2021.08.30
9月1日は防災の日。管理栄養士がおすすめする備蓄食品の選び方
9月1日は防災の日。家庭で防災グッズを棚卸ししたり、災害時の食についてあらためて考えるのに良い機会ですね。
今回は備蓄食材と、それを使った普段から活用できる簡単なお弁当レシピをご紹介します。
備蓄食品の選び方
防災用の備蓄食品として、どんなものをストックされていますか?
防災用、非常食として探すと、専用のものがずらりと出てきます。さすが専用なだけあり、かなり長期間保存ができて便利なものが多いですが、その反面通常のレトルトや缶詰に比べると高価になりがちです。賞味期限が近付いてももったいなくて食べられず、気づけば賞味期限切れ、結局無駄にしてしまった…という経験はあるのではないでしょうか。
日常使いできる食材&常温長期間保存できるもの
特別な災害食品を買い揃えずとも、缶詰やインスタント食品、基本調味料、乾物など、普段ご家庭で使うものでも日持ちする食材は案外多いものです。日ごろから使っているものであれば、使いながら買い足すことで無駄になりませんし、食べ慣れた味なので、災害時の緊張した状況下にちょっとしたリラックスを与えてくれるというポイントも。
災害時は電気・ガス・水道のライフラインが止まることを想定すると、冷蔵庫も使えなくなりますので、常温で長期保存できてすぐに食べられるものが備蓄食品に向いているといえます。
家族に合った量と不足しがちな栄養素がとれることを意識
農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」によると、備蓄食品は「家族人数×最低3日分」。できれば1週間分を備えることを推奨しています。
災害時の食事は炭水化物に偏りがちになります。「大規模災害時の栄養・食生活支援活動ガイドライン」によると、災害発生から3日以降はタンパク質やビタミン・ミネラルが不足することがわかっています。
このことからも、ご飯や麵などの主食だけでなく、タンパク質がとれるもの、ビタミンやミネラルがとれるものを意識するようにしましょう。
タンパク質の摂取には「缶詰」
災害時のタンパク質摂取に便利なのが缶詰。ツナ、サバ、コンビーフ、焼き鳥など様々な缶詰があります。タンパク質量も豊富で、缶をあけたら調理せずに食べられる点も災害時に向いています。
ご自身の好きなもので構いませんが、災害時は運動不足や水分不足で血栓症のリスクが高まると言われていますので、オメガ3脂肪酸を多く含む「魚の缶詰」を備蓄しておくと良いでしょう。
ビタミン・ミネラル摂取には「野菜ジュース」「乾物」
ビタミンAやCは生の野菜に含まれており、災害時はどうしても不足しがちです。そんな時に便利なのが野菜ジュースや果物のジュース。常温保存できるブリックタイプで、栄養強化されているものだと更に良いですね。水分補給にもなりますので、水のストックとしてカウントしても良いでしょう。
しかし、これだけに頼ると食物繊維が不足しますので、加えて乾物もストックしておくことをおすすめします。
切り干し大根やひじきなどはミネラルが豊富で普段から積極的にとって欲しい食材。災害時は水が貴重になるので、切り干し大根を戻す際は、コーン缶の水分と醤油少々をビニール袋などに入れて戻してください。食物繊維・ミネラルが豊富な副菜ができます。災害時は便秘にもなりやすいため、食物繊維をとることで便秘解消にも役立ちます。
缶詰を使った簡単弁当
上記で挙げた備蓄向き食材で、かつ普段の食事で使いやすいものとしてツナ缶やコーン缶があります。
ツナ缶にはタンパク質が豊富ですし、コーン缶はどのご家庭でも普段からよく使う食材でなじみ深く、どちらもすぐに食べられます。これを使った簡単なレシピをご紹介します。
ツナとコーンの簡単ピラフ
材料(作りやすい分量)
米 2合
ツナ缶 1缶(70g)
コーン缶 1缶(固形量120g)
コンソメ 1.5個(顆粒の場合は大さじ1と1/3)
<付け合わせ>
ブロッコリー 60g
ミニトマト 2個(約30g)
主な栄養素(ピラフ出来上がりの1/3+付け合わせの野菜全量)
エネルギー:476kcal(男性20% 女性26%)
タンパク質 15.1g(男性25% 女性30%)
ビタミンC 94mg(男性 女性とも94%)
※()内は1日当たりの所要量に対する充足率
作り方
1.お米をといで炊飯器に入れ、2合分の水を入れる。ツナやコーンから水分が出るため、ここから大さじ2の水を取り除き、30分以上浸水しておく。
2.ツナとコーンはざるにあげて水気をきる。コンソメは砕いておく。
3.1の上に2を入れ、通常モードで炊く。
4.炊けたら全体をかき混ぜ、蓋をせず5分ほど余分な水分を蒸発させる。
5.お弁当箱に詰めて、粗熱が取れたらブロッコリーとミニトマトを詰める。
美味しく作るPoint
1.炊き込みご飯は調味料を加える前に30分浸水させることで、芯になることを防げます。
2.具材と米は混ぜない方が美味しくできます。
3.多少水っぽくなるため、炊き終わったら軽くほぐし、蓋をせずに余分な水分を蒸発させると良いです。
4.余ったら冷凍保存できます。カレー粉と炒めなおせばカレーピラフにリメイクできます。
日頃から身体づくりと備蓄で災害の備えを
防災の日は、家族で改めて見直すのにいい機会です。
災害時のために万全に備える、というのはなかなか難しいものですが、無理なく備えられるような工夫を家族で話してみてはいかがでしょうか。
また日ごろから健康な身体であれば、非常時にも体調を崩しにくいものです。そういった意味でも日ごろから健康を意識することが大切です。
今回使用したツナ缶はどの年代も非常に食べやすく人気がある食材ですが、血栓を防ぐオメガ3脂肪酸含有量はサバ缶に比べて少なめです。サバ缶やイワシ缶等の缶詰も常備することをお勧めします。
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前田 量子(まえだ・りょうこ)
管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、最新著書『おうちで一流レストランの味になるロジカル洋食』(全て主婦の友社)が好評発売中。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。