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2020.08.28

「新型コロナと糖尿病」に関する疑問を解決!1分で読める医師Q&A

kencom公式:ライター・森下千佳

糖尿病を予防・改善するためにはどうしたら良いの?
皆様からの素朴な疑問に、慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌代謝内科教授 伊藤裕先生がお答えします。

「新型コロナウイルスと糖尿病」に関する4つの疑問

Q. 家族が糖尿病予備軍と診断されました。予備軍も、新型コロナウイルスに感染すれば重症化しやすいのでしょうか?

ご家族がどのくらいの程度で糖尿病予備軍と診断されたかにもよりますが、一般的には予備軍程度であれば、健康な方とほとんどリスクは変わりません。あまり心配しすぎず、通常通りの感染対策をしっかり行った上で、糖尿病を改善する食事と運動をしていきましょう。

詳しい、糖尿病改善方法はこちら!

Q. 夫が糖尿病予備軍と診断されたのにも関わらず、お酒をやめません。どうしたら良いのでしょうか?

少量のお酒を飲む分には、身体にものすごく悪いわけではありません。お酒が大好きな方に禁酒を勧めると反発されることもありますし、ストレスを溜めてしまうこともあります。嗜む程度ならば、許してあげても良いと思います。
アルコールはそれそのものの作用や代謝に伴って、血糖値に影響を与えます。多量飲酒は発病の危険性を高め、特に肝障害や膵障害が加わるとコントロールが難しい糖尿病になるため、糖尿病患者さんは多量飲酒を絶対に避けるべきです。

1日のアルコール摂取量の目安は、純アルコール量で約20g程度。これをアルコール飲料に換算すると、ビールは中びん1本(500mL)、日本酒は1合(180mL)、焼酎0.6合(約110mL)、ウイスキーはダブル1杯(60mL)、ワイン1/4本(約180mL)、缶チューハイ1.5缶(約520mL)となります。この量を目安に、アルコールと上手に付き合っていきましょう。

飲酒量の単位:e‐ヘルスネットより試算 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-001.html

飲酒量の単位:e‐ヘルスネットより試算 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-001.html

Q.牛乳やヨーグルトなどの乳製品が好きで、毎日食べています。乳製品は身体に悪いという報告もあり、不安に思っています。糖尿病や肥満につながりますか?

どういうものを摂っているかによります。
ヨーグルトでもジャムや砂糖がたっぷり入ったようなものは糖分の問題があると思いますが、無糖ヨーグルトや牛乳、チーズなどの乳製品は、積極的に摂って欲しい食材です。乳製品を食事で豊富に摂取すると、糖尿病、高血圧、肥満やメタボリックシンドロームのリスクが低下し、心臓病や脳卒中のリスクの低下も期待できるという報告もあります。毎日の食生活に取り入れていきましょう。

Q. 糖尿病予備軍です。調味料を見直すことは、予防に役立ちますか? 砂糖を、ステビア、オリゴ糖、はちみつ等に代える、醤油や味噌を減塩にするなどは効果的ですか?

とても良いと思います。実際に糖尿病改善に効果があるという意味でも良いですが、そういうことに興味を持ち始めた事自体が、すでに行動にうつされている現れなので、素晴らしいと思います。
最近は天然甘味料、人工甘味料もかなり質が良くなってきているので、普通の砂糖を代替して、色々なものを試してみると良いでしょう。塩分は、血糖値に直接影響しませんが、過剰な塩分摂取は高血圧や体重増加の原因になり、結果としてインスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性を引き起こして糖尿病を悪くします。塩分も控えめを心がけましょう。

伊藤 裕(いとう・ひろし)先生

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慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌代謝内科 教授

【プロフィール】
1983年京都大学医学部卒業後、同大学大学院医学研究科博士課程修了。米国ハーバード大学医学部博士研究員、スタンフォード大学医学部循環器内科博士研究員、京都大学大学院医学研究科臨床病態医科学講座助教授を経て現職。日本高血圧学会、日本心血管内分泌代謝学会理事長。日本糖尿病合併症学会Expert Investigator Awardなど、受賞多数。主な著書は、「臓器は若返る メタボリックドミノの真実」(朝日新書)、「なんでもホルモン」(朝日新書)、「「超・長寿」の秘密-110歳まで生きるには何が必要か」(祥伝社新書)など多数。

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
フリーエディター。お茶の水女子大学理学部卒。テレビ局に入社し、報道部記者として事件・事故を取材。女性ならではの目線で、取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。退社後、ニューヨークに移住。当時、日本ではなかなか手に入らなかったオーガニック商品を日本に届けるベンチャー企業の立ち上げに関わる。帰国後、子宮頸がん検診の啓発活動を手がける一般社団法人の理事を経て現職。一児の母。

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