2021.04.05
ひと工夫が質に関わる!夜の照明と眠りの関係【眠りの秘めたる力#11】
本連載では、起きた時に朝日を浴びる大切さについてお伝えしました。
光は睡眠の質を大きく変える要因の一つです。
そこで今回は、朝だけでなく夜の光についてどう扱っていけばいいのかをお伝えしたいと思います。
目に入る光の量をコントロールすれば睡眠の質を変えられる
光が眠りに与える影響
まずは眠りのメカニズムを簡単におさらいしましょう。
人が夜になると眠たくなり、朝になると起きられるのは、体内時計によって1日のリズムが調整されているからです。
その体内時計の調整を行なっているのが眠りのホルモンと言われる「メラトニン」。
メラトニンは光、特に環境光によって分泌量を調整しています。
メラトニンの分泌量は、起床後に網膜から朝日など光の刺激を感知すると減っていき、目を覚ましてくれます。
減ったメラトニンは14〜16時間後に再び分泌され始め、夜に眠くなるリズムが整えられます。
夜になっても分泌が抑制されると睡眠の質が低下してしまうのです。この大きな原因が照明にあります。
照明の色を工夫してみよう
では、夜はどんな照明で過ごすと良いのでしょうか?
帰宅してから就寝まで、3時間程度リビングで過ごす方が多いと思います。実は、この3時間で浴びる照明の明るさが睡眠の質に大きな影響を与えるのです。
家庭で一般的に使われている白っぽい『昼光色』といわれる光を、部屋全体が明るくなるほどの強さで3時間程度浴びていると分泌されるはずの「メラトニン」が半分まで減ってしまうと言われています。
これを避けるためには、リビングの照明をふんわりとした暖色系の『電球色』に変えるか、間接照明で過ごすことをオススメします。
また、使っていない場所の照明を消して全体的に明るさを落とすのも「メラトニン」が減るのを防ぐことにつながります。
私は、日が落ちる18時過ぎには昼光色から暖色系の電球色に変えて、夜ご飯を食べ終えたあたりから少しずつ暗くしていきます。入浴後は真っ暗に近いくらいまで暗くしてしまいます。
最初は暗さに慣れないかもしれませんが、慣れれば昼光色がとても眩しく感じますよ。
部屋を暗くして夜が来たことを脳に教える
また、意外と影響を与えるのが浴室の照明です。浴室内が明るすぎるとメラトニンが減ってしまう一因になります。
ちょっと明るいと感じるようなら入浴中は浴室の照明を消し、脱衣所の照明で入浴するとメラトニンが減るのを防ぎやすくできます。
暗すぎないのかなと思っていましたが、実際にやってみると充分に明るいです。むしろ、私はより心が落ち着き、リラックス効果が高まりました。
ただし、足元が滑らないように注意しましょう!
夜にストレッチやヨガ、音楽を聴く方は、その時間には部屋を暗くしてみてください。
部屋の照明を暗くして脳に『夜』がきたことを明確に知らせることで質の良い睡眠に繋がります!
また寝室にテレビがついている方は寝る前に必ず消すことを心がけましょう。
テレビや照明をつけっぱなしにして眠るとメラトニンの分泌が抑制されてしまい、たとえ長く寝ても起きた時に疲れが残ってしまいがちです。
常夜灯は常夜付けないように注意
部屋の照明を暗くしてという話をお伝えすると、なかには「常夜灯なら大丈夫かな?」と思われる方がいるかもしれません。
しかし、わずかな光でも浴びている時間が長ければメラトニンの分泌は減ってしまいますので、できれば消すことをおすすめします。
真っ暗な部屋は怖くて眠れない、光がないと眠れないという方は、網膜から光を感知させないようにすればメラトニンの減少を防げます。
ベッドで寝ているなら、ベッドよりも低い位置にフットライトをつけるなどすると、目に直接光が入りにくくなります。
また夜中トイレで起きたとき、トイレの照明をつけると眩しく目が覚めやすいです。
私の場合、トイレは暗くし、人感センサー付きのフットライトを廊下にセットしています。
ひと工夫で夜は明るさを感じないようにしよう
大事なことは「夜は部屋を暗くする」というとても単純なことです。
実行しやすいことなので今夜からぜひ試してみてください!
西谷 綾子(にしたに・あやこ)
睡眠改善インストラクター。
眠りのエキスパートとして、ワークショップや講演会などで活動中。自身のYouTubeチャンネル『あや吉チャンネル』では快眠のためのワンポイントアドバイスも行っている。
ランニングにも注力し、フルマラソンのベストタイムは3時間1分。〈Body & Soul Running Club〉を主宰し、初心者教育も行う。