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2022.07.08

知らずに飲んでいませんか?サプリメントのほんとのところ

kencom公式:管理栄養士・前田 量子

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ドラッグストアはもちろん、コンビニエンスストアでも当たり前に見かけ、購入できるサプリメント。今現在飲んでいる方や、過去に買ったことがある、という方は多いのではないでしょうか。

そんな身近な存在のサプリメント。利用するとしたらきちんと理解して選びたいものですよね。
そこで今回は、実際サプリメントが法律上どのような位置づけなのか、区分はどうなっているのかをみていきます。

日本での“サプリメント”という名称について

身近で当たり前のように使われている“サプリメント”という名称ですが、実は行政的な定義がありません。
サプリメントはいわゆる“健康食品”の一種と位置づけられており、健康の保持増進に資する食品全般の中でも、「特定成分が濃縮された錠剤やカプセル携帯の製品」がそれにあたると考えられています。
しかし、明確な定義がないため、スナック菓子や飲料までサプリメントと呼ばれることもあります。

※アメリカでは、Dietary Supplementを「従来の食品・医薬品とは異なるカテゴリーの食品で、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブ等の成分を含み、通常の食品と紛らわしくない形状(錠剤やカプセル等)のもの」と定義しています。

意外と知られていない“健康効果を期待させる製品”の名称

出典:健康や栄養に関する表示制度とは(消費者庁)(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses/assets/food_labeling_cms206_20210608_01.pdf)

出典:健康や栄養に関する表示制度とは(消費者庁)(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses/assets/food_labeling_cms206_20210608_01.pdf)

サプリメントを飲む方は健康効果を期待される場合が多いと思いますが、その効果を期待させる製品の名称は多岐にわたります。
大きく分けると特別用途食品、保健機能食品、一般食品の3つです。

その中でもサプリメントの多くが一般食品に分類されており、効果や機能の表示はできないことになっています。しかし、含まれるビタミンやミネラルが栄養機能の規格基準を満たしている場合は栄養機能食品、と表示されます。

日本人の使用状況

そんな健康効果を期待させる製品を摂取している者の割合は、男性で 30.2%、女性で 38.2%であり、男女ともに60歳代で最も高い、という結果が令和元年国民健康・栄養調査で厚生労働省から発表されています。

また、摂取の目的について、20歳代男性で「タンパク質の補充」、20歳代女性で「ビタミンの補充」と回答した者の割合がそれぞれ最も高く、その他の年代では全てにおいて、「健康の保持・増進」と回答した者の割合が最も高くなっています。

出典:令和元年国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf)

出典:令和元年国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf)

本当に必要か考える

テレビやCM等で「○○が健康に効く!」と言われれば、次の日にはその商品が品薄となっていた……といった経験はありませんか?

食生活に影響を与えている情報源を「テレビ」と回答した人は52.3%と最も高く、男性では50代、女性では30代でその割合が最も高いという結果が出ています。特に女性は全体を見ても「テレビ」の割合が多い傾向にあります。
※出典:令和元年国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf)

健康を意識するのはとても大切なことなのでそれが悪いとは言いませんが、その栄養素が今の食生活で本当に不足しているのか、まず考えることをお勧めします。

特に病気がなく、バランスよく食事をとっていれば栄養素が不足することはあまりありません。栄養素をどれだけとればよいのかを示す『日本人の食事摂取基準』には1日当たりの量が書かれていますが、それを毎日コンスタントに必ず食べないと欠乏するわけではありません。1ヵ月ほどの期間で必要な栄養素を算出し、1日これくらいをという指針となっているので、多く摂る日、少なくなってしまう日があっても問題ではないのです。

まずは日ごろの食生活を見て、バランスがよくないと思えば食生活の改善を、そのうえで、やはり不足が考えられるときはサプリメントの利用を考えましょう。
バランスの良い食事は、「食事バランスガイド」を参考にするのもおすすめです。

基本は“一般の食品”から

一般的な食品は大昔から食べ続けられてきました。そのため、その食品の安全性はある程度の信頼がおけます。しかし、健康食品は最近できたものばかりです。

ビタミンやミネラルの重要性が脚光を浴び、欧米で錠剤・カプセル状の「栄養補助剤」が登場したのは1980年前後のことと言われています。
健康志向の上昇、食品成分研究の発展により、ビタミンやミネラルに限らずさまざまな「機能性成分」が注目を浴び、サプリメントとして利用されるようになってきました。しかし、大昔から食べられてきた食品と比べ、有効性や安全性については不明点がたくさんあります。

サプリメントには手軽に欲しい栄養素を補えるというメリットがあります。また、補いたい成分以外の摂取を控えたい時にも便利ですし、食事から栄養素を摂るよりも、同じ栄養素量でいえば経済的なことも少なくありません。
吸収が早い傾向にあるため、摂取タイミングを狙いたい場合は利便性も高いです。

しかし、私たちはその栄養素だけで生きているわけではありません。また、栄養素は1つで働くわけではなく、色々な栄養素がお互いに助け合いながら役割をはたしています。この栄養素をとっていれば安心、という栄養素は残念ながらないのです。

また、食品には未解明の栄養成分が含まれている可能性があります。その栄養素は今は分かっていないだけで、もしかしたらとても優れた成分かもしれません。精製されていないからこそとれるものの存在を意識することは大切といえるでしょう。

サプリメントを適切に取り入れるには?

「基本は一般の食品から」とお伝えしましたが、その人の年齢や、妊娠出産等のライフステージによって特定の栄養素が必要になる時もあるでしょう。
このような場合に、必要な量を補う目的でサプリメントを使用するのは良いと思います。

後編では実際にサプリメントを取り入れる上での注意点をご紹介します。

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前田 量子(まえだ・りょうこ)

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管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、電子レンジの加熱時間や法則を書いた『ロジカル電子レンジ調理』が2022年2月に発売。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

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