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2020.12.07

乱れた生活で直結!便秘は食生活から正してみよう

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

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この時期は家にこもりがちになり、運動の機会が少なくなってしまった方も多いでしょう。そうなると健康面でも変化を感じることが増えてきます。
そのお悩みのひとつが「便秘」。今回は便秘となるメカニズムや便秘の解消法などを紹介します。

どうしてなるの?便秘の秘密

そもそも便秘の正確な定義を知ってますか?

「便秘」という言葉は耳にすることも多いかと思いますが、どのような状態を指すのでしょう。
共通の定義はないとされていますが、日本内科学会によると

①3日以上排便がない状態

または

②毎日排便があっても残便感がある状態

このような状態を便秘と定義しています。
①の状態は何となく多くの方が認識しているかと思いますが、②の状態をみると「すっきり」していることがポイントとされていることがわかります。

便は身体からのお便りです!

私たちは日々、口から食物を取り入れ、咀嚼し、喉、食道を経て胃や腸で消化・吸収を行います。そして最終的に不要となったものを便として排出しているのです。
つまり、最後に出てきた便を見ることで身体の中がどのような状態であるのかを知ることができる大切な手がかりであり、身体からの「お便り」なのです!

皆さんはご自身の便を毎日チェックしていますか?
便の状態を色や硬さに分けると以下のようになります。

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理想的な便の状態は左から2番目のバナナ状もしくは半練り状で明るい茶色~黄土色です。身体の水分が少ないとウサギのうんちのようにコロコロとかたく排便の際に痛みを伴うこともあります。
子供の場合はこの痛みが嫌で排便自体が嫌い(苦手)になってしまうこともあります。

右側の泥状・水様状というのはいわゆる「下痢」の状態です。体調不良や食中毒の際などに見られます。通常の便に比べて水分が多いため、脱水に注意が必要な状態です。

また、これ以外にも便を観察した際に消化されていない食べ物がある方は「咀嚼不足」が予想されます。
ひじきやえのき、しめじなどの食物繊維が多く小ぶりな食材は噛む回数が足りずに飲み込むと消化できず、そのまま便に出てきてしまうこともあるので早食いの方は要チェックです。

こんな生活習慣や食習慣をしている方は要注意!

便秘になるには食生活や生活習慣が原因となることがあります。
1つでもチェックがついた方は今一度生活習慣や食習慣を見直してみましょう。

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食事や生活リズムを見直して便秘を改善しましょう

食生活から腸内環境を整える

では、どう整えていけばいいのかといえば、今紹介したチェックリストの逆を行っていくことになります。
特に食生活においては、下記3つの習慣から取り入れてみてはどうでしょうか?

①腸内環境を整えよう!

便を作る腸。最近では免疫力アップのカギとしても注目されていますが、やはり腸内環境を整えることで質の良い便をスッキリと出すことができます。
腸には様々な菌住んでいますが、私たちの身体にとって良い働きをする菌(善玉菌)が優位になると質の良い便が出るといわれています。逆に私たちの身体にとって悪い働きをする菌(悪玉菌)が優位になると腸にガスがたまっておなかが張る、便やおならが臭い、そして便秘や下痢の原因にもなります。

上記のチェックで食物繊維や発酵食品が足りずに肉や脂っこいものばかりを食べている方や、ストレスが多い生活をされている方は悪玉菌が優位になりやすいため注意が必要です。
腸内環境を整えるためには野菜・海藻・きのこ類など食物繊維の多い食材、キムチやぬか漬け、納豆、ヨーグルトなどの発酵食品を取り入れてみましょう。

②生活習慣を見直そう!

私たちの身体には「体内時計」が備わっており、それによって日中は活動し、夜はお休みモードに入る、という生活リズムがうまれ、元気な身体をキープしています。

しかし、夜更かしをしたり起床時間がバラバラになったりするとその体内時計がずれてしまいます。
仕事や家庭の事情で毎日きっちり同じ時間!というのは難しいかもしれませんが、大まかでも就寝時間、起床時間に加えて食事の時間を決めて身体のリズムを整えましょう。

③朝ごはんをよく噛んで食べましょう!

子どもの頃はしっかり食べていた朝ごはんも、大人になるといつの間にか食べないことが増えてきた……、という方もいるのではないでしょうか。
朝ごはんを食べることには、とても大切な意味があります。

睡眠から目覚めた私たちの身体はエネルギーが枯渇している状態です。1日の始まりに朝ごはんを食べると、そこにエネルギーが補給され、良いスタートを切れるのです。
また、朝ごはんを食べる(体内に食べ物が入ってくる)ということは内臓にとっての刺激となり、この刺激が体内時計のズレを正す働きにも転じます。

さらにタンパク質をしっかり摂り入れることで体温を上げて、1日を元気に始めることができます。
ガソリンの入っていない車は動かないですし、ウォーミングアップで身体を温めずに激しい運動をするとケガをしやすいのと同じです。朝ごはんを食べることは、私たちの1日の始まりのスイッチと考えましょう。

食べる際は、よく噛んで食べることもお忘れなく。噛む回数が増えることで内臓が動きだし、朝のスッキリとした排便をサポートしてくれます。

便秘解消の冬料理といえば「鍋」

では、便秘を解消するために、普段どのような食事を取るのが良いのでしょうか?

冬場ですと特におすすめなのが「鍋」です。
鍋は手軽なだけでなく、野菜をくたくたに煮込むため、カサが減って量を食べることができます。
また、シンプルな昆布だしベースにすることで昆布の水溶性食物繊維が溶け込んだ水分をしっかり摂ることができます。冬場は乾燥しているにも関わらず、喉の渇きを感じにくいため食事からの水分補給も意識できると良いですね。

ただしベースを塩分の多いスープにしてしまうと、むくみやすくなるので注意が必要です。

朝食はごはん、みそ汁、納豆でOK。

一見なんの変哲もないように思えますが、炊いたごはんには60%ほど水分が含まれますので、「食事からの水分補給」という意味ではパンよりオススメです。
また、ごはんに雑穀や麦などを加えることで食物繊維やビタミン・ミネラルも摂ることができます。
これに味噌汁や納豆をつけることで、発酵食品も摂れるので、お腹の調子を整えるには理想的です。

みそ汁の具に野菜や海藻、きのこ類を加えることでさらに食物繊維を摂ることができますよ。
野菜を切るのが面倒だという方は冷凍のカット野菜や乾物、海藻サラダなどを利用しても良いでしょう。
みそ汁に豆腐を入れたりたまごを加えたりすることでタンパク質も摂ることができます。

普段はにおいが気になるキムチ(発酵食品)もリモートワークなら朝から食べても周りに迷惑かけることがありません。
みかんなどの季節のフルーツやヨーグルトを添えても良いでしょう。

忙しくなる年末年始に向けて身体の中から大掃除しよう

便秘解消のためには特別な生活をしなければ・・・と思われがちですが、実はとてもシンプルなことでよいのです。
また、気分転換のために散歩などを取り入れるのも良いでしょう。適度な運動は腸を刺激してくれます。

何かと考え事も増える年末に向けて今のうちから身体の中もスッキリと大掃除をしていきましょう!

磯村 優貴恵(いそむら・ゆきえ)

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大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。
その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆など幅広く活動中。

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