2021.01.20
近いのに全然違うお隣韓国のお茶事情【ちょっと茶話#4】
遥かシルクロードを辿って日本まで伝わってきた緑茶をはじめとしたお茶たち。ならば、お隣韓国でも緑茶が盛んなのかと思えばどうやら事情は違うようです。
今回は、お隣の国、韓国のお茶事情についてお伝えしていきます。
さらに、風邪対策にもいいとされる「生姜茶」の美味しい淹れ方もご紹介しますよ。
気候の違いが生み出した韓国の異なるお茶文化
茶葉よりも薬草や果実・穀物が使われる韓国茶
シルクロードで考えると、中国ー韓国ー日本はつながりのある国。しかし、その文化の伝わり方や根づき方は少し違っていたようです。
そもそも韓国は儒教の国と言われており、仏教と密接な関係にある緑茶はあまり普及しなかったそうです。また、気候が茶木の栽培に適さなかったことも、茶葉を使ったお茶が普及しなかった理由として挙げられています。
その代わり韓国では果実や穀物にお湯を注いだり、煎じたりして飲む伝統茶が親しまれることになりました。最近では日本でもよく知られている「柚子茶」や「コーン茶」などもその一つです。
また伝統茶にはヨモギや桂皮といった薬草類を使用したお茶もあります。
韓国の代表的な伝統茶
ここではざっと、代表的な茶葉を表でご紹介していきましょう。
このように、基本的に果実や穀物を乾燥させたり、砂糖につけたり、はたまた発酵させたりといったものが多いのが特徴です。
味の好みで飲み分けるケースも多いそうですが、最も多いのは自分の健康状態に合わせて飲み分けること。
それだけ、韓国の方は昔から健康に気をつけていたのかもしれませんね。
デザートのような変わり種
ちなみに、韓国では食後のデザートなどとして親しまれているフルーツや雑穀を使った飲み物もあります。代表的なのが以下の2つでしょう。
・水正果(スジョンガ)
生姜と桂皮を煮た汁に砂糖やはちみつを加えてひと煮たちさせてから、干し柿を加えて柔らかくなったところをいただく。昔は冬に外にスジョンガを出しておいて、薄く氷が張ったものを飲んで楽しんでいた。
・シッケ(米のジュース)
名節やお祭りの際に料理のあとのデザートとして楽しんでいた飲み物。炊いたご飯に麦芽を混ぜた水を加え、保温して発酵させてから、砂糖を加えて冷たく冷やして飲む。
これらもお茶のように頻繁に飲まれています。
韓国流のお茶菓子
韓国茶と一緒に楽しむ韓国の伝統菓子は「韓菓(ハンクァ)」と呼ばれます。韓菓には穀類を使ったお菓子が多く、特にもち菓子の種類は豊富にあります。
中でも「薬菓(ヤックァ)」と呼ばれる小麦粉にごま油、はちみつなどを加えて油で揚げた菓子が、伝統茶と一緒によく出されます。
風邪の予防にも!生姜茶の美味しい淹れ方
今回は数ある韓国のお茶の中でも、飲みやすく、かつ風邪の予防にもいいとされる生姜茶の淹れ方をお伝えします。
家にあるものだけで作れますので、是非試してみてください。
材料
生姜 30g
水 3カップ600ml
砂糖 大さじ2~3
ナツメ(あれば) 5~6粒
淹れ方
1.生姜は皮付きのままよく洗い、薄切りにする。
2.1の生姜、水、ナツメを鍋に入れて、火にかける。沸騰したら弱火にして蓋をし、20~30分煮込む。
3.砂糖を加えて混ぜて溶かす。味をみて砂糖を調整して出来上がり。
日本とはまるで違うお茶を味わおう
最近では大手雑貨店などで柚茶の瓶詰めが並んでいたり、飲食店でコーン茶が出てきたりと韓国茶を目にする機会が増えてきました。
ぜひこれを機会に、様々な変わり種がある韓国茶の世界を覗いてみるのもいいかもしれません。
日本のお茶とは違った味わい深さを楽しめますよ。
※飲み過ぎると下痢や貧血を起こす場合があります。体調がすぐれない時などはご注意ください。
※服薬などをしている場合は飲み合わせ等で、思わぬ事故になる可能性があります。健康リスクを感じられた場合は、医師に相談の上御賞味ください。
著者プロフィール
■りんひろこ
料理研究家、フードコーディネーター。京都で学んだ懐石料理や、アーユルヴェーダや薬膳などの東洋の食養生の考えをもとにした美味しく簡単にできる料理を、TVや雑誌などで提案。著書に『作りおきで毎日おいしい! NYスタイルのジャーサラダレシピ』『ジャースチームレシピ』(世界文化社)がある。