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2023.07.31

水を飲むだけダイエットは嘘?太らないための適切な水分補給とは

kencom公式ライター:村岡祐菜

減量している方の中には、水分の量を制限して体重を減らす方もいるかもしれません。

今回は、経口補水療法の第一人者であり、飲水学を啓発、『いのちを守る水分補給』の著者でもある麻酔科医の谷口英喜先生に、減量中の水分補給についてお話を伺いました。ダイエットで健康的な体型を目指したい方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

谷口英喜(たにぐち・ひでき)先生

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神奈川県済生会横浜市東部病院患者支援センター長 麻酔科医師 医学博士
1991年、福島県立医科大学医学部卒業。神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科教授を経て、済生会横浜市東部病院患者支援センター長兼栄養部部長に就任。神奈川県立がんセンター麻酔科にて非常勤医師も勤める。東京医療保健大学大学院医療保健学研究科客員教授。日本麻酔学会指導医、日本集中治療医学会専門医、日本救急学会専門医、日本静脈経腸栄養学会認定医・指導医、日本外科代謝栄養学会・教育指導医。学位論文は経口補水療法を応用した術前体液管理に関する研究。著書に『イラストでやさしく解説! 「脱水症」と「経口補水液」のすべてがわかる本』(日本医療企画)、『いのちを守る水分補給: 熱中症・脱水症はこうして防ぐ』(評言社)などがある。

水分補給に関わるダイエットの嘘

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ダイエットの情報を見ていると、水分補給の仕方でやせる方法が発信されていることがあります。しかし、医学的にはやせるための水分補給法は存在しません。

水分を減らせば一時的に体重は減りますが、あくまでそれは見かけの数字が減っただけ。原料の本来の目的である“脂肪を減らす”ためには、水分をしっかり摂って老廃物を出す必要があるのです。

身体がむくむから、水分量を減らすのは間違い

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身体がむくむと、「水分を摂りすぎているのかも」と水分補給を控えていませんか。しかし、実はむくみの原因はさまざまで、水分の摂りすぎだけが原因とは一概に言えません。1日に3〜4L以上の飲み物を飲んだときは水分の摂りすぎでむくむこともありますが、基本的に水分の摂りすぎによるむくみは、ほとんど起こらないのです。

身体がむくむのは、以下のような原因が考えられます。

・身体の中で炎症が起こっているとき
・重力がかかったとき
・身体内に老廃物がたまったとき
・たんぱく質が不足しているとき

疲れているときや長時間立ちっぱなしだったときに、むくみを感じた経験のある方は多いのではないでしょうか。それ以外にも、身体の中に老廃物がたまったときやダイエットでたんぱく質が不足したときも、身体がむくむこともあります。

老廃物がたまっている場合は、水分補給をして老廃物を外に出すことで、むくみが解消されることもあります。

減量時は、意識して適切な水分補給を継続しよう

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水は本来、身体に酸素や栄養を行き渡らせたり、体温調節をしたりといった重要な役割を担っています。食べたものを代謝したり、老廃物を外に出したりするためにも水が必要です。水分補給が不十分だと、便秘になったり尿から老廃物を出せなくなったりしてしまいます。

ダイエット中は食事量が減る傾向にあるので、普段よりもさらに水分補給を意識する必要があります。なぜなら、食事から取り入れる水分量が減ってしまうためです。そのため、飲水の量を増やし、今までと同じ量の水分補給を意識して継続する必要があります。

また、自分に必要な水分量の目安はありますが、水分摂取はオーダーメイド。目安はあくまでも参考にとどめて、体重測定を行い、太らない量の水分摂取量を見つける必要があることを忘れないでください。

他にもむくみの解消や自律神経を安定させるために、意識して欲しいことがあります。

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減量に取り組むなら、適切に水分補給しながら、上記のコツを生活に取り入れることからはじめてみてください。

こまめな水分補給で肌の調子も整う

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ダイエットで食事や水分を制限した結果、お肌の調子が悪くなってしまった経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。実はダイエットだけでなく、お肌のためにも、水分補給は重要です。なぜなら、健康な肌を保つためには、外側から保湿するだけでなく、身体の内側を十分な水分で満たすことも必要だから。

熱中症を予防するための水分補給にもあったように、「自分にとっての適正量をこまめに摂取する」という、水分補給の基本を守るよう心がけましょう。

なお前提として、ダイエットも美容も、水分補給だけでどうにかしようとしないことを忘れないで。健康的な身体を手に入れるためには、食事も運動も必要不可欠です。

適切な水分補給で健康的なダイエットを

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水は生命を維持するうえでとても大切な働きをしているので、ダイエット中だからといって水分量を減らすのは禁物。必要な量をこまめに飲むよう心がけましょう。

健康的な水分補給の方法について、より詳しい内容が先生の著書『いのちを守る水分補給』に記載されています。記事で紹介しきれなかった内容も載っているので、気になった方はぜひ先生の書籍もチェックしてみてくださいね。

■今回のお話を伺った谷口英喜先生の著書

『いのちを守る水分補給: 熱中症・脱水症はこうして防ぐ』谷口英喜・著 評言社

『いのちを守る水分補給: 熱中症・脱水症はこうして防ぐ』谷口英喜・著 評言社

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著者プロフィール

村岡祐菜(むらおか・ゆうな)
薬剤師・フリーライター
千葉大学薬学部薬学科卒業後、薬局薬剤師として約4年間勤務後、ライターとして独立。現在は不定期で薬局薬剤師として現場に入りつつ、医療関連のコラム制作や取材記事の制作に関わる。専門知識を一般の方にもわかりやすく伝える文章を書くのが得意。

制作

監修:谷口英喜
取材・文:村岡祐菜

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