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2020.08.19

アスタキサンチン豊富な鮭、更年期以降に◎な健康・美容メリットは?

ILACY

2019年に水産庁が作成した資料「図で見る日本の水産」によると、近年日本で最もよく食べられている魚だという「鮭」。おいしいのはもちろんですが、体の不調の予防・改善に役立つのをはじめ、エイジングケアも期待できる栄養素が豊富に含まれているそうです。

そこで、今回は株式会社アドバンスト・メディカル・ケアの管理栄養士・山田が、更年期以降の女性にとってもうれしい鮭の栄養素について詳しく解説!さらに、フードコーディネーターの清水加奈子さんには、鮭を使ったおすすめレシピを紹介していただきます。

強力な抗酸化作用を持つアスタキサンチン

鮮やかな赤い身を持つ「鮭」ですが、実は白身魚に分類されます。鮭の色は天然の色素であるアスタキサンチンという成分によるもので、そこに豊富な栄養が含まれているといいます。

「アスタキサンチンは抗酸化作用が強く、ビタミンCの約6,000倍、ビタミンEの約500倍の抗酸化作用を持つそうです。抗酸化作用には、増えすぎると体の酸化につながる活性酸素を除去する働きがあるので、紫外線によってダメージを受けた肌のしわの形成を抑制する効果が期待できますね」

もうひとつ、アスタキサンチンならではの特徴が、体の細部にまで入り込めること。同じ抗酸化作用を持つものでも、ビタミンEは細胞膜で、βカロテンは細胞膜の中心で働くなど、それぞれ効果を発揮する場所が異なるのですが、アスタキサンチンは細胞の内側でも外側でも作用します。そのため、ビタミンEやβカロテンが届かない目や脳の中でも、抗酸化作用が期待できるんです」

体内で生成できない、血液サラサラが期待できるDHA・EPA

魚類に多く含まれることで知られるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)という必須脂肪酸も、鮭には豊富です。これらは、必要でありながら体内で作ることができない成分であるため、食事から摂取しなければいけません。

「DHAとEPAは血液をサラサラにしてくれたり、血管をやわらかくしてくれたりする働きがあります。さらに、脂肪酸の分解を助ける作用も。そのため、血圧が上がりやすかったり、コレステロールや中性脂肪の数値が高くなったりしがちな更年期世代の女性には、積極的にとっていただきたいですね」

DHAとEPAには肌に潤いを与える働きも期待できるそうです。これらは鮭の中でも、アトランティックサーモンやトラウトサーモンに多く含まれているといわれています。

疲労回復に◎...近年注目の栄養素・イミダペプチドも豊富!

鮭の主成分はたんぱく質ですが、近頃注目を集めているイミダペプチドという成分も含まれています。

「イミダペプチドは渡り鳥や回遊魚に豊富に含まれているたんぱく質の一種で、乳酸の代謝を促す作用を持ち、体や脳の疲労回復効果が期待できます。

また、激しい運動をする人は活性酸素をたくさん取り込みやすいので、イミダペプチドで疲労回復をすると同時に、抗酸化作用のあるアスタキサンチンもとれる鮭は非常におすすめの食材になりますよ」

このほか、さまざまな種類のビタミンが含まれることも見逃せません。

「ビタミンの中でも、炭水化物・脂質・たんぱく質の代謝を助けるビタミンB1やビタミンB2、筋肉や血液を作るときに必要なビタミンB6など、ビタミンB群が豊富です。

また、肌を整えるのに欠かせないビタミンAに加え、骨粗しょう症の予防効果が期待できるビタミンDもしっかりとることができます」

ちなみに、ビタミンDは"免疫力のスイッチ"ともいわれ、免疫細胞が働くのに必要不可欠な栄養素。免疫力のアップや感染症予防が望めるので、日頃から意識してとりたいところです。

鮭を選ぶときのポイントとおいしさを保つ保存法とは?

