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2020.12.21

「洋食」を罪悪感なく食べるには?脂質&カロリーカットのコツを栄養士が伝授

kencom公式:管理栄養士・前田 量子

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ステーキにハンバーグにグラタンと、大人から子供まで幅広い世代を魅了する「洋食」。

しかし、洋食はカロリーがちょっと気になる…という方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、洋食を罪悪感なく味わうためのコツをご紹介します。

和食と洋食、それぞれの栄養の特徴は?

まずは和食と洋食を比較してみましょう。

昔からの伝統的な家庭料理「和食」は炭水化物(お米)を中心とし、おかず、漬物、味噌汁などで構成されています。ここ40年ほどで栄養バランスがグッと改善され、昨今の日本は世界でもトップクラスの長寿国です。

「和食は栄養バランスが良い」と世界的にも注目されていますが、今でも糖質や塩分が高めであることは課題となっています。

一方洋食は、脂質、たんぱく質、カロリーが多く、食物繊維が低い傾向にあります。特に、心筋梗塞などの心疾患の原因となる飽和脂肪酸が多いことが課題です。

多いものはカット、少ないものはプラスする

「和食は糖質・塩分が多め」「洋食は脂質(飽和脂肪酸)・たんぱく質・カロリーが多めで食物繊維が低め」がわかった訳ですが、洋食全てが悪いわけではありません。

洋食には、和食に不足しがちなたんぱく質をしっかり摂れるというメリットがあります。あくまでも大切なのは栄養バランス。多いもの(脂質、特に飽和脂肪酸とカロリー)はカットし、少ないもの(食物繊維)はプラスして、全体のバランスをとる方法をご紹介します。

その1:お肉よりも魚を選ぶ

先述の通り、洋食はたんぱく質が多いとお伝えしました。

良質なたんぱく質源といえば魚やお肉ですが、特にお肉の動物性脂肪には飽和脂肪酸が多く含まれており、控えたほうが良いとされています。魚にも脂が含まれていますが、DHAやEPAといった積極的にとりたい身体にとって良い脂です。そのため、種類や部位などを選んで、上手にとり入れればよいのです。

お肉については、肉の種類や部位ごとの特徴を理解し、脂質をカットするような選び方が大切です。

その2:お肉は鶏肉 > 豚肉 > 牛肉の順に選ぶ

鶏肉は、牛肉や豚肉よりもヘルシーというイメージは浸透していると思いますが、実際どれくらい違うのでしょうか。洋食の定番、ソテーやステーキで使用される部位別で比較してみましょう。

カロリーを比較したところ、和牛のサーロインは498kcalに対して、豚の肩ロースは253kcal、鶏もも肉に至っては204kcal(どれも100gあたり)。同じ重量で食べるとしたら和牛のサーロインに比べ、豚肉は約50%、鶏肉は60%カロリーオフということになります。

ちなみにたんぱく質の量を比べると、和牛のサーロインが11.7g、豚の肩ロースが17.1g、鶏もも肉が16.6gと、和牛よりも含有量が多くなります。

その3:部位でカロリーオフ

肉の部位でもかなり差が出てきます。例えば牛肉ですが、和牛ではなく、輸入牛にすれば脂質は50%、カロリーは40%も控えることができるため、輸入牛を選ぶだけで大幅にカットできます。

しかし「どうしても和牛のサーロインが食べたい!」そんな時は、周りの脂身を取り除けば、それだけでも大幅にカロリーオフになります。部位だけをみれば、脂身のないもも肉はサーロインと比べ60%もカロリーオフ。そのためステーキではなく、ローストビーフにして薄く切るなど工夫すれば、さらにヘルシーで美味しく食べることができます。

豚肉の場合、ご紹介した肩ロースよりもロースがおすすめです。

全体のカロリーは肩ロース253kcalに対して、ロースは263kcalとむしろ高くなるのですが、肩ロースの脂身は赤身の間に散在しているため分けることが難しいのです。しかし、ロースにいたっては赤身と脂身がはっきり分かれているため、脂身を取りのぞくことが簡単です。それだけで、同じ重量を食べたときに脂質は70%カットでき、カロリーも約40%カットできることになります。

鶏肉は、もも肉よりも胸肉を選べばカロリーが30%オフ。しかし、むね肉をソテーする場合は、焼く時にどうしても油を使ってしまいます。もも肉であれば、皮目を下にしてテフロン加工のフライパンを使い、火をつける前に肉を入れるコールドスタートにすれば油は不要です。そして食べる際は、皮を食べなければ、もも肉でも脂質を30%オフすることができます。

茹でる場合は胸肉の方がヘルシーに仕上げることができるため、調理によって選ぶようにしてください。

その4:野菜やきのこ、海藻をたっぷりプラス

次は、洋食で足りないと言われている食物繊維についてご紹介します。

食物繊維は、消化吸収されずに、小腸を通って大腸まで達する食品成分のことを指します。便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの効果が明らかになっています。

食物繊維は、野菜、きのこ類、海藻類に豊富に含まれています。これらはビタミンやミネラルも豊富で身体の調子を整えるためにも欠かせません。一日の目安は350gとなっており、特に緑黄色野菜が不足しがちと言われているので、ブロッコリーやほうれん草などを付け合わせに取り入れると自然とバランスが良くなっていきます。

毎回野菜料理を作るのが面倒…という場合は、野菜スープやマリネ、ピクルスなどをたっぷり作り置きしておくと無理なくとることができますよ。

その5:食べるタイミングと時間も重要!

同じものを食べるにしても、食べる順番やその時間も大切です。

主食や主菜を食べる前に、まずはサラダや野菜スープから食べる…いわゆる【野菜ファースト】がおすすめです。これには時間にもポイントがあり「野菜を5分かけて食べる」ことがコツとなります。

食物繊維はゆっくりと腸へ移動していき、栄養素の吸収を緩やかにすることで、血糖値の急上昇や食事後の血糖値上昇を抑制する効果につながっています。そのため、野菜と主食をとる間隔が短いと効果が薄くなってしまうのです。まずは、「野菜をゆっくりと食べる」と覚えてください。

その6:単品でなく、複数のものを組み合わせる

洋食も和食も同じですが、かつ丼、オムライス、スパゲティーなど、単品メニューをどん!と1品というのは炭水化物と脂質に偏りがちで栄養バランスが悪くなります。そのためぜひ、主菜と副菜を組み合わせてください。

と言っても難しいことはなく、サラダとスープにメインおかずのソテーを選ぶといった具合で大丈夫です。もし、パスタ単品になってしまう場合は、ペペロンチーノのような具がないタイプではなく、きのこや野菜がたっぷり入っているものを選ぶようにしてください。自分で作る場合は、パスタの量を減らし、えのきをパスタに見立て、プラスするといった工夫もおすすめです。

他にも、電子レンジを活用して調理過程の炒める油を無くしたり、洋食によくある煮込み料理やスープのとろみを、ルウ(バター+小麦粉)を使わずに片栗粉にするなど、自炊する場合のコツも沢山あります。次回の記事では、そんなポイントをふまえてレシピをご紹介したいと思います。お楽しみに!

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著者プロフィール

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■前田 量子(まえだ・りょうこ)

管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、最新著書『おうちで一流レストランの味になるロジカル洋食』(全て主婦の友社)が好評発売中。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

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