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2021.01.13

冬の乾燥肌を撃退!皮膚科医が教える6つの対処法

kencom公式ライター:森下千佳

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本格的な冬が近づくと、頰が突っ張ったり、肘に粉が吹いたりと、乾燥が気になりますよね?
加えて今年はマスクの着用で肌が擦れ、不調を訴える方が増えているとか。お肌にとって過酷なこの季節に、潤いを逃がすことなく健康な肌を保つには、どのようなスキンケアに取り組めばいいのでしょうか。

emiスキンクリニック松濤院長の中崎恵美先生に、今日から出来る「冬の肌ケア方法」を伺いました。

中崎恵美(なかざき・えみ)先生

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emiスキンクリニック松濤院長/日本皮膚科学会皮膚科専門医/日本レーザー学会認定医
2000年に埼玉大学医科大学卒業後、東京医科大学皮膚科入局。その後、都内などの大手美容皮膚科に勤務する傍ら、北里東洋医学研究所病院にて漢方研修を行う。2016年には、emiスキンクリニック松濤を開院。

肌は乾燥するとどうなる?冬が肌に与える影響を解説

なぜ、冬は肌が乾燥するの?

空気が乾燥する冬は、皮膚から水分がどんどん失われ、水分と皮脂のバランスが崩れやすくなります。
さらに、気温の低下も加わって、皮脂腺や汗腺の働きが落ちるので、皮脂膜が薄くなり、水分が蒸発してカサカサ肌になります。

すると、外界からの雑菌や異物などの侵入から皮膚を守る役割の、角層のバリア機能が低下。ちょっとした刺激でも、過敏に反応するようになります。
乾燥肌でかゆみなどの症状がみられるのはこのためです。

肌が乾燥すると、どんなトラブルが起こる?

皮膚が乾燥すると、入浴後に肌がつっぱる、全身がカサカサする、粉をふく、かゆみが出る、など、さまざまな症状を引き起こします。
特に乾燥しやすいのは、外気に晒される場所と、もともと皮脂の分泌が少ない部分。顔では頬や目、口のまわりなどで、身体では、すね、膝、肘、足の裏などが挙げられます。

また、今年は特にマスクによる肌トラブルを訴える方が増えています。乾燥で肌のバリア機能が弱っているところに、マスクとの擦れによる刺激が加わるため、肌にはたいへん過酷な環境になっているのです。

放置し続けると悪循環に陥ることも

バリア機能が低下した肌には、皮膚の表面から細菌が侵入しやすい状態になっているとお話ししましたが、この細菌が繁殖し皮膚の内部にまで入り込むと、皮膚炎を引き起こす可能性があります。

気をつけたいのは細菌だけではありません。化粧品に含まれる化学物質や、空気中の花粉、PM2.5やハウスダストといったアレルギーの原因となるアレルゲン物質に対しても、バリア機能が働かず吸収されてしまうため、アレルギー体質になってしまうこともあります。

また、乾燥肌で痒みが出た場所を掻き続けると、肌の表面が荒れてしまいます。そうなると、肌がますます刺激を受けやすい状態になり、かゆみがさらに強くなるといった辛い「かゆみの悪循環」を引き起こしかねません。

他にも「乾皮症」となり、手指はカサカサ、かかとはカチカチになり、痛みを伴う「ひび割れ」や「あかぎれ」が生じることも。
強い痒みや痛みを伴う辛い状態が長期化する恐れもあるため、早めの対処&予防が重要です。

皮膚科医が教える、今年の冬のお手入れ6箇条

こういった、辛いお肌の状態にならないためには、どのようなお手入れを心がけたら良いのでしょうか?
冬の乾燥から肌を守るポイントを解説していただきました。

顔や身体はホイップ状の泡をたっぷり使って優しく洗う!

トラブルを抱えている方の原因を探ってみると、洗い方に問題がある方が多いようです。
洗浄力の強すぎるボディーソープや洗顔料を泡だてずに使ったり、ナイロンタオルなどでゴシゴシこすって洗う。これでは、余計に肌は乾燥してしまいます。冬の洗顔・洗体は特に気を配らなくてはいけません。

まず、ボディソープや洗顔料は、泡立てるネットなどを使って、ホイップ状になるまでよく泡立てましょう。泡立て不足の濃い泡と、十分に泡立てを行ったフワフワの泡とでは肌に与える影響が大きく異なり、痒み、刺激といった皮膚の状態悪化に直結してしまう可能性があります。また、泡で出てくるタイプのボディーソープも便利です。

また、身体を洗う際は、ナイロンタオルやブラシなどの刺激となるものは避け、手やコットン素材のボディタオルを使って、泡で包みこむように洗いましょう。こすり洗いは厳禁です。

お風呂の温度は40度以下。長すぎる入浴はしない!

