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2021.02.26

インド式紅茶?奥深いチャイの世界【ちょっと茶話#5】

kencom公式:料理研究家・りんひろこ

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インド料理屋をはじめ、最近では様々なところで飲まれるようになった『チャイ』。
ですが、どんな風に作られているのかやその歴史を知っている方はまだまだ少ないかもしれません。
今回は、紅茶と似ているようで違うチャイの秘密について、解き明かしていこうと思います。

チャイってどんなお茶?歴史や飲み方をおさらい

チャイの歴史はインドの紅茶の歴史でもある

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「チャイ」はブラックティーをミルクで煮出し、甘みをきかせたインド発祥のお茶です。インドでは街中の至る所で売られている上、家庭でもよく作られて飲まれています。このチャイにスパイスなどを加えたものは「マサラチャイ」と呼ばれ、日本でもよく飲まれています。

実はその歴史は、意外と新しいのです。
中国で紀元前から存在が確認されている「お茶」は奈良・平安時代に日本に伝えられましたが、ヨーロッパに初めて「お茶」が伝えられたのは、それからずっと後のことで、1610年のこと。
東洋貿易に関して独占的な地位を占めていたオランダの東インド会社が、オランダ人が平戸で入手した日本茶と、マカオで入手した中国茶を”お茶”としてヨーロッパで紹介しました。
実は、そのころはまだ紅茶は発見されていなかったのです。

イギリスも、このオランダを通してお茶を輸入するようになりました。
その後、イギリスはオランダとの覇権争い(第三次英蘭戦争1672-1674)に勝ち、直接中国から中国茶を輸入し始めたのが1689年。この時の中国茶は、イギリス人の好みから、発酵度のより高い、紅茶に近い中国茶でした。

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そこから100年以上経った1823年、イギリス人の冒険家ブルースがインドのアッサム地方で自生の茶樹(アッサム種)を発見し、これが、日本茶や中国茶になる「中国種」とは別種の茶樹であることも確認されました。
つまり、インドの気候でも茶樹が育つことが分かった上、イギリス人の好むミルクティーに最適な”コク”のあるアッサム種の茶樹を発見できたのです。
自国の植民地であるインドで紅茶の茶葉を作れば、中国から輸入することもなく安定供給できるようになります。こうしてインドでの茶栽培が始まり、盛んになっていきます。

インド式チャイの誕生

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インドで栽培加工された紅茶は等級ごとに分けられますが、大きな葉はヨーロッパで高価に取引されるので、ヨーロッパへと輸出されました。
しかし、残ったブロークンやダストと呼ばれる細かくなった茶葉は、苦みが強すぎて商品価値も低く、ヨーロッパに輸送する方がコストがかかります。
そこで、このような茶葉を、どうにかしてインド国内で消費させたいと考えるイギリス人と、もともとスパイスを湯やミルクで煎じて飲む習慣のあったインド人の嗜好もあわさり、この細かい茶葉をたっぷりのミルクと砂糖で煎じて、紅茶の苦みをまろやかにし、かつ濃厚でおいしい飲み物に変身させた「チャイ」が生まれました。

「チャイ」は広くインド人に好んで飲まれるようになり、特に北インドにおいては、この「チャイ」こそが最も一般的な飲み物になりました。
さらにここに、シナモンやカルダモンなどの香辛料を加えた「チャイ」もまた、味わい深い飲み物になり、こちらは「マサラチャイ」として人々の間に広まりました。
現在「チャイ」は、アジアや欧米など世界中の人に愛飲され、コーヒーやホットチョコレートと並ぶくらいの人気のドリンクになっています。

現在のチャイの茶葉(CTC製の茶葉)

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そういった経緯から、インドでは製造過程で粉々になってしまった茶葉を使ってチャイを作っていました。
しかし、その後茶葉の製造も機械化が進み、収穫した茶葉を機械で細かく引き裂いてから丸めて粒状に加工して、いわば機械的にブロークン(細かくなった茶葉)状態の紅茶を作る「CTC製法」が確立されました。
これはティーバック用としても普及するようになります。

インドのチャイはこのCTC製法の茶葉がとっても合います。
現在はインドでも、このCTC製法の茶葉でチャイを煎れることが一般的です。

風邪予防にもピッタリなプレーンチャイの淹れ方

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今回は、飲みやすく、淹れやすいプレーンなチャイの作り方をご紹介します。
スパイスをいれない分、パンチの面では物足りなさを感じるかもしれませんが、深い味わいを楽しめますよ。

材料(2杯分)

水 180cc
茶葉(ティーバックのもの) 6g(約2袋)
牛乳 200cc
三温糖(砂糖でもOK) 10g(約大さじ1)

作り方

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1.鍋に水と茶葉を入れて強火で煮る。

2.沸騰したら弱火にして2分煮る。

3.牛乳を加えて強火にし、沸騰直前で弱火にする。

4.少しずつ火力を上げて、チャイを膨らませる(2分程度)(吹きこぼれないように注意)

5.茶こしで濾す。

6.飲む前に、お好みで三温糖(砂糖)を加える。

※1の鍋にお好みで、ホールのシナモン、カルダモン、クローブや、しょうがスライスなどを入れるとスパイシーになる。

様々なスパイスを淹れて楽しんでみては?

チャイに入れる基本スパイスは、シナモン、カルダモン、クローブの3つですが、他にも入れてオリジナルのものを作るのも楽しいですよ。
上でも紹介したように、しょうがスライスを入れてもいいですし、唐辛子を入れても意外に合います。
寒暖の差が激しい最近なら、少し足してみても面白いかもしれませんよ。

※飲み過ぎると下痢や貧血を起こす場合があります。体調がすぐれない時などはご注意ください。
※服薬などをしている場合は飲み合わせ等で、思わぬ事故になる可能性があります。健康リスクを感じられた場合は、医師に相談の上御賞味ください。

著者プロフィール

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■りんひろこ
料理研究家、フードコーディネーター。京都で学んだ懐石料理や、アーユルヴェーダや薬膳などの東洋の食養生の考えをもとにした美味しく簡単にできる料理を、TVや雑誌などで提案。著書に『作りおきで毎日おいしい! NYスタイルのジャーサラダレシピ』『ジャースチームレシピ』(世界文化社)がある。

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