メニュー

2020.08.16

熱中症やプール、ビアガーデンなど夏の血圧の落とし穴【夏の高血圧#3】

kencom公式:ライター・緒方りえ

記事画像

夏場は熱中症の危険がある上に、室内と室外の温度差によって血圧が目まぐるしく変わる可能性のある季節の一つです。
具体的に夏場で気をつけるべきことは何なのか。群馬県済生会前橋病院 循環器内科の土屋寛子先生にお話を伺いました。
今回は、熱中症やプール、ビールなど具体的な注意点について紹介します。

夏場に潜む高血圧の落とし穴に注意しよう!

記事画像

脱水を繰り返すことによって起こる熱中症。脱水の原因としては電解質の減少があります。
塩分などの電解質は、血管内の浸透圧を上昇させることで水分量をキープし、血圧を上げる役割があります。これが減少すると、身体の中の水分不足が起こるのです。

記事画像

これを繰り返せば熱中症を発症します。高血圧の方であっても熱中症の対策は同様で、水分と共に塩分も摂取する必要があります。

記事画像

体温が急激に下がると血管が収縮するため、血圧は上がります。
特に高血圧の方は、そうでない方より血圧が上がりやすいので、水風呂やプールに入る際はすぐに浸からないようにした方が良いでしょう。先に手や足先など、心臓から遠い場所からゆっくりと浸かって慣らすと良いです。

記事画像

アルコールの作用は多彩で、血管を収縮させ血圧を上げることもあれば、血管を拡張して血圧を下げることもあります。長期になるほど、そして飲酒量が多いほど、血圧の平均値が上がると言われています。
しかしアルコールは悪いことばかりではなく、「百薬の長」と言われる長所も持っています。適量(1日20g)を守れば、お酒を飲んでも良いでしょう。

飲酒量の単位:e‐ヘルスネットより試算 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-001.html

飲酒量の単位:e‐ヘルスネットより試算 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-001.html

記事画像

スポーツをした後は、汗をかくことにより身体は脱水状態になっています。また、アルコールには利尿作用があり脱水を助長する可能性があります。

そのため、アルコール以外でしっかりと水分と電解質の補給をしてからビールを飲んだ方が良いと思われます。

記事画像

アメリカ食品医薬品局(FDA)は、EPA及びDHAを合わせた摂取が血圧を下げる、高血圧のリスクを減らす可能性があることを示唆したいくつかの証拠がある一方で、これらの証拠は決定的なものではないとしています。
個人的に食べるのはいいですが、期待ができるかどうかはまだ不明といえるでしょう。

夏だからこその血圧変動に注意しよう!

夏場の楽しいイベントは血圧が変動する可能性があるものも多いです。
もしも血圧に不安があるならば、ほんの少しでいいので気をつけるようにしましょう。

参考文献

土屋寛子(つちや・ひろこ)先生

記事画像

群馬県済生会前橋病院 循環器内科
2002年富山医科薬科大学(現:富山大学) 薬学部を卒業。2002年群馬大学 医学部編入。2008年群馬大学 医学部第二内科入局し、循環器内科医師として3年間勤務。2011年から現在まで群馬県済生会前橋病院にて勤務中。内科認定医。日本心血管インターベンション治療学会認定医。循環器専門医。

著者プロフィール

■緒方りえ(おがた・りえ)
1984年群馬県生まれ。20代から看護師として活動をする傍ら、学会への論文寄稿や記事の作成なども行う。2015年独立しフリーの編集者として活動。2017年より合同会社ワリト代表社員。医療系を中心に、旅行、雑貨など幅広いジャンルでフリーライター、フリー編集者として活動中。

この記事に関連するキーワード