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2020.09.15

バストを支える「クーパー靭帯」を知っていますか? | 教えて、ドクター!

ワコール ボディブック

---- いつまでも美しいバストでいたい…多くの女性にとって、切なる願いのひとつではないでしょうか。でも、年齢やライフステージによって変化するバストを、適切にケアするためにはどうすればいいのか、よくわからない人も多いはず。

そこで、マンモグラフィなどによる乳腺の画像診断を専門とし、バストについて研究を重ねている国際医療福祉大学 三田病院 放射線診断センターの奥田逸子先生に、乳房についてうかがいました。

まさに神秘の臓器! 乳房の構造を知る

バストの形を美しく保つために、まずは乳房の構造を理解することから始めましょう。

乳房は、ほとんどが脂肪でできています。その中に乳汁をつくる乳腺組織がいくつもあり、それぞれが乳頭につながっていて、乳汁を運ぶ腺構造になっています。

下のMRI画像を見てください。乳房を縦に切った断面図です。黒く写っている脂肪に包まれて、白く広がっているのが乳腺組織。乳頭へ集約しているのがわかります。

乳房全体は、 大胸筋によって支えられています。しかし、重さのある脂肪のかたまりですから、たとえば立った状態では、重力によって、下へと引っ張られるわけですよね。それを、テント状に引っぱり上げてくれているのが、「 クーパー靭帯」なんです。

クーパー靭帯が見えるMRI画像が下です。乳腺の表面から、外へ向かって立ち上がるようにつながっているのが、クーパー靭帯です。乳腺組織を乳房の中で支えてくれているのがわかりますよね。

「靭帯」と聞くと、1本ずつのひも状のものを思い浮かべがちですが、クーパー靭帯は乳房全体に放射線状に広がっています。乳頭側から見ると、ツノの立ったメレンゲのような形をしているんです。

個人的な感想ですが、フランスのモン・サン=ミシェルにも似ているなと…。以前、旅行で訪れたときに、「クーパー靭帯みたい!」と感動しました(笑)。

年齢を重ねるとともに クーパー靭帯は伸びやすくなる

クーパー靭帯の仕事は、「支えること」です。似たような働きをしている組織に、頬を支えるSMAS筋膜があります。年齢を重ねてくると、頬がたるんでくるのと同じように、バストも重力に負けて下がってくる…。クーパー靭帯が伸びやすくなって、形を支えられなくなってくるのです。

さらに、表情筋と違って、靭帯は鍛えることができません。伸びてしまったクーパー靭帯を元に戻すことはできないのです。

しかし、クーパー靭帯が弱るスピードを遅くすることはできます。そのために意識したいのは、「乳房をいたわること」。思春期、月経、妊娠・出産、加齢と、女性の一生の中で、乳房はさまざまに変化をしていきます。

年齢や生活スタイル、ホルモンバランスなどの変化に合わせて、きちんと乳房をいたわってあげる。それこそが、バストのエイジングのカギとなります。

----私たちの乳房のシルエットを保ってくれているのは「クーパー靭帯」であり、それは年齢を重ねるとともに弱って、伸びていく…。クーパー靭帯が伸びるスピードを少しでも遅くしたいと、切実に思います。

先生/奥田逸子(国際医療福祉大学 三田病院)
取材・文/剣持亜弥
イラスト/吉岡ゆうこ

奥田逸子

医学博士。国際医療福祉大学 医学部 放射線医学 准教授。放射線診断専門医として、マンモグラフィやMRIにおける乳腺画像、CTやMRIによる頭頸部および胸部画像などを中心とする画像診断を行う。画像を使ってエイジングを研究する「加齢画像研究所 ONI」所長。

※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
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