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2021.03.29

ダイエットでよく出る「まとめ食べ」と「小分け食べ」はどちらが良い?

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

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年度末になり、新年度に向けて何か「新しいこと」に挑戦をしたり、「新しい自分」を発見したいと思ったりする方も多いのではないでしょうか。
なかでも、体型を変えるために努力している方が一度はぶつかるのが「食の壁」。特に、どう食べたら良いのか迷った挙句挫折してしまうケースは多いです。

今回は食事の中でも「まとめ食べ」と「小分け食べ」のメリットやデメリットについてご紹介します。

二大食事法のメリット・デメリットを解説!

そもそもダイエットで行う食事制限は有効?

まずは、ダイエットについて、改めて考えてみましょう。
当たり前に耳にする「ダイエット」という言葉ですが、本来、英語の「diet」は日常的な食事・食べ物を意味します。
日本では食事の量や種類を制限する食事療法のほかに、エクササイズや運動をして減量し、痩せた体型を目的とする「痩身」と同義に使われています。(※1)

まずはご自身がダイエットによってどのような身体になりたいかを明確にしましょう。
痩せることで細身の洋服を着たいのか、健康診断での数値改善に努めたいのか、目的は人それぞれです。
「万年ダイエッター」にならないためにはまず、目的を明確にし、目標を設定しましょう。

ダイエットのメカニズムはとてもシンプルです。

摂取エネルギー<消費エネルギー

この方程式が成立することで自然と体重は減少傾向に向かいます。
そのため、
(1)摂取エネルギーを減らす
(2)消費エネルギーを増やす
このどちらかがダイエットの基本的な手段となります。

(2)の消費エネルギーを増やすためには運動を行うことが必要となりますので、(1)の摂取エネルギーを減らすという点では食事制限を行うことは有効と考えられるでしょう。
そして問題は「どのようにして」食事制限を行うか、です。

置き換えダイエットや低糖質ダイエット、脂肪を極力減らすダイエットなど極端なものも多くあり、流行もありましたがおそらくどれも長続きしている方は少ないのではないでしょうか。
また、何か特定の栄養素や量を調整する方法以外にも「まとめ食べ」と「小分け食べ」のように食べる頻度に注目するダイエット法もあります。

もし制限するならダイエット向きはどっち?

1日3食を基本の考え方とすると、「まとめ食べ」は1度に食べる量を増やす代わりに食べる回数を1日1~2食と減らす方法です。
「小分け食べ」は1度に食べる量は少ないけれど食べる回数を4~8回と細かく区切って食べる方法です。
そもそも1日3食食べるにはそれぞれ意味があります。

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これらを基本として食事のコントロールができれば一番良いです。しかし、生活スタイルや体調によって食事のとり方も様々になりがちです。
以下では、よく言われる「まとめ食べ」と「小分け食べ」について、それぞれダイエットにおける特徴を見ていきましょう。

■まとめ食べのメリット・デメリット

1度に食べる量を増やす代わりに食べる回数を1日1~2食に減らす「まとめ食べ」。
これは忙しすぎて食事をとる時間がなかなか取れない方には時間を有効に使えるという点ではメリットとなるでしょう。

また、1度に食べる量にも限度があるため自然と食事の量が減る可能性も期待できます。

デメリットとしては血糖値の乱高下が起こりやすいということです。
空腹時に一気に糖質などのエネルギー源を取り入れることで身体は必死に取り込もうとします。
つまり、血糖値がグッと上がりインスリンが大量に分泌されることで急降下。
こうなると食後に猛烈な眠気が襲ってくるほか、集中力が続かないことも。
血糖値の乱高下が続くことで血管にとって大きな負担にもなります。

また、まとめ食べがドカ食いになってしまうと、胃腸への負担も大きくなります。
まとめ食べをする際は食べる順番や食べる内容に十分に注意をしましょう。
小腹が空いたときにちょこちょこ間食をしていると逆にエネルギー過多になってしまうのでいつ食べるか、を見極めることも大切です。

■小分け食べのメリット・デメリット

1度に食べる量は少ないけれど食べる回数を4~8回と細かく区切って食べる方法は小食の方に向いています。
エネルギー源が少ないと自然と体重は落ちていきやすいのですが、食事の量が少ないと代謝に必要な栄養素まで不足しがちになります。
そのため、食が細い方でもちょこちょこ食べることで必要な栄養素を補うことが可能となる、というメリットがあります。

また、ついついドカ食いをしてしまうという方もちょこちょこ食べることで空腹感がそれほどない状態で食べることになるため、1度の食事量は自然と減ることが期待されます。
減量目的ではないですが、成長期で食が細い子どもや激しい運動をしている方、アスリートなどは頻回食にすることで必要なエネルギーや栄養素をとることができ、パフォーマンスの向上につながることもあります。

デメリットとしてはここでも血糖値の問題が挙げられます。
ちょこちょこ食べることで血糖値が下がりきらないまままた上がることになりますので、食事の内容と頻度によっては血糖値が高い状態が続く可能性もあります。
くれぐれもお菓子が食事替わりになることのないように気を付けましょう。

どう取り組むべき?食事制限のコツ

どのような食事スタイルになっても大切なことは食事の内容です。
1日3食でもそれが菓子パンやスナック菓子では栄養素の偏りがありますし、頻回食でもレタスのみではたとえ減量できても健康的な身体になれるかというと疑問が残ります。

まずはご自身の食生活を振り返り、「いつ、何を、どれだけ食べているか」を把握しましょう。
糖質オフをしても効果が出にくいのはもともと糖質をあまり食べていないからだった……、ということも気づけるかもしれません。

食事のバランスって何?と迷われたら独自の基準ではなく、一度「食事バランスガイド」(※2)を参考にしてみましょう。

目的と目標を明確にして、しっかりじっくり取り組もう

最後に、私たち人間を含む動物の身体というのは簡単に痩せるような仕組みにはできていません。それは子孫繁栄(種の保存)のためにエネルギーを蓄えることが本能的に備わっているから。
つまり、「痩せる」というのはそれだけ大変なことなのです。

目的と目標を明確にし、根気強く無理のない範囲でダイエットに取り組みましょう。また、ダイエットは減らして終わりではなく、維持することがゴール。長くつづけられる食生活をダイエットを機に身につけましょう。
ライフスタイルは人それぞれですので、ご自身にあった方法を見つけるヒントになりましたら嬉しいです。

参考文献

磯村 優貴恵(いそむら・ゆきえ)

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大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。
その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆など幅広く活動中。

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