鮭は日本で一番食べられている魚だけあって、スーパーなどでもよく見かけます。何気なく手に取っている人も多いと思いますが、購入時はどういった物を選ぶといいのでしょうか。

「鮮度の良さの目安となる透明感があるのに加え、身が引き締まっていて弾力がありそうな物を選ぶのがおすすめです。鮭の種類によっては白い筋のようなものが入っていることもありますが、その正体は脂肪。白い筋が多いほど脂がのっているので、なるべくたくさん入っている物を選ぶようにしましょう。

保存する場合は、水気をしっかりと拭き取った後、空気にふれないようにラップで包んでから冷蔵、もしくは冷凍保存をしてください。ただし、冷凍した場合、解凍するときに常温に置いておくと風味が落ちてしまうので注意が必要です。それを避けるためには、ラップのまま氷水に30分程浸し、温度が低い状態で解凍するのがおすすめです」

最後に、鮭に含まれる成分を、より効率良く摂取できる食べ方を教えていただきました。

「アスタキサンチンやDHA、EPAは熱に弱いとされているため、おすすめはお刺身など生で食べるといいですね。また、それぞれの成分には相性のいい栄養素というものがあって、DHAやEPA、ビタミンA、ビタミンDは、脂といっしょに摂取すると吸収が良くなり、アスタキサンチンはビタミンCといっしょに食べることで、その働きが持続するといわれています。

一方で、食べるときに注意していただきたいのが、魚介類に寄生しているアニサキス。これが体内に入ると食中毒を引き起こす原因となりますが、-20℃以上で2日間保存する、あるいはしっかりと加熱をすれば死滅するといわれています。そのため、一度冷凍して解凍された物を購入したり(スーパーでは「解凍」と表示されています)、しっかり熱を通したりしてから食べると安心です」

鮭は、「捨てるところがない魚」としても有名。身の部分はもちろん、皮にはコラーゲンが、卵であるイクラにもアスタキサンチンが豊富に含まれているそう。ほかにも、カマ(エラの下、胸びれのついている部分)や氷頭(ひず、頭部の軟骨)、ハラス(腹の部分)は脂がのっていておいしく、それぞれ異なる味わいが楽しめるのも魅力です。さまざまな部位を積極的に食べてください!

ビタミンD×カルシウムで栄養強化!「鮭ともち麦の味噌チーズリゾット」

ここからはフードコーディネーターの清水加奈子さんに、鮭の栄養を+αで摂取できるオリジナルレシピを教えていただきます。今回は、チーズを組み合わせてカルシウムの吸収を強化する「鮭ともち麦の味噌チーズリゾット」です。

<材料(2人分)>

生鮭...2切
小麦粉、塩、こしょう...適量
玉ねぎ...4分の1個
にんにく...1片
もち麦...100g
しめじ...100g
粉チーズ、イタリアンパセリ...少々
A
味噌...大さじ1
牛乳、水...各300ml
塩、こしょう...少々

<作り方>

1. もち麦はさっと洗ってざるに上げておく。にんにく、玉ねぎはみじん切りにする。一口大に切った鮭に小麦粉、塩、こしょうをふる。しめじは、小房に分ける。

2. 深めのフライパンにオリーブ油(分量外)を熱し、にんにく、玉ねぎを炒める。玉ねぎが透き通ったら鮭を入れ、両面を焼く。

3. もち麦、しめじ、Aを入れ、蓋をして弱火で15分茹でる。

4. 蓋をとって塩、こしょうで調味し、5分ほど煮てトロッとなったら器に盛る。粉チーズをかけ、イタリアンパセリをのせる。

「もち麦だと自然なとろみがつきやすく、米よりも食感がもちもちしているのでソースとも絡みやすいですよ!」と清水さん。

チーズなどの乳製品は、骨を丈夫に保つカルシウムが豊富。鮭に含まれるビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける役割があるので、鮭と乳製品は相性の良い組み合わせといえますね。ぜひ、試してみてください!

<レシピ監修>

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フードコーディネーター 清水加奈子(しみず かなこ)

管理栄養士でもあり、調理師、中医薬膳師の資格も持つフードコーディネーター。アイディアレシピやダイエットレシピの提案からフードスタイリングまで幅広くこなし、食関連の企業サイトや雑誌などで活躍中。

<記事監修>

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管理栄養士 山田

(株)アドバンスト・メディカル・ケア所属。家族が高血圧気味だったため、食事改善をおこなったところ、数値が良くなったことをきっかけに管理栄養士を目指す。短大卒業後、医療施設で病院食の栄養管理や、保育園で子供たちへ提供する給食作りに携わる。2017年より東京ミッドタウンクリニックに併設するサプリメントショップ「ヘルスケアショップTMMC Plus」に勤務。健康・美容・ダイエットなど、幅広い相談を管理栄養士の立場からサポートしている。

<ヘルスケアショップTMMC Plus>

お客さまが、"より健康でより美しい生活"を過ごされるためのさまざまなご要望にお応えする「メディカルヘルスケアショップ」。Facebookでさまざまな栄養情報を発信中。

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