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2020.12.05

「歩歩是道場」知ってる?自分を取り戻す、禅の言葉4選【暮らしと禅】

kencom公式ライター:春川ゆかり

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人とのコミュニケーションで悩みや孤独をひとりで抱えてしまい、苦しむこともあるでしょう。こうしたもどかしさや葛藤が生まれたとき、思い出してほしい「禅の言葉」があります。

今回は「自分を取り戻す」4つの禅語をご紹介します。

禅語は、迷ったときの道しるべ

ことわざや四字熟語ほど、禅語は私たちの生活に馴染みのあるものではないかもしれませんが、一つ一つを読んでみると、日々の暮らしに起こるさまざまな心の変化に即した言葉であることがわかります。

「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」や「非思量(ひしりょう)」のように、独特の読み方はまるでおまじないのよう。心の波を感じたときには、落ち着きを取り戻せるよう、心の中で唱えてみませんか?

全機現(ぜんきげん)

周りと比べることなく、自分にできることを全て発揮していこうという意味です。

私たち人間はひとりきりで生活を営むことはできず、特に会社員ともなれば上司から評価されたり、自分自身もまた同僚や周囲の人と比べてしまいますが、自分自身が自信を持って「頑張った」と思えることが何よりも重要です。

自分が置かれた環境をまずは受け入れ、「あの人よりも頑張っている」と比べて進むのではなく、目の前の事柄に集中して過ごすようにしてみましょう。

柔軟心(にゅうなんしん)

柔らかく、しなやかな心・発想を指します。
不安や寂しさはあっという間に自分の心を埋め尽くしてしまいますが、その瞬間の心の状態だけに支配されず、心の苦しさも柔らかい心で受け入れて(やり過ごして)進んでいくことが大切です。

また、心の揺らめきだけに適用されるものではなく、仏教の考え方の基礎となる「かたよらない・こだわらない・とらわれない」ためにも必要となる心持ちです。

脚下照顧(きゃっかしょうこ)

自分自身(自分の足元・土台)を常に確認・点検し、自分の物差しで生きること。

「人は人・自分は自分」と世間や人の幸せが必ずしも自分の幸せになるとは限りません。
そのため、自分自身の幸せや大切なものを探し、見失っていないか、常に自分で確認していくことが幸せな人生を歩むための一歩です。

自分自身を無視して日々を過ごさないよう、内面を見つめ進んでいきましょう。

歩歩是道場(ほほこれどうじょう)

目の前に起きているすべての事柄が自分にとっての学びの場となる。

良いことだけでなく、辛いことや苦しいことも乗り越えていくことで自分の血肉・糧になっていきます。
人生に訪れる状況の悪い時には歩みを止めたくなりますが、それはもしかすると自分自身の価値観で捉えているだけに過ぎないのかもしれません。そう思うと、「今」の捉え方が変わってくるのではないでしょうか。

周りの人や環境と比べてしまうことは仕方ありませんし、そのことそのものが悪いのではありません。大切なことは、周りの状況だけに囚われて過ごすのではなく、目の前の環境を楽しめるよう考え方をシフトしていけると良いでしょう。

ひとやすみ、ひとやすみ。心が軽くなる禅の言葉

禅語は、私たちに「いつ何時も常に自分自身と対話をすること」の重要性を教えてくれます。

さまざまな状況に応じた言葉があるため、「無理をし過ぎない」という言葉があったかと思えば、「目の前の事柄をやりぬく」など、相反するような言葉が書き記されていますが、その瞬間瞬間に当てはまる言葉を選びとっていきましょう。

適切に言葉を選びとるためにも、重要なことは「常に自分の状態を認識しておくこと」。
困難な状況から逃げてばかりではいけませんが、かといって無理に頑張ることは禁物です。自分が苦しさを感じている時はまずはしっかりと休み、パワーチャージができたときに頑張りましょう。

座右の銘のように自分の信条として禅語を取り入れるのも良いですが、その時々の自分の心の変化に合わせて、暮らしに取り入れてみましょう。

▼以前の記事はこちら

西岡秀爾(にしおか・しゅうじ)

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崇禅寺副住職、上智大学グリーフケア研究所客員所員

1976年生まれ。大阪府立大学社会福祉学部卒。2006年より、大阪市にある曹洞宗崇禅寺(そうぜんじ)の副住職となる。花園大学准教授を経て、現在、上智大学グリーフケア研究所客員所員・関西学院大学大学院人間福祉研究科大学院研究員・花園大学国際禅学研究所客員研究員・臨床仏教研究所特任研究員などを務める。

著者プロフィール

■春川ゆかり(はるかわ・ゆかり)

フリーライター・編集者。大手IT企業にてウェブメディアの広告やマーケティング業に携わる。その後フリーランスのライターとして独立し、住まい・子育て・ヘルスケアなどのジャンルで執筆。

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