2020.12.23
元祖お茶の国が誇る美味しいお茶の淹れ方とは【ちょっと茶話#3】
あらゆる飲食店で、食事の友として提供されている烏龍茶をはじめとする中国茶たち。お茶発祥の国と言われるだけあって、様々な種類のお茶がありますが、今回は緑茶と同様の茶葉を使用したものをご紹介します。
なんと同じ茶葉を使用していても、その処理の仕方で味も名前も変わるそう。
そんな不思議な中国茶の世界を覗いてみましょう!
千差万別の茶葉を色で分ける中国茶の世界
中国茶は6つの色で種類分け
中国茶はお茶文化発祥の地だけあって、さまざまなお茶が存在しています。その中でも大きな分類として用いられているのがお茶を入れた際の色。
基本的には、茶葉の発酵具合で大きく6種類に分けられます。下記の表は発酵の度合いが軽いものから順に並べたものになります。
ちなみに、中国茶といえば烏龍茶が有名ですが、中国国内で最も飲まれているのはこの分類上の緑茶です。
後味が爽やかなことから、食事に合わせやすいのが特徴です。
中医学的にみた中国茶
中医学には、その理論に基づいて、食事から身体を元気にしていくという「中医薬膳」という考え方があります。
その人の体質や環境などに適した食材を摂ることで健康になっていくというものですが、お茶もこの考え方に当てはめて飲まれることが多いです。その一端をご紹介しましょう。
発酵度の低いお茶は身体を冷やす「涼性」に属し、発酵度の高いお茶は「温性」に属すると考えられています。
不発酵茶の「緑茶」は涼性、完全発酵である「紅茶」は温性です。
烏龍茶(青茶)は発酵度が20~80%と幅があり、また焙煎がしっかりと入っているものとそうでないものに分かれます。烏龍茶は茶葉が緑色のものは発酵度が低く涼性で、黒いものは温性というように見分けます。
女性は身体を冷やしすぎないよう、特に秋、冬はできるだけ温性のお茶を毎日飲んだ方が良いと言われています。
また、プーアル茶(黒茶)などの熟茶は温性で、生茶は涼性といわれています。
中国茶の美味しい淹れ方
日本茶と違って中国茶は種類が豊富なので、茶葉によって適した温度・抽出時間・茶器があります。
今回は最もスタンダード、かつ飲む機会が多い烏龍茶の淹れ方をお伝えします。
1.茶器(急須、蓋椀、ティーサーバー、茶こし付きマグカップなど)に熱湯をかけ温めておく
茶器を温めておくことで茶葉が開きやすく、味をしっかり出すことができる。茶器が温まったらお湯は捨てる。
2.茶器に、茶葉を入れる
500ccが入る急須なら5g程度、マグカップなど150〜200cc量を入れるなら3g程度。
3.お湯を注ぐ
冷ましたものではなく、沸騰した熱湯を注ぐこと。熱いお湯を入れることで茶葉が開きやすくなる。
4.蒸らす
50秒〜1分程度蒸らす。温度が下がらないよう熱湯を急須の上からかけてもよい。
5.2煎目以降は90℃前後のお湯でもOK
2煎目以降は茶葉が開いているので、多少温度が低いお湯でも抽出できる。5〜6煎ほど楽しんだら茶葉を変えるとよい。
作り置きでも美味しくする方法
お茶を作り置く場合は、濃いお茶を入れておくのがポイントになります。
使い捨てティーパックに5g程度の茶葉を入れたら耐熱容器に入れ、そこに沸騰したお湯を200mlほど入れます。10~15分程置いておくと濃縮した茶汁ができるので、冷たくして飲みたい場合は氷水で、温かくして飲みたい場合は熱湯を茶汁の5倍程度注いで飲むといいでしょう。
一味も二味も違う烏龍茶を楽しんで
烏龍茶はペットボトルなどで飲み慣れている方が多いかもしれませんが、自分で入れてみるとその瑞々しい味わいに驚くかもしれません。
また、プーアル茶など他のお茶も、自分で入れてみると、その味わい深さを感じられます。
たまにはゆったりと時間をとって中国茶を自分で入れてみるのも面白いかもしれませんよ。
※飲み過ぎると下痢や貧血を起こす場合があります。体調がすぐれない時などはご注意ください。
※服薬などをしている場合は飲み合わせ等で、思わぬ事故になる可能性があります。健康リスクを感じられた場合は、医師に相談の上御賞味ください。
著者プロフィール
■りんひろこ
料理研究家、フードコーディネーター。京都で学んだ懐石料理や、アーユルヴェーダや薬膳などの東洋の食養生の考えをもとにした美味しく簡単にできる料理を、TVや雑誌などで提案。著書に『作りおきで毎日おいしい! NYスタイルのジャーサラダレシピ』『ジャースチームレシピ』(世界文化社)がある。