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2021.01.20

抜け毛、フケ、パサパサヘア……正しい冬のヘアケアで頭皮を乾燥から守ろう!

kencom公式ライター:森下千佳

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空気が乾燥する冬になると、頭皮がかゆい、フケが出る、髪の毛がパサパサ、そんなお悩みはありませんか?
実はそれ、誤ったお手入れによる「頭皮の乾燥」が原因かもしれません。
頭皮も皮膚の一部。正しいお手入れで多くのお悩みが改善できるそう。冬こそ見直したい正しいヘアケア方法をemiスキンクリニック松濤院長・中崎恵美先生に伺いました。

中崎恵美(なかざき・えみ)先生

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emiスキンクリニック松濤院長/日本皮膚科学会皮膚科専門医/日本レーザー学会認定医
2000年に埼玉大学医科大学卒業後、東京医科大学皮膚科入局。その後、都内などの大手美容皮膚科に勤務する傍ら、北里東洋医学研究所病院にて漢方研修を行う。2016年には、emiスキンクリニック松濤を開院。

髪の毛も頭皮もダメージを受けやすい冬こそ対策が大事

なぜ冬に髪が痛むのか

冬は空気が乾燥するので、顔や身体のお肌と同じように頭皮も乾燥します。健康な頭皮には、皮脂と角質が混ざり合って皮脂膜をつくり、そこに常在菌がバランスを保って棲んでいて、バリア機能を果たしています。
ところが、乾燥などの原因により常在菌のバランスが崩れると、バリア機能が働かなくなり、外部からの物理的刺激や化学的刺激を受けやすくなってしまいます。そのため、頭皮はつっぱり、ちょっとした刺激でヒリヒリ感じたり、ニキビや痒み、フケが出たりなどトラブルが起きてしまいます。

また、頭皮の炎症が悪化すると、毛根にダメージが起きたり、血流が悪くなることで髪が細くなったり、髪の毛が抜けるなどの影響が出ることもあります。

まずは、毎日の間違い頭皮&ヘアケアをチェック!

こうしたトラブルを防ぐ鍵は、「頭皮のバリア機能を整える」こと。そのためには、頭皮を乾燥させず皮脂を取りすぎない毎日のケアが大切です。
まずは、下のチェックリストで間違ったケアをしていないかをチェックしてみましょう。

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どうでしたか?いくつ該当しましたか?
一つでも当てはまる項目があったなら要注意!
こうした間違ったお手入れをしていると、必要な皮脂までとりすぎている可能性があります。その結果、頭皮のバリア機能が低下し、かゆみ(炎症)が起きたり、角質がたくさんはがれてフケが出たり、髪がパサついてしてしまうのです。

では、正しい髪や頭皮のケアはどのようなものなのでしょうか?

皮膚科医直伝!正しいシャンプーの仕方とは?

頭皮&ヘアケアの基本は洗髪です。
毎日のシャンプーを正しい方法に変えるだけで、乾燥を防いで多くの悩みが解決できます。コツは「髪よりも、頭皮を洗うことを意識する」です。

①ブラッシングで頭皮と髪の毛の汚れを落とす

シャンプー前の乾いた状態で、生え際から頭頂部、首筋へと、マッサージをするようにブラッシングしましょう。
頭皮にあるリンパを流すようなイメージで、まんべんなくブラシを当てます。余分な角質を浮き上がらせるのと同時に、髪のもつれをほぐして洗いやすくし、血行もよくする効果があります。

②シャンプーの前に、ぬるま湯で汚れを流す

シャンプーをつける前にぬるま湯で汚れを流す、予洗いは必須です。髪をぬらすだけでなく、髪をかきあげながら頭皮までぬらすことが大切です。
この予洗いで、髪の毛の汚れの70%は落ちると言われていますので、しっかりと行ってください。熱いお湯は頭皮や髪の脂分を奪いすぎてしまうので、湯温は38℃が目安です。

③ゴシゴシ洗いはNG!シャンプーは指の肌でマッサージ

シャンプーは、指の腹で優しく頭皮をマッサージをするように洗いましょう。爪やブラシで頭皮をゴシゴシ強くこするのは、絶対にやめてください。洗い終わりに、指の腹を使って頭皮にぐっと圧をかけ、血流を上げるのもおすすめです。

【POINT : シャンプーの選び方】

シャンプーの選び方も大切です。市販されているシャンプー(高級アルコール系に分類されるもの)は洗浄力が強いため必要以上に皮脂を洗い流してしまい、頭皮の乾燥につながります。
アミノ酸系やベタイン系などの、低刺激の洗浄成分を使用したものをおすすめします。そういったシャンプーの中には、泡立ちが悪いものもありますが、頭皮の洗浄は十分にできます。頭皮も顔の皮膚の一部ととらえて、シャンプーは自分の頭皮のタイプに合うものを選んでほしいですね。

④すすぎは、シャンプーと同じ時間をかけるつもりでしっかりと!

