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2023.08.15

加齢に抗える!?タウリンのアンチエイジング効果について【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

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健康ドリンクの成分として有名なタウリン。医学的にはどのような健康効果があるのでしょうか。

今回ご紹介するのは、Science誌に2023年6月9日付で掲載された、タウリンの健康効果についての論文です。最近のサプリメント関連の論文としては、最も注目を集めている論文です。

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タウリンにはどのような健康効果があるのか

タウリンは日本では栄養ドリンクに含まれている成分として、一時は非常に宣伝されていました。疲れを取る成分であるとか、二日酔いに効く、肝臓を保護する、というような言い方もされています。

ただ、それは一般的な指摘であって、それほど医学的な根拠のあるものではありませんでした。

タウリンはアミノ酸のシステインが、酵素により分解されて産生される物質で、アミノ酸様物質のような表現もされています。タウリンは体内でシステインから合成される一方で、魚介類や肉などに含まれていて、食事でも摂取されています。イカ、タコ、鯵などの魚介、牡蠣、アサリなどの貝類が、タウリンを多く含む食品です。

タウリンの血液濃度が加齢と共に低下し、それが骨格筋、目、中枢神経系などの機能異常と、関連していることを示唆するデータは報告されていましたが、実際にタウリンの補充により、そうした障害が予防可能であるか、というような点については、これまであまり明確な知見が存在していませんでした。

タウリンのアンチエイジング効果を検証

今回の研究では、主にネズミとサルを使用した動物実験において、タウリンを比較的大量に摂取させることを継続し、その影響を検証しています。

その結果、ネズミの実験においては、タウリンの摂取により寿命が延長し、骨密度の増加や筋力の増加など、老化に伴う変化を逆転させる、アンチエイジングの効果が確認されました。このメカニズムは老化に伴う細胞のミトコンドリア機能不全を、改善している可能性も示唆されました。

サルの実験においては、寿命の延長が確認されるほどの、長期のデータは得られていませんが、それでも老化に関わるマーカーの低下や、骨密度の増加、体脂肪の減少などの効果が認められました。

このように、特にネズミの実験で得られた効果はかなり画期的なもので、大量とは言えサプリメントでも使用されている、人体に有害性は確認されていない物質の摂取により、明確な寿命延長効果やアンチエイジング効果が認められています。

アンチエイジング効果と寿命延長効果が期待できそう

ただ、勿論これは動物実験で、人間に同様の効果が確認されたものではありません。

しかし、かなり期待を持たせる結果であることは間違いがなく、これまでにも迷走した「奇跡のサプリメント」は多くありましたから、あまり期待を過度に膨らませることなく、今後の研究の蓄積を待ちたいと思います。

記事情報

参考文献

著者/監修医プロフィール

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。2021年には北品川藤サテライトクリニックを開院。著書多数。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36