マスクの下に日焼け止めは必要？マスクの紫外線防御効果を皮膚科医が解説

●マスクの紫外線防御効果は乏しい。
●マスクをつけていても日焼け止めは必要です！
●「 UPF50+ の紫外線対策布マスクの下に不織布マスクを重ねる」という方法も。

だんだん汗ばむ季節になってきましたね。そろそろ日差しを気にして日焼け止めや日傘など、紫外線対策を始める方も多いのではないでしょうか？

さて、コロナ禍以降に皮膚科外来でよく受ける質問の一つに「マスクの下に日焼け止めは塗るべきですか？」というものがあります。確かに、顔がマスクに覆われることで紫外線をカットできそうな気もしますよね。

はたしてマスクをしていれば日焼け止めは塗らなくてよいのでしょうか？皮膚科専門医が解説していきます。

やさひふ（Yasahifu）
医師 / 皮膚科専門医 / 医学博士

Lumedia 編集長。怪しい医療情報に惑わされる患者さんを多く見た経験から Lumedia の立ち上げを決意。 皆さんのすこやかなお肌を守るため、Twitter で科学的根拠に基づいたスキンケア情報発信中。

【目次】
1.マスクの下に日焼け止めは必要？
2.マスクに日焼けを予防する効果はないの？
3.おすすめの日焼け止めは？
4.紫外線とウイルスに負けないマスク戦略

最初に正解を発表すると、マスクの下にも日焼け止めは塗るべきです。

アメリカの皮膚がん財団は「一般的なマスクの紫外線防御効果は弱いから日焼け止めも毎日塗りましょう」と提言しています (参考文献1) 。

「太陽光を長時間浴びるなら SPF30 以上の日焼け止めが必要です。マスクの SPF は素材や色によって多少の差はありますが、7程度しかないと考えてね」とのことです (参考文献1) 。

SPF とは紫外線をどれくらいカットできるかを表す指標で、この値が高いほど紫外線に対する防御効果も高いことを示します。詳しくはこちらの記事で解説しています。

実際、一般的な不織布マスクの紫外線防御効果を調べた実験では「 UPFは 6-11 程度」との報告があります (参考文献2) 。

前に「紫外線と衣服」の記事で解説しましたが、 UPF とは衣服が持つ紫外線防御効果を示す数値であり、15以上であれば「Good」と表示できます。

一般的なマスクの UPF はこの基準に達していません。マスクの紫外線防止効果はゼロではないですが必要なレベルには程遠いのです。「普通のマスクのみでは十分な紫外線対策ができない」と覚えておきましょう。

では、マスクの下に塗る日焼け止めとしてはどのようなものが適しているのでしょうか？

「マスクの下にニキビができやすくて困るなぁ」という方には、ぜひ覚えておいてほしいポイントがあります。それは、「ノンコメドジェニックテスト済」と書かれている日焼け止め製品を選ぶことです (参考文献3) 。

マスク (mask) の下にはニキビ (acne：アクネ) ができやすいので、英語圏ではマスクによって生じたニキビのことを「maskne(マスクネ)」と呼ぶこともあります。

以前に「ニキビにオススメの化粧水/乳液/美容液ってあるの？」の記事で解説したように、ノンコメドジェニックテスト済のスキンケア製品はニキビに悪影響を与えにくいのです。日焼け止めも同様であり、ノンコメドジェニックテスト済の日焼け止めなら、ニキビ肌の方でも安心してマスクの下で使用できますよ。

日焼け止め対策として通常のマスクの代わりに「紫外線対策マスク」を選ぶ方法もあります。「 UPF50+ 」と表示されているマスクを使ってみるのもありでしょう (参考文献3) 。

ただ、紫外線対策マスクのみだと、今度はウイルス対策として効果が不十分なことがあります。それでは本末転倒ですよね。

新型コロナウイルスと紫外線をダブルブロックしたい方は、 紫外線対策効果が高い「UPF50+ の布マスク」の下に、ウイルス対策効果が高い「不織布マスク」を重ねるという作戦を採用すると良いかもしれません。

以上、マスクの紫外線防御効果について解説しました。

マスクから上の部分にしか日焼け止めを塗らず、うっかりマスクの下だけ日焼けしてしまうと恥ずかしいですよね笑

適切な対策で顔全体の美肌を守りましょう！

本記事について、開示すべきCOIはありません。

COIの開示基準については、日本内科学会の『医学研究の利益相反(COI)に関する共通指針』に準じています。より詳細はこちらをご覧ください。

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