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2021.02.23

どうしたら止められる?ダイエットの天敵「甘いもの」との付き合い方

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

おうち時間が増えゆっくりとティータイムを楽しむ方、いつでも甘いものに手を伸ばせる環境になった方も増えたのではないでしょうか。
甘いものを食べると幸せな気持ちになりますし、美味しくリラックスできますよね。

しかし、ついつい食べ過ぎてしまったり血糖値が気になったり……。いいことばかりではないのが悩みのたね。
今回は「甘いもの(糖質)」と上手に付き合う方法についてお話します。

恐ろしいほど魔力を持った「甘いもの」との付き合い方とは?

なぜ、糖質は身体に悪いといわれるの?

ここ数年ダイエット方法としてブームになっているのが「糖質オフダイエット」。これは糖質の摂取量を減らすことでダイエットをするという方法です。

しかし、糖質というのは本来私たちにとって元気と集中の素と言われるくらい大切なエネルギー源なのです。
食事バランスガイドでも糖質を含んだ炭水化物を含むメニューは一番上に記載されており、しっかり摂ってほしい栄養素とされています。

引用:厚生労働省・農林水産省「食事バランスガイド」(平成17念6月決定)https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/index.html

引用:厚生労働省・農林水産省「食事バランスガイド」(平成17念6月決定)https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/index.html

ではなぜ糖質は身体に悪いといわれるのでしょうか。
糖質を含む食材を摂ると、体内に糖質が入ってブドウ糖まで分解され、血液中のブドウ糖の量が増えるため「血糖値」は上がります。
そして血液から全身に糖が配られるほか、高い血糖値を正常値に抑えるために「インスリン」というホルモンが働いて血液中の糖は食事前の状態(低い状態)に戻ります。
そこで気を付けたいのが「血糖値スパイク」という状態です。

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通常は食事を始めると血糖値が緩やかに上がり、また元の値まで戻ります。
しかし、上図のように血糖値が急上昇したのち急降下し、グラフの線が尖ったものや釘を表す「スパイク」状態になる場合もあります。これを血糖値スパイクといいます。

食後通常の値に戻るため、なかなか判断が難しいとされていますが、実はこの食後血糖値が急上昇・急降下する「血糖値スパイク」の状態を繰り返すと血管が傷つきやすくなり、やがて血管の障害や大きな病気につながることがあります。
血糖値は糖質によって左右されますが、糖質の「摂り方」に注意が必要なのです。

こんな人は注意が必要!

血糖値スパイクを起こすには体質など様々な原因がありますが、食習慣や生活習慣も大きくかかわっています。
下表のような習慣を、知らず知らずのうちに身に付けていませんか?

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空腹時、はじめに糖質を摂ると一気に血糖値が上がり、それを抑えるためにインスリンを大量に出す必要があり、これによって今度は急降下する……。こうなると身体の中は大忙しになります。
皆さんも過密スケジュールを何日も連続してこなすとなると疲れて力が出ない状態になりますよね。
それは身体の中も一緒です。身体(血管)に負担をかけないためにも血糖値スパイクには要注意なのです。

さらに血糖値が急降下すると身体は危機的状況と判断し、糖を欲します。
これが糖を余計に必要とする悪循環のひとつです。
糖質を摂りすぎるとそれを代謝するためのビタミンB群も大量に消費されてしまいます。ビタミンを無駄に使わないためにも糖質の摂り方には注意が必要です。

糖質をオフにすれば問題は解決する?

「糖質オフダイエット」は3大エネルギー源のひとつである糖質の量を減らすため、取り入れるエネルギー量が減ることで体重の減り方も早いのが特徴です。

しかし、これは糖尿病など糖の代謝が上手にできない方への食事療法です。
健康な人が急に糖質の量を減らすと一時的に体重は減るかもしれませんが、人によっては
・集中力が持続しない
・リバウンドをする
・糖質を減らした分、たんぱく質や脂質からのエネルギーが増えすぎて結果としてカロリーオーバーになる

など様々なデメリットもあります。
また、もともと糖質の摂りすぎではなく脂質の摂りすぎが原因で体重が増えてしまった人に対しては食事改善の内容としては不適切となります。
まずは自身の食生活を振り返り、どのくらい糖質を摂っているのか、本当に摂りすぎているのかをチェックしましょう。

実際どう抑える?糖分を控えるためのコツ

血糖値スパイクを起こしにくくし、さらに甘いものを控えるコツはとてもシンプルです。

(1)食事の初めに食物繊維を含む野菜やきのこ、海藻が含まれる料理を摂る

食物繊維は糖質の吸収を穏やかにすることで血糖値の上昇を緩やかにしてくれる働きがあります。

サラダやきのこを使った炒め物、海藻入りのお味噌汁など特別な料理でなくてOK。また、ごはんに雑穀米や大麦、玄米を混ぜることで食物繊維の量を増やすことができます。

(2)よく噛んで食べる

「黙食」が推奨される昨今、ついつい早食いになりがちな方も増えたのではないでしょうか。

よく噛むことには多くのメリットがありますが、中でもよく噛むことは脳への刺激となり、満腹中枢を刺激することで食べ過ぎの予防になります。
煮物などの食材を大きめに切って噛み応えのある仕上がりにするほか、ごはんを食べ過ぎてしまうという方は大豆などを一緒に炊き込み、ごはん自体に噛み応えのあるものをプラスするのも良いでしょう。

(3)見えるところに甘いお菓子を置かない

おうち時間が長いことを理由に、身の回りにつまめるお菓子を常備している……なんてことはありませんか。

目に見えないところに置くだけでも「ついつい・・・」ということが防ぎやすくなります。

(4)普段の飲み物を糖質が入っていないものに変える

普段からスポーツドリンクや甘みのあるものを常飲していませんか。

特に空腹時に糖質の多い飲み物をとると血糖値スパイクが起きやすく、低血糖になった際に身体は糖を欲します。そのため甘い飲み物はごくごく飲めてしまうのです。
常飲するのは無糖のお茶や水が望ましいでしょう。

(5)生活習慣を見直そう

疲れすぎていたり不規則な生活をしたりしていると、食欲のコントロールもうまくできなくなります。
疲れたな、と思ったらきちんと休む、そして質の高い睡眠をとることも重要です。

また適度な運動を習慣化することで気分転換になるだけでなく、血糖値のコントロールにも役立ちます。

お菓子・甘味からではなく食事から摂るのが賢い付き合い方に

大切なエネルギー源である糖質。お菓子やジュースからではなく、食事からきちんととることを心がけましょう。
また、規則正しい生活習慣を続けることで、無駄な感触は自然と減っていくはずです。
時には甘いものを食べるのもいいですが、節度をもって美味しく上手に付き合っていけるとよいですね。

参考文献

磯村 優貴恵(いそむら・ゆきえ)

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大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。
その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆など幅広く活動中。