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2020.08.14

夏にカレーが食べたくなるのはなぜ?カレー&スパイスの世界<雑学編>

kencom公式ライター:小高未絵

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ジリジリと照り付ける太陽が肌を刺し、少し外に出るだけで汗が噴き出すような猛暑。こんな日には、なぜかスパイシーなカレーが食べたくなるという方も多いのではないでしょうか。

どうして夏はカレーが食べたくなるの?そして、カレーの美味しさのヒミツはどこにあるのか…?

そんなカレーにまつわるトリビアを、エスビー食品のスパイス&ハーブマスター遠藤さんにお伺いしました!これを知るとカレーがもっと美味しく感じられるかもしれません。

遠藤 由美(えんどう・ゆみ)さん

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エスビー食品株式会社 広報・IR室
スパイスとハーブの世界の楽しさを広める「スパイス&ハーブマスター」。
全国のセミナー・イベント・料理教室などにおける講師活動や、取材対応など、さまざまな媒体を通じてスパイスやハーブの魅力を紹介する活動を行っています。

カレーは近代日本の歩みを凝縮した食べものだった?!

大航海時代を経て、ヨーロッパ人がインドで出会ったカレー。それがイギリスを経由して日本に伝わったのは明治初期の頃。ただ、今のカレーとはずいぶん異なり、材料は「ネギ・ショウガ・カエル」などに、最後に水溶き片栗粉でとろみをつけたものでした。

それが現在のカレーに変化したのは、玉ねぎなどの西洋野菜の栽培が軌道に乗った大正時代。大正末期には国産のカレー粉が、昭和20年代後半には固形のカレールウが開発され、カレーという料理が一気に大衆化していったと言われています。

今では当たり前のようにあるカレーですが、西洋文化を受け入れ進化してきた、先人の努力と知恵の賜物。実は「日本の近代史」をギュッと凝縮した料理なのです。

夏にカレーが食べたくなるのはなぜ?

出典:S&Bカレー.com「カレーQ&A」

参照元:https://www.sbcurry.com/faq/faq-469/

出典:S&Bカレー.com「カレーQ&A」

なぜ夏にカレーが食べたくなるのか…理由の一つには、カレーに使われている「スパイス」があります。辛いスパイスを食べると、摂取直後にカッと体温が上昇し、汗がでて皮膚の表面温度を冷やすため爽快感を感じられます。

また、夏バテで食欲がない時も、カレーのスパイシーな香りにはそそられませんか?スパイスの香りや辛さによって、暑さで減退した食欲が増進する効果も期待できます。こうした理由から、カレーは夏に合うというイメージを持っているのではないでしょうか。

カレーのスパイスには一体どんなものがあるの?

画像提供:エスビー食品株式会社

画像提供:エスビー食品株式会社

カレーに欠かせないスパイス。なんのためにいれるの?どんな役割があるの?と疑問に思う方も多いと思います。

スパイスには主に、「香り付け」「辛み付け」「色付け」の3つの役割があります。

香り付けスパイスはクミンやコリアンダー、辛味付けスパイスはチリ―ペッパー、色付けスパイスはターメリックなどが代表的です。カレー粉を作るなら、香り付け6~8割、辛み付け1~2割、色付け1~2割程度の配合比率が目安になるでしょう。

以下に基本のブレンドレシピをご紹介しますので、参考にしてみてください。スーパーで入手しやすいスパイスで構成してあるレシピですので、初めてブレンドにチャレンジしたい方にもおすすめです。

基本のスパイスブレンド(分量はカレー4~6人分)

画像提供:エスビー食品株式会社

画像提供:エスビー食品株式会社

この他に、オールスパイスやカルダモンなどのスパイスを使うとまた違った味わいを楽しめます。いろいろ試して、我が家オリジナルの味を作り出してみるのも楽しそうですね。

スパイスを肉の下味に!臭み消しの効果も

スパイスには、肉の臭みを消して風味をプラスする効果があります。

塩などの調味料が入っていないカレー粉があるなら、ぜひカレーの材料になる肉の下味に使ってみましょう。肉に揉みこめば、調理していくうちにスパイスの風味が鍋全体に広がり、風味豊かなカレーに仕上げることができます。

肉の種類によって、違うスパイスを使い分けるのもおすすめです。お好みにもよりますが、牛肉にはクローブやブラックペッパー、鶏肉にはシナモンやローレル、豚肉にはジンジャーなどが合いますよ。

もしスパイスが余ったら…

スパイスを買ってみたものの、使いこなすことができずに余ってしまった…。そんな時は、スパイスの固定概念を捨てると使い道を広げることができます。

例えばナツメッグをハンバーグに限定せず、「ひき肉料理」に置き換えれば一気に活用の幅が広がります。同様に、辛味のあるガラムマサラは餃子やチャーハンに、ブラックペッパーは意外にもバニラアイスやチーズケーキなどの乳製品との相性が抜群。

遠藤さんイチオシは「こしょう飯」。ご飯にブラックペッパーあらびきをたっぷりかけてお出汁を注ぐと、ブラックペッパー特有の柑橘系の香りが際立ち、爽やかなお茶漬けを楽しめます。

どうしてもスパイスの使い道に迷ったら、野菜炒めなどの炒め物にプラスしてみるのが一番手軽でおすすめです。香りは油に移りやすいので、炒め物の油にスパイスを入れて香りを立たせる、「スタータースパイス」として使ってみましょう。

残ったカレーを翌日食べたい!これはOK?NG?

一日おいたカレーが美味しいというウワサは本当?

カレーは1日置いた方が美味しくなるという意見もありますが、食材の旨みがカレー全体にいきわたり、素材の尖った風味が丸くなることが考えられます。

ただ、カレーの魅力のひとつであるスパイスの香りは、時間の経過とともに薄くなります。調理してから2~3時間で香りが弱くなるため、スパイスの風味を楽しみたい方はなるべく早めに食べきりましょう。

残ったときは素早く冷まして冷蔵庫へ

残ったカレーを常温のままキッチンに放置してしまうと、傷んだり腐ることがあります。

カレーに増殖する食中毒菌は45度前後が増殖しやすいと言われており、見た目や味、においなどに変化を感じにくいのが特徴です。さらに、再加熱しても毒性が消えないため、夏場の保存には十分注意してください。

底の浅い容器などに移し換えるなどして素早く冷ましたら、冷蔵庫に保管し、できるだけ早くお召し上がりください。

カレーをきっかけにスパイスで料理の幅を広げてみよう

遠藤さんによると、料理に使われる「風味」という言葉の「風」とは香りのことなのだそう。
「味」に「香り」が加われば、おいしい「風味」になります。

美味しい料理には欠かせない”香り”。その香りをうまく使いこなせるようになれば、ますます食べることが楽しくなりそうですね。

実践編では、実際にカレー作りに役立つポイントとレシピをご紹介します。普段のカレーをさらに美味しくするコツをはじめ、スパイスって似たようなものばかりでよくわからない…と敬遠していた方も、思わず試してみたくなる小技がたくさんありますよ!

■今日から役立つ!美味しいカレーの作り方実践編はこちら

<著者プロフィール>

■小高未絵(おだか・みえ)
フリーライター、フリー編集者、保育士。
保育士資格と子ども4人の子育て経験を生かし、人間関係のコミュニケーション術や子育てノウハウ系の記事を得意とする。大切にしていることは「誰にでもわかりやすく、人の心に寄り添うライティング」。

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