この時期の入浴は、全身の血の巡りをよくして末梢臓器である皮膚へと栄養を行き渡らせることにつながるのでオススメです。
ただし、熱いお湯に浸かりすぎると必要以上に皮脂を取ってしまい、角層が壊れやすくなって乾燥に繋がるので要注意!
湯温は40度を目安に、長風呂はせず、手がふやけない程度に浸かりましょう。

保湿成分の入った入浴剤を使うのは良いと思いますが決して過信をしないように!
お風呂から上がった後には、必ず保湿剤を全身に塗るようにしましょう。

洗顔後、入浴後、水仕事の後はすぐに保湿

洗顔後や入浴後は、肌の水分や皮脂が奪われている状態にあります。タオルで軽く押さえて水気を拭き取ったら、すぐに保湿ケアを行うことが大切です。

この時の保湿剤は、保湿力の高い「セラミド」や「アミノ酸」が配合されているものがおすすめです。
特に乾燥がひどい場合は、水分の多いサラサラしたタイプの保湿剤では保湿力が十分でない場合があります。少しベタつくぐらいの、保湿力の高いクリーム状のものを使うと安心です。
お風呂上がりのルーティーンとして毎日必ず行うようにしましょう。

同様に、水仕事などで水を触った後は、必ず保湿する習慣をつけるとトラブルとは無縁の肌に近づくことができます。

マスクの下のお手入れは?

マスクをつける際には、いつも以上に顔の保湿をしっかり行いましょう。
マスクは、使い捨てのものであれば日々取り替えること。布製など繰り返し使うタイプの場合は毎日洗い、清潔に保つことが大切です。
敏感肌の方は、絹やガーゼなど、肌に優しいマスクを試してみるのも良いと思います。

また、擦れて痛みがある方はワセリン軟膏を塗って皮膚のバリア機能をサポートするのも良いでしょう。
ただし、人によってはニキビなどを悪化させてしまうこともあるので、それぞれのお肌の状態に合わせて使用するようにしましょう。

暖房は加湿器とセットで使用!

外気が乾燥している上にエアコンなどの暖房の下に長時間いると、さらに皮膚の水分が蒸発しやすくなります。
加湿器などで空気を加湿することも肌荒れ対策のひとつです。湿度は40〜60%を保つようにしましょう。

加湿器は定期的に清潔な状態を保つことも大切です。

バランスの取れた栄養補給を心がける

肌の健康のためには食事をしっかり摂ることも大切です。1日3食の食事をきちんといただき、バランスのとれた栄養補給を心がけることが基本になります。
特にビタミンは、肌の血行をよくし、ターンオーバーを整えてくれるので積極的に摂りましょう。

なかでも、お肌のために意識して摂って欲しいのはビタミンC。色素沈着を抑えて美白効果の手助けをしたりするほか、コラーゲンの合成を促して肌のバリア機能や回復能力を高めてくれたりと、肌全般に効果的です。
ビタミンCが豊富に含まれるのはブロッコリーやほうれん草などの色の濃い野菜。またキウイや柑橘類などの果物にも豊富です。いずれも旬のものの方がビタミンCが豊富になります。

改善しない場合は、早めに病院に相談を

こうしたお手入れを暫く続けてみても、痒みや赤みが改善しない場合は、皮膚炎やアレルギーなど他の病気が原因の可能性があります。
炎症がひどい場合はどんどん悪化してしまいますので、早めに皮膚科を受診して症状に合った薬を処方してもらいましょう。

6つの対処法を実践して、乾燥も感染症も吹き飛ばそう!

冬の乾燥対策は、今日から出来るものばかり。
もちろん、健康な肌を保つには栄養バランスの取れた食事、適度な運動や十分な睡眠も重要です。
健康的な生活習慣を取り入れて、乾燥も感染症も吹き飛ばしていきましょう!

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
フリーエディター。お茶の水女子大学理学部卒。テレビ局に入社し、報道部記者として事件・事故を取材。女性ならではの目線で、取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。退社後、ニューヨークに移住。当時、日本ではなかなか手に入らなかったオーガニック商品を日本に届けるベンチャー企業の立ち上げに関わる。帰国後、子宮頸がん検診の啓発活動を手がける一般社団法人の理事を経て現職。一児の母。

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