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2020.11.04

フェイスシールドは新型コロナ予防に役立つか?【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

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最近街中でもよく目にするようになったフェイスシールド。これにはどの程度の感染予防効果があるのでしょうか。

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにkencom監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、kencom読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、JAMA誌に2020年10月6日付で掲載されたレターですが、フェイスシールドの感染予防としての有効性を検討した内容です。

▼石原先生のブログはこちら

フェイスシールドは感染予防に効果があるか?

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新型コロナウイルス感染症の予防のために、マスクと共に使用されることが多いのが、フェイスシールドやマウスシールドです。

マスクの有効性については、当初は感染者がすることでの、周囲への感染拡大抑止が主体と考えられていましたが、今では適切な使用を集団ですることにより、感染防止効果もあるとする考え方が浸透しています。

フェイスシールドというのは、結膜からの感染のリスクを低下させるために、目の周囲を覆うゴーグルがその始まりで、その後簡易的な飛沫感染防止として、マスクの代用として使用されることが、一般的には多くなっています。

ただ、このフェイスシールドやマウスシールドの、単独での感染予防効果については、科学的に実証はされていません。
簡易的な研究は幾つか行われていますが、マスクの代用にはならないという結論では一致しています。

従って、多くの飲食店やその他の店舗などにおいて、マスクをしないでフェイスシールドやマウスシールドのみを、感染予防のために装着しているという行為は、実際には有害無益と言って良いと思います。

有害というのは、それで感染を予防しているという意識が、却って感染拡大を招くというリスクがあるからです。

ただ、マスクを装着した上、フェイスシールドを併用することが、より感染防御において効果があるのか、という点については、科学的議論の対象となっています。

フェイスシールドの有無で感染リスクが変わるかを調査

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今回の検証はインドにおいて、地域のヘルスケア担当者が、新型コロナウイルス感染症の罹患者の家族に、感染対策に対するアドバイスを対面で行う活動において、担当者が感染するリスクが、通常の感染対策に加えて、フェイスシールドの導入でどう変わるかを比較検証しています。

対象となるヘルスケア担当者は、サージカルマスクと手袋、靴カバーは標準装備し、患者家族とは一定の距離を取って接触しています。
しかし、そうした対応をしていても、62名の担当者が5880カ所の家族を訪問して、19%に当たる12名が感染しました。
その後へ通常の感染対策に加えてフェイスシールドを導入したところ、50名の担当者が18228カ所の家族を訪問しましたが、その後感染者は1人も発生しませんでした。

このように、他の条件を変えていないのに、感染者が著明に減少したのは、フェイスシールドの導入が有効であった可能性が示唆されました。

これは厳密な比較データとは言い難いものですが、フェイスシールドの有効性を推測させるものではあります。

フェイスシールドの効果とは?

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しかし、マスクを付けた状態で、顔をガードするだけのシールドに、どのような付加的な効果があるのでしょうか?

現状の推測としては、目の結膜からの感染を予防する効果と、マスクの表面の汚染が減少する効果の、2つが考えられます。

個人的な見解としては、マスク表面の汚染予防が、この有効性の主体ではないかと思います。

せっかくマスクを付けていても、その表面を頻回に触ったり、同じマスクを付けたり外したりすれば、そこに付着したウイルスが、結果として口や鼻から侵入するリスクが高くなります。

フェイスシールドを付けていると、マスクの表面へのウイルスの付着は、最小限度に抑えられるので、それが感染防御に繋がっている可能性があるのではないでしょうか?

マスク+フェイスシールドなら効果大

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この問題はまだ解明されているとは言い難いのですが、現状フェイスシールドはマスクをしない使用については、感染防御効果はないに等しいと考えた方が良い一方、マスクをして更にフェイスシールドを装着することは、マスク単独をかなり上回る効果が、期待出来ると考えても良いようです。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36