メニュー

2020.11.25

未曾有の事態にストレスが山積。誰もがリスクを抱える「コロナうつ」とは【コロナうつ・前編】

kencom公式ライター:松本まや

記事画像

新型コロナによるパンデミックが続き、経済的な不安や不自由な生活にストレスを抱える日々が続いています。そんな中で耳にするのが「コロナうつ」。一体どんな状態を指し、いわゆるうつ病とはどのように異なるのでしょうか。
順天堂大学大学院 医学研究科 精神・行動科学 大沼徹先任准教授にお聞きしました。

大沼 徹(おおぬま・とおる)先生

記事画像

順天堂大学大学院 医学研究科 精神・行動科学 先任准教授
平成2年順天堂大学医学部卒業。同年、順天堂大学医学部附属・精神神経科に入局。臨床業務に勤しみながら、統合失調症を中心に神経生物学的研究を継続して行っている。平成8年に英国ケンブリッジ・ベイブラハム研究所・神経生物学部門に留学し、帰国後も一般臨床、医学生の教育、研究を行っている。専門領域は精神医学全般、産業精神医学、臨床精神薬理学、遺伝学、神経生物学と幅広い。平成23年より現職。

「うつ病」についてのおさらい

記事画像

日本のうつ病患者は年々増加しており、今や10人に1人がかかると言われる身近な病気です。

心の病として知られますが、うつ病になると身体にも不調が現れることがあります。食欲の減退、疲労感、身体の痛みやしびれ、頭痛、吐き気、女性では月経異常など、症状は人によってさまざまですが、多くの患者が睡眠障害を経験します。

うつ病がどうして起こるのか、まだ十分に解明されてはいませんが、人間関係の悩みや過労、生活環境の変化や日常生活の問題など、積み重なったストレスが引き金となって脳内の神経伝達物質の働きや量が十分でなくなり、バランスが崩れることで病気が発症すると考えられています。

▼うつ病に関する参考記事

「コロナうつ」の概要から原因を医師が解説

「コロナうつ」は病気ではなく、状態を指す造語

では、「コロナうつ」とはどのような状態を指すのでしょうか。
医学的に「コロナうつ」という病名があるわけではなく、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、抑うつ状態に陥ったり、うつ病が引き起こされたりした状態を指す造語です。

コロナうつの代表的な症状はいわゆるうつ病と大きく変わらず、不眠、不安、抑うつ気分、食欲低下などがみられます。特徴的なのは、経済面などより具体的な不安が原因となっていることです。

連日のニュースや経済的不安が要因に

記事画像

コロナうつの原因は大きく2つに分けられます。1つは、人類が経験したことのない事態や日々繰り返し報じられるニュースにより感じる恐怖感や経済的な不安感です。

もう1つは、生活様式が変化したことによる慢性的なストレスです。外出自粛に加え、三密環境を避けなければいけないことや普段以上に衛生面に気を配ることを、知らず知らずのうちに負担に感じている人も多いでしょう。

「安心できる場所」であるはずの自宅でなぜストレスを感じるのか

記事画像

感染防止のため、自宅からリモートワークをすることが一般的になりました。安心できるはずの自宅にいる時間が増えているのに、ストレスを感じてしまう人がいるのはなぜでしょうか。

それは、すべての人間が内向的ではなく、外交的な人にとってはずっと自宅にいること自体がストレスになるからです。

加えて、リモートワークによる在宅時間の増加により、ストレス負荷が増すのは大きく2つのケースあります。

1つは、家族と過ごす時間が増えることによってストレスが増すケースです。子供や配偶者がいることで仕事に集中しづらかったり、普段仕事で不在にしている配偶者が在宅していることで生活のリズムが変わったり。新型コロナウイルス感染症の流行によって、「ひきこもり」に近い生活になると、家庭内不和や暴力が増える可能性も指摘されています。

もう1つは特に一人暮らしの若者に多いもので、仕事などのオンの状態と、身体を休めるプライベートなオフの状態が切り替えられなくなるケースです。例えばワンルームで生活しており、休む場所であるはずのベッドの上で仕事をしてしまうと、交感神経優位のオンの状態から副交感神経優位の状態にうまく切り替えることができません。自律神経のバランスが崩れてしまうと、浅い眠りや不眠を引き起こしてしまいます。

厳しい景況感。経済的な不安とどう向き合う??

記事画像

今、旅行業や飲食店を中心に、様々な業種の方が経済的な不安に直面していることでしょう。このような具体的な不安やストレスが、うつ状態を引き起こしている場合は精神科での治療でも取り除くことが難しい側面があります。

国が推進しているように感染症対策とバランスを取りながら、引き続き経済活性化の施策を行っていくことが非常に大切なのです。

また、時には不安を感じさせるようなニュースや情報を適度にシャットアウトしてみることも有効です。今は、テレビをつけているとどうしても新型コロナウイルスに関するニュースを目にしてしまいますので、今後メディア側の配慮も必要でしょう。

誰も経験したことがない未曾有の事態。心のバランスに注意して

新型コロナの感染拡大に伴う社会の混乱は、全世界規模の未曾有の事態となっています。個人の生活習慣にも大きく影響を与えており、不自由な時間が続いて何かとストレスを感じる場面も多いかと思います。

後編では、新型コロナウイルスの不安に負けず、心を守るための具体的な方法について解説。ぜひご一読ください。

▼後編はこちら

著者プロフィール

■松本まや(まつもと・まや)
フリージャーナリスト。2016年から共同通信社で記者として活躍。社会記事を中心に、地方の政治や経済を取材。2018年よりフリーに転身し、医療記事などを執筆中。

この記事に関連するキーワード