2020.11.30
注目はあの栄養素!冷え対策に「2種のスープ」でこの冬ポカポカ!
もうすぐ12月。冬の本番が近づき、冷え性の方には辛い季節になりますね。
ちなみに”冷え性”とは、身体の一部または全身に”冷え”があり、それを辛く感じる状態のこと。その主な原因に「栄養バランスの悪い食事」「筋肉が少ない」「血行が悪い」等があります。
その原因には、偏食や無理なダイエットで熱となる材料が足りない、熱を作る主な機関である筋肉が少ない、せっかく摂った栄養や発生した熱を、血行の悪さから全体にいきわたらせることができないなど、複合的な要因が絡み合い冷えにつながってしまうのです。
そこで温めてくれる栄養素を知り、それらを多く含む食材をバランスよく食べることが大切です。今回は冷え性を改善するレシピをご紹介します。
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冷え対策レシピ1:鉄分たっぷりクラムチャウダー
朝食から夕食まで、どんなタイミングでも嬉しいクラムチャウダー。とろみのあるものは蓄熱性が高く、飲んだ時から身体が温まるのを実感できます。下処理は電子レンジにおまかせすることで、より簡単に作れるレシピにしました。
材料(2人分)
玉ねぎ 100g
人参 50g
<A>
あさりの水煮缶 1缶
(固形55g、水分入れた総量130g)
水 150ml
コンソメ 小さじ1
<B>
バター 10g
小麦粉 10g
豆乳 200ml
塩胡椒 少々
主な栄養素(1食分)
・186Kcal
・たんぱく質 10.6g(成人女性1日分の1/5)
・鉄分 10.3mg(成人女性約1日分)
作り方
1.玉ねぎと人参を1㎝のダイスにカットし、耐熱容器に入れて水60mlを加え600wで4分加熱する。
2.小鍋に1とAを加え火にかけ、野菜が柔らかくなるまで弱火で煮る。
3.耐熱ボウルにバターを入れてレンジで10秒加熱し、溶けたら小麦粉を振り入れ、よく練る。
4.2の鍋から大さじ3の水分を3に入れてよく混ぜ、鍋に戻して混ぜながら沸騰させる。とろみが出るまで煮たら豆乳を加え沸騰させる。(※豆乳は分離しやすいので、沸騰したらすぐに火を止めましょう)最後、塩胡椒で味を調えて完成。
冷え対策には鉄分!スープの栄養を解説
栄養や熱を体全体に運搬してくれる大切な働きをしてくれているのが血液です。血液を多くし、血流を良くするのは冷え改善に大きな効果が期待できます。その血液を作る上で大切な栄養素である「鉄分」は意外と摂取しにくい栄養素でもあります。
あさりの水煮缶には100g中29.7mgもの鉄を含みます。これは鉄分が豊富と言われる豚レバーに比べても、2倍以上の量。他に類をみないほどの含有量です。ご紹介した簡単クラムチャウダーは、牛乳を豆乳に変えることで、さらに鉄分アップに仕上げています。
また、スープに使用した玉ねぎにはアリシンが含まれています。アリシンはにんにくにも含まれる成分で、血管の拡張を促し血液の流れをスムーズにし身体の中から温めてくれるとされています。
人参はビタミンAが豊富に含まれており、抗酸化作用が高く、血管の修復にも役立つことから身体を温めることが期待できます。人参の他にも、ビタミンAが豊富なブロッコリーやほうれん草などを入れるのも効果的です。
冷え対策レシピ2:牛肉と小松菜キムチのスープ
続いては、具材たっぷりの食べるスープをご紹介します。このままごはんにかけてクッパ風にするもよし、スープジャーに入れてお弁当としてもおすすめですよ。
材料(2人分)
牛肉 80g
人参 30g
長ネギ 30g
小松菜 50g
生姜 5g
卵 2個
水 2カップ(400㏄)
鶏ガラスープの素 小さじ2
キムチ 20g
酒 小さじ1
醤油 少々
ごま油 小さじ1
片栗粉 6g(小さじ2:大さじ1の水で溶いておく)
白ごま、胡椒 各少々
主な栄養素(1食分)
・212Kcal
・たんぱく質 17g(成人女性1日分の約1/3)
・鉄分 3.2mg(成人女性1日分の約1/3)
作り方
1.牛肉、小松菜は3㎝幅に切る。人参は短冊切り、長ネギは小口切りにする。生姜は粗みじん切りにし、卵は溶いておく。
2.鍋にごま油を入れ、生姜と牛肉を軽く炒めて塩胡椒少々(分量外)を振ったら、人参、長ネギを加えて炒め、水を加えて強火にかける。アクが出てきたら取り除きながら野菜がやわらかくなるまで煮る。
3.小松菜、キムチ、鶏ガラスープの素、酒を加えてひと煮立ちしたら水溶き片栗粉を加えとろみをつける。
4.強火にかけた状態で溶き卵を菜箸に伝わせながら糸状にして加えてかきたま汁を作り、最後に醤油を加えて全体を混ぜる。お好みで白ごま、胡椒をかける。
たんぱく質も重要!スープの栄養を解説
先述の通り、ここでも大切な栄養素が「鉄分」です。牛肉は肉類の中でも鉄分を豊富に含み、赤みが強い部位を選ぶとより鉄分を摂ることができます。そのほか、卵や小松菜にも多く含まれます。
また、熱を作るためには筋肉が必要ですが、その筋肉を作る上で大切なのが「たんぱく質」です。たんぱく質は牛肉や卵に多く含まれています。このたんぱく質は、代謝するときにも熱を発生するため、積極的にとりたい栄養素の1つです。
風味付けにもよく使われる生姜には、「ジンゲロール」という成分が多く含まれています。ジンゲロールは末梢血管を拡張させ、手足を温めてくれる効果が期待されています。このジンゲロールは加熱されると、「ショウガオール」という物質に変化します。ショウガオールは胃腸の働きをよくし、血行を促進することで身体の中から温めてくれるとされています。そのため、生より加熱していただくほうが効果的です。調理の最後に加えるよりも、最初に加えるのがおすすめですよ。
この他、長ねぎに含まれる「アリシン」はにんにくにも含まれる成分で、血管拡張し血液の流れをスムーズにし身体の中から温めてくれる栄養素。人参、小松菜には抗酸化作用の高いビタミンAが豊富に含まれており、血管の修復にも役立つことから身体を温めることが期待できます。
キムチに使われている唐辛子には血管拡張作用のある「カプサイシン」が含まれているため身体を温めますが、汗をかくと気化熱で逆に体温が下がってしまうということがあります。汗をかいたらこまめに拭くことも大切なポイントです。
冷え対策に効果的な調理法は?
調理の仕方も栄養素と並んで大切なポイントです。例えばサラダは、生野菜を美味しくいただけるものの物理的に身体を冷やしてしまいます。反対に、スープや鍋を食べると胃の中から身体がポカポカと温まるのを実感できるでしょう。
冬場に大活躍する鍋料理などは身体を温めてくれる効果的な料理といえます。具材は身体を作るたんぱく質、血行を良くしてくれる鉄分やビタミンE、代謝を促してくれるビタミンB群を積極的にとるようにしながら生姜やネギ、ニンニクなど身体を温める食材をアクセントとして取り入れてください。
冷え性は一度の食事で改善されるものではないため、無理なく継続できるようにすることが大切です。
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著者プロフィール
■前田 量子(まえだ・りょうこ)
管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、最新著書『おうちで一流レストランの味になるロジカル洋食』(全て主婦の友社)が好評発売中。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。