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2022.01.28

ストレスは人生のスパイスになるのか?【笑トピ・#6】

明治大学名誉教授・日本笑い学会:山口政信

静岡県島田市を流れる大井川にかかる蓬莱橋は全長が897.4mあることから、「厄なし」という語呂で知られています。また1997年に「世界一の長さを誇る木造の歩道橋」としてギネスブックに登録されたこともあって、「厄なしの長生き橋」と称されて人気を集めています。人や自転車にぶつからぬように注意して、一休さんのように真ん中を歩いてみてはいかがでしょう。

ところで前回の文末をどのように受け止めましたか。

ストレスはすべてが悪ではない

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ぐずぐずとストレスを溜めた人から実際に歩いてルンルン気分の人まで、十人十色だったと思います。G・B・ショーの言う、グラスに半分入っているワインを見て、半分しかない、半分も残っている、というような解釈の違いがストレスに及ぶと、健康と未病の別れ路になるかもしれません。

そのストレスとは「外圧がかかった時に生じる歪み」を意味する物理用語ですが、H・セリエ博士の「ストレス学説」によって馴染みが深くなりました。私たちが知っておきたいのは、身心に及ぶ外からの刺激を「ストレッサー」、その歪み/反応としての防衛や適応を「ストレス」と言い、世間ではこれらを総じてストレスと呼んでいるということです。

ストレス/ストレッサーは否定的に扱われやすいことはご承知の通りですが、セリエ博士が「ストレスは人生のスパイスだ」とも述べています。つまり適度なストレスは生き甲斐や目標になり、人生を豊かにしてくれる調味料のようなものであるという意味です。病は避け難いストレスですが、医・科学者は病を克服すべき目標に定め、「病の巣窟」と言われる人類のストレス軽減に貢献してきたことはその一例です。

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ストレスに強い人は、自律神経系、内分泌系、免疫系の機能を総動員して物事に立ち向かう能力に長け、よく笑います。ユーモアの持ち主には、プレッシャー/ストレスをネタにして笑い飛ばすなど、陽気でポジティブな気質が根気強さや勝負強さの底流に存在します。そこで創作したのが《ユーモアであなたはもっと強くなる》です。これは私が自作した「マラソンいろはカルタ」における「ゆ」の句で、ユーモアを「あなたはもっと」(you more)に掛け、ユーモアや笑いがスポーツに果たす役割に切り込んだものです。

心の底からの笑いや感激して流す涙は前向きの感情ですが、悲観的になって落ち込んだり怒ったりすることは後ろ向きの感情です。この後ろ向きの感情から立ち直る力は、レジリエンス機能によるとされています。次回はこの辺りを探ってみたいと思います。

著者プロフィール

■山口 政信(やまぐち・まさのぶ)
明治大学名誉教授
1946年生まれ。東京教育大学体育学部卒業・東京学芸大学大学院教育学研究科修了。日本笑い学会理事、日本ことわざ文化学会理事(事務局長)、スポーツ言語学会初代会長。全国中学校放送陸上競技大会80mハードル優勝(中学新)、日本陸上競技選手権大会/メキシコ五輪最終選考会400mハードル6位、フルマラソン完走121回。「創作ことわざ」に「わざ言語」の機能を見出し、体育・スポーツ教育を実践。学生には「体育を国語でやる先生」と呼ばれる。明治大学リバティアカデミーに「笑い笑われまた笑う」を開講し、笑ってもらうことをモットーとした。主著に『スポーツに言葉を』(単著)があるほか、『陸上競技(トラック)』・『笑いと創造第四集』(以上共著)、『笑いとことわざ』(共編著)、『世界ことわざ比較辞典』(共監修)など多数。

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