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2023.03.21

簡単にできてリラックス効果の高い呼吸法とは?【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

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忙しくてストレスの多い現代人。簡単で効果的にリラックスできる術を知っておくと便利ですよね。

今回ご紹介するのは、Cell Reports Medicine誌に、2023年1月17日ウェブ掲載された、簡単な呼吸法のリラックス効果についての論文です。
  

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効果的なリラックス方法とは?

精神的なストレスが強く、常に自律神経が緊張している人の多い現代では、簡単に短時間で交感神経系の緊張を緩め、リラックスする方法が求められています。

その方法として現在広く使用されているのが、マインドフルネス瞑想と呼ばれる手法で、これは仏教の座禅などをヒントにして、個人で出来る簡単な瞑想法をマニュアル化したもので、一定のリラックス効果が科学的に認められています。

ただ、体得するには一定の訓練と時間とが必要で、誰でも簡単に実行可能とまでは言えません。

もっと簡単な方法はないのでしょうか?

さまざまな呼吸法と瞑想のリラックス効果を比較調査

今回の臨床研究では、3種類の簡単な呼吸法のリラックス効果を、同じ時間で行われたマインドフルネス瞑想と、比較検証しています。

新型コロナなどの理由で他人とのコンタクトが困難な、108名の対象者をくじ引きで4つの群に分けると、3種類の呼吸法施行群とマインドフルネス瞑想施行群に振り分けて、いずれも毎日5分施行することを1か月継続します。

呼吸法は「周期的溜息」と名付けられた、2回に分けて大きく息を吸い、ゆっくり時間を掛けて吐き切るというものと、吸気と呼気の間に息止めを行い、その周期を継続するもの、過呼吸と長い息止めを繰り返すものの、3種類が検討されています。

その結果、施行1か月の時点での気分の改善などの効果は、マインドフルネス瞑想よりも、3種類の呼吸法群においてより高く認められ、特に呼気時間を長くした周期的溜息において、最も高くなっていました。

呼気時間の長さがリラックス効果に影響

呼吸法はヨガや仏教などの修行においても、基本となる鍛錬法の1つであり、一時期流行したロングブレスダイエットも、呼気時間を長くするという意味では、「周期的溜息」という概念にも近いものです。

瞑想はどうしても観念的で、多くの人にとって気軽に行うにはハードルの高い面があります。自律神経の緊張を取りリラックス効果を図る方法の中で、呼吸法の指導は今後より広く普及することになるかも知れません。

記事情報

参考文献

著者/監修医プロフィール

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。2021年には北品川藤サテライトクリニックを開院。著書多数。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36