シャンプーで、最も大切なのは「すすぎ」です。シャンプーによって乳化された皮脂汚れや、シャンプー剤が残ってしまうと、痒みや、皮膚炎、フケの原因になり、髪の悩みの悪化につながります。また、生え際や顔のニキビトラブルに繋がることもあります。
すすぎには、シャンプーと同じ時間をかけるつもりで、しっかりと行いましょう。

⑤タオルドライはこすらず、しっかりと

シャンプー後にコンディショナーで髪の毛を保湿したら、なるべく早めに髪の毛を乾かしましょう。自然乾燥したり、髪を濡れたまま長時間放置すると、頭皮から徐々に水分が蒸発して角質層が乱れ、乾燥しやすくなり、フケなどの原因にもなります。
また、濡れた髪の毛の状態はキューティクルも傷つきやすく、ダメージにもつながります。シャンプー後は十分にタオルドライし、ドライヤーで乾かします。
タオルドライは、髪をタオルで包むように挟み、摩擦を起こさないように押して水分を吸い取りましょう。ゴシゴシとこすると、髪が痛み、パサパサ髪に繋がります。

⑥ドライヤーで地肌を乾かしすぎない

ドライヤーの温度は高く、頭皮を乾燥させてしまうことがあるので、10〜15cmほど離して使いましょう。同じ位置に温風が当たり続けないように、こまめに動かしながら乾かします。
完全に乾かそうと思うと乾かしすぎるので、8分目を目安に乾燥させれば良いと思います。

⑦必要に応じて頭皮の美容液も

さらに、髪に悩みがある方は、頭皮用の美容液を試してみるのもおすすめです。発毛や、パサつく髪の毛、白髪にアプローチする美容液など、様々なものが市販されているので、悩みに応じて使い分けると良いと思います。

それでも治らない痒みは皮膚科受診を

ここまでにご紹介した、正しい洗い方を試したり、使用しているシャンプーやコンディショナーを変えてみても、まだ症状が改善しない方は、一度皮膚科に相談されることをおすすめします。

フケがひどい上、頭皮にかさぶたが出来てしまう程痒みが強い場合は、「脂漏性皮膚炎」が疑われます。脂漏性皮膚炎は、頭皮に常在するマラセチア菌というカビが皮脂によって過剰に増えることが原因です。通常のケアだけでは改善が難しいため、炎症を抑える薬やカビを減らす薬、抗真菌薬が含まれたシャンプー等を使用して治療します。

また、「アレルギー」が原因の場合もあります。アトピー性皮膚炎があるなど、アレルギー反応を起こしやすい体質の人は、様々な物質によってかぶれるような皮膚の炎症に悩まされることがあります。他にも、毛染め(ヘアダイ)や、パーマ液、使っているシャンプー、リンス、ヘアトニックなどが原因であったり、他の皮膚科の病気の可能性だったりもあります。

毎日の正しいケアで、潤いのある健康な頭皮&ヘアを手に入れよう!

シャンプーは毎日続けている事なのに、「間違っていた!」と驚かれた方もいらっしゃると思います。正しく洗い、自分にあったシャンプーやリンスなどを選ぶだけで、頭皮や髪の毛へのダメージは確実に緩和します。大切なのは、「頭皮は皮膚の一部と心得て、他の肌と同様に刺激の少ないケアを心がけること」。それでもトラブルが治らない場合は「たかが頭の痒みぐらい」とためらわず、早めに皮膚科に相談してください。

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
フリーエディター。お茶の水女子大学理学部卒。テレビ局に入社し、報道部記者として事件・事故を取材。女性ならではの目線で、取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。退社後、ニューヨークに移住。当時、日本ではなかなか手に入らなかったオーガニック商品を日本に届けるベンチャー企業の立ち上げに関わる。帰国後、子宮頸がん検診の啓発活動を手がける一般社団法人の理事を経て現職。一児の母。

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