪くなってしまうのです。また、呼吸のたびに肩が上がって身体の緊張が繰り返されるため、寝つきの悪さだけではなく肩こりにもつながってしまいます。

呼吸と脇腹の関係

腹式呼吸をするためには、お腹を膨らませなければいけません。しかし、肋骨や胸椎、あるいはそれらを覆う広背筋や肋間筋などの動きが悪くなってしまうと、お腹を膨らませることができません。そのため胸式呼吸になってしまいがちです。つまり胸椎の伸びと肋骨の広がりは、腹式呼吸に不可欠なのです。

広背筋や肋間筋などの動きが悪い原因は、猫背になりやすいこと、上半身の硬さが考えられます。

日常生活の中で脇腹をストレッチすることは少ないため、どうしても脇腹の柔軟性は落ちてしまいます。脇腹の柔軟性が低下してしまうと、そこに付着する胸椎や肋骨は動きづらくなってしまうのです。脇腹の柔軟性を養うことが、寝つきのよい身体の環境づくりには必要です。

あなたの呼吸は胸式?腹式?深呼吸でチェック

その場で深呼吸をしてみてください。

・肩が上がった
・お腹が膨らんだ

あなたの身体はどちらに近かったでしょうか。

息を吸った時に肩が上がる場合は、胸式呼吸です。
息を吸った時にお腹が膨らんだ場合は、腹式呼吸です。

もし胸式呼吸だったら、腹式呼吸を意識して行ってみましょう。続けているうちに身体が慣れてくるはずです。

腹式呼吸にチャレンジ

illustration:Adobe Stock

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【やり方】
1. 4秒カウントしながら鼻から息を吸う。
2. 4秒カウントしながらなるべく口で吐く。

10回行いましょう。
一気に吸うのではなく、4秒かけてゆっくり吸うことがポイントです。お腹を膨らませることが難しい人は、無理をしなくてもかまいません。できるようになったらお腹を手に置くと膨らみや凹みがわかりやすく、できているかどうかを実感できます。

仕事の合間に腹式呼吸で深呼吸してみましょう。続けていくうちに、腹式呼吸が自然にできるようになるので心がけてみてください。

横になったらすぐ眠れる!腹式呼吸をする身体を作る脇腹ストレッチ

#01 脇腹の筋肉を柔軟にするストレッチ

このエクササイズでは、腹式呼吸に必要な
・猫背で丸まった脇腹
・背肋骨周囲の筋肉
この2点にアプローチします。

©yuya ishida

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【やり方】

1.左脚を前に出して床につけ、右脚は後ろに伸ばしてそれぞれ90度曲げます。左腕の肘から先を床に押しつけます。
2. 右手を弧を描くように上から伸ばします。右脇腹が伸びた状態を8秒キープしてから手を元に戻します。左側も同様に行います。

左右10回ずつ行いましょう。

慣れてきたら、8秒キープしている時に大きく腹式呼吸を2回繰り返しましょう。鼻から息を吸った時にお腹が膨むのを感じてください。こうすることでより脇腹に効いてきます。猫背で丸まってしまった身体では、肋骨周囲の筋肉の柔軟性が低下しています。脇腹のストレッチをするだけでも呼吸がしやすくなるでしょう。

#02 脇腹の可動域を広げるストレッチ

このエクササイズでは、
・脇腹の筋肉
・肋骨や胸椎
この2点にアプローチします。

©yuya ishida

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【やり方】

1. 左脚を前に出して床につけ、右脚は後ろに伸ばしてそれぞれ90度曲げます。左肩の下に肘が来るように前腕を床につけた状態で右手をまっすぐ天井に伸ばします。
2. 右手を左脇に入れて5秒キープ。右脇が伸びる感覚があればOKです。余裕があればこの時に深く腹式呼吸をしてください。左側も同様に行います。

左右5回ずつ行いましょう。

余裕があれば各10回ずつ行うとよいでしょう。床に付いている手や腕は曲がってしまっても大丈夫です。大切なのは、しっかりと脇を伸ばすこと。伸びている場所を確認しながらゆっくりストレッチしましょう。

毎日のストレッチで呼吸を変えて、心地よい眠りを

脇腹をしっかりと伸ばすと、肋骨や胸椎だけで呼吸した時のお腹の膨らみが大きくなり、腹式呼吸がしやすくなります。腹式呼吸が自然にできるようになれば、肩が上がる緊張性の高い胸式呼吸が少なくなり、副交感神経が優位となり、寝つきがよくなるはずです。

呼吸は毎日の習慣やストレッチで変えられるものです。寝つきをよくしてぐっすり眠るために、ぜひ試してみてください。

記事情報

引用・参考文献

著者プロフィール

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石田佑也(いしだ・ゆうや)
理学療法士・ランニングシューズマイスター・医療美容系ビデオグラファー
「1分1秒ベストなコンディション」をテーマに東京・神奈川を中心にアスリートからビジネスパーソン、キッズまで1万人以上のコンディショニングを行う。東京オリンピックメディカルトレーナーに選出され、世界のトップアスリートのコンディショニングにも携わる。ウェブメディアで理学療法士×シューフィッター×陸上競技選手の3つの視点からランニングシューズについての記事執筆、ウェブメディアの運営も行う。2021年から医療・美容系ビデオグラファーとしての活動も開始。健康経営のためのピラティス動画などの制作も行う。

制作

文・写真:石田佑也

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