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2022.05.16

あなたの心は大丈夫?うつ病の実態と5つのセルフケア【病のトリセツ#4】

kencom編集部

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GWも終わり、本格的に新年度が始まる今は、通称・五月病と呼ばれる心の病が増えてくる時期。一時的な落ち込みが、うつ病などの心の病気に進行しないためには、どのような事に気をつければいいのでしょうか。

今回は、知っておくと安心なうつ病の病状や治療法に加え、予防に役立つ心のセルフケアについてもご紹介します。

うつ病とは?

うつ病は、興味・喜びが喪失した状態がほぼ1日中、沈んだ気分が続く心の病気です。誰にでもあるような一時的な気持ちの落ち込みは、健康な状態なら2~3日経てば回復します。しかし2週間経っても回復せず、仕事や日常生活に支障が出てしまっているならば「うつ病」と診断されます。

およそ10人に1人がかかる大変身近な病気で、ライフイベントの変化が大きい女性に多い傾向にあります。

うつ病がどうして起こるのか、まだ十分に解明されてはいませんが、現在わかっている原因は、ストレスと脳内の働きのバランスが崩れること。人間関係の悩み、過労、身近な人との死別、生活環境の変化など、積み重なったストレスがあると、脳内で意欲や気分を調整するセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンといった神経伝達物質の量が減り、十分に機能しなくなります。そのため感情をうまくコントロールできなくなって、発症すると考えられています。

心だけでなく身体にも出るうつ病の症状

うつ病は主な症状である気持ちの落ち込みの他に、睡眠障害や食欲の減退、疲労感、身体の痛みやしびれ、頭痛、吐き気、月経異常などといった、身体の症状が現れる場合もあります。

特に睡眠障害は、うつ病の多くの患者さんに見られ、主に3つの症状があります。

・早朝に起きてしまう(早朝覚醒)
・なかなか寝付けない(入眠障害)
・夜中に何度も目が覚めてしまう(中途覚醒)

特に早朝覚醒は、うつ病の方の多くが訴える症状です。

早期発見が大切。周囲が気付いてあげて

うつ病は自分では気付きにくい病気です。早期発見・早期治療につなげるには、以下の3つのAサインに早く気付けるかがポイントになります。

上記以外にも

・食欲がない
・口数が少なくなる
・以前からの趣味に興味を示さなくなる

という変化も気付きやすいサインです。
できることなら、重症になってしまう前に家族や周囲の人が気づいてあげて、なるべく早い段階で受診できるよう背中を押してあげましょう。

自分自身でも心の状態が気になるならば、web上で簡易チェックができます。参考にしてみてください。

うつ病治療の基本は、休養・精神療法・薬物療法

休息

うつ病の患者さんは、真面目で責任感が強く自分を追い込んでしまっている方が多いため、しっかり休息を取って心と身体を十分に休養させる必要があります。休むことに罪悪感をもつ患者さんも多いのですが、休養は治療の一環と理解し、心身を休ませて治療に専念することが大切です。

精神療法

医師やカウンセラーなどが、患者さんと対話を重ねながら問題を解決する方法をさぐるのが、精神療法。外来で1~2週間に1度程のペースで行います。

薬物療法

抗うつ薬を柱に、症状に応じて、気分安定薬、抗精神病薬、睡眠薬等を使います。薬の中には効果が出るまでに時間の掛かるものもありますので、焦らず医師の指示に従いましょう。

ため込む前にストレス解消!セルフケアで心を健康に

社会生活を送る上で、ストレスを完全に切り離すのは難しいものです。

大きな仕事やイベントがあるときのように、一時的にストレスが高まっても、原因がなくなると共に解消されるなら問題はありません。しかし、休みの日もずっとストレスを感じ続けているなら要注意。うつ病へと進行するのを防ぐためにも、普段からこまめなストレスケアで心を緩めてあげましょう。

手軽にできるセルフケアでも、ストレスを癒やし、リラックスに導いてくれる方法はあります。ストレスをため込む前に、ぜひお試し下さい。

① マインドフルネスで心の状態に気付く

マインドフルネスとは、瞑想を活用して心の整え方や持ち方を訓練すること。

ほんの少しの失敗なのに自分を責め続けてしまうようなとき、いち早くそれに気付いて、悩みや苦しさから距離を取り、歯止めをかけることができるようにする訓練です。具体的にはレーズンエクササイズや、3分間呼吸空間法などがあります。簡単なエクササイズですが、続けていくうちに、自分の心の変化に敏感になれるはずです。

② ストレスに効く食生活

ストレスに対抗するホルモンの分泌を円滑に行うためには、体内時計を整えることが大切なのだそう。食事は時間を決めて3食きちんととり、体内時計を整えましょう。

なお、咀嚼による刺激でストレスが軽減するという研究もあるので、白米を玄米にするなど、よく噛まねばならない食材に切り替えるのも手です。

③ 運動で自律神経を整える

ストレスがかかると緊張時に高まる交感神経の働きが優位になり、リラックス時に活発になる副交感神経の動きが鈍ります。適度な運動を行えば、運動後に身体を休ませようとして副交感神経が働くようになり、自律神経のバランスを整えることができます。

運動習慣のない人でも手軽にできるおすすめの運動は、身体を動かしてストレス撃退!心を整える運動テクニックで紹介しています。

④ アロマテラピーでリラックス

アロマセラピーは、精油を薬剤として用いた医療のこと。発祥の地、フランスでは、医学として研究が進んで予防医学や代替療法として多くの方の指示を得ています。

天然由来の精油を室内に香らせたりお風呂に垂らしたりすることで、香りの力がダイレクトに脳に届きます。不眠やイライラなどの精神的不調をはじめ、花粉症などの呼吸器系のアレルギー疾患などにも効果があると考えられています。

⑤ツボ押しでストレス緩和

手のひらには、イライラを解消し、頭をすっきりさせてくれるツボ『労宮(ろうきゅう)』があります。労宮を刺激することで、ストレスによるイライラを沈めたり、眠気覚ましによいと言われています。緊張しているときや、疲れているときは、自分で労宮をツボ押しして、気持ちを落ち着けましょう。

ストレスを溜めるのは厳禁!こまめに解消を

生きていく上でストレスは必ず付いて回るもの。完全にストレスのない生活を送ることはできません。とはいえ、ストレスを放置して心に無理をさせることは禁物です。ストレスを感じたらこまめに解消するようにし、ため込まないことを心がけましょう。

気持ちがなかなか浮上してこないときは早めに専門医に相談し、頑張りすぎの自分を少しセーブしてみて下さいね。

本記事は過去のkencom記事をもとに再編集・編成したものです

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