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2020.08.03

感染が疑われたらどうすればいい?新型コロナウイルスの基礎知識

kencom公式ライター:松本まや

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本記事は7/22時点の情報を元に作成しています。最新の情報については厚労省や自治体の専用ページでご確認ください。

日本でも都市部を中心に感染の拡大が進む新型コロナウイルス。いつ身近な人の感染が発覚するか、分からない状況になっています。今、体調の変化を感じたらどうすればよいのか。どのように症状が進行していくのか。引き続き、北品川藤クリニック院長の石原藤樹先生に教えていただきました。

症状の経過と治療法

軽症の場合でも長期化の恐れあり

新型コロナウイルスに感染してから症状が出るまでの潜伏期間は、数日から最長で2週間程度とされています。
初期は、強い倦怠感や発熱などの風邪症状が見られますが、一般的な風邪との識別は難しい場合があります。一方で、感染者の多くに嗅覚及び味覚の異常が確認されており、これは新型コロナウイルスに特徴的な症状と言えるでしょう。

もし感染し、症状が出ても約8割は軽症のまま回復します。回復にかかる期間は2週間程度が一般的ですが、1ヵ月程度かかるなど長期化することもあります。
残りの2割の方のうち、一部は発症から1週間程度で肺炎が急激に悪化し、入院治療が必要となります。入院が必要となるケースは約2割と言われており、5%ほどが重篤な状態に陥ります。重篤な症状が出た場合は、人工呼吸器を使用して治療を行い、場合によっては人工肺などによる手厚いケアが必要となります。

他人へ感染しやすいのは、症状の出る2日前から、発症の10日後程度までと言われています。

現状は症状に合わせた対症療法が中心。重症化すると人工肺の利用も

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新型コロナウイルス感染症の治療は、依然として特効薬がなく、抗ウイルス剤等を投与しながらの対症療法が中心となります。
医療機関にもよるものの、現在主に使用されているのは、元々エボラ出血熱の治療薬として開発されたレムデシビルや、強力な炎症抑制作用のあるステロイド剤のデキサメタゾン、インフルエンザの治療薬として使われるアビガン、マラリアの治療に使われるクロロキンなどです。いずれも特効薬と言えるほどの明白な効果は確認できていません。医療保険での適応があるのは、現時点ではレムデシビルとデキサメサゾンだけです。

そのため、新型コロナウイルスの感染拡大当初と比較し、必ずしも救命率が上がっているとは言えず、重篤な患者を手厚く治療できるよう、引き続き医療体制を確保しておくことが大切です。

「感染したかも……」と思ったら

医療機関に行く前に、必ず電話を

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新型コロナウイルスへの感染が疑われるような症状が出たら、どうすればよいのでしょうか。
「息苦しさ」や「強いだるさ」、「高熱」などの強い症状が出ている場合や、発熱や咳などの軽い症状であっても続いているような場合は、かかりつけ医、もしくは相談窓口に電話してください(※)。特に新型コロナウイルス感染症の特徴的な症状である、嗅覚や味覚の異常が感じられた場合は早めに相談しましょう。

感染拡大防止の観点から、医療機関が受け入れ態勢を整えることができるよう、かかりつけ医であってもいきなり来院するようなことはせず、必ず事前に電話などで状況を説明し、指示を仰ぐようにしてください。

当初と比べ、PCR検査など診断のための検査の対応可能数も格段に上がっています。決して慌てないようにしてください。

新型コロナウイルスに関する相談は以下のリンクより、お住まいの都道府県の相談先をご確認ください。

電話相談後、必要に応じて検査へ

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医療機関や相談窓口に連絡し、感染の疑いがあり、診察の必要があると判断されると、かかりつけ医を含む診療所などの医療機関やや指定病院へ案内されます。そこで診察の上、診断のための検査の必要があると判断された場合、PCR検査センターや指定医療機関などでPCR検査が受けられます。抗原検査など別の方法で診断されることもあります。

検査の結果、陽性であった場合は症状の重さに合わせ、感染症の指定病院への入院や宿泊施設で療養することになります。非常に軽症であったり、宿泊施設などに空きのない場合には、自宅療養が求められることもあります。

自宅で様子を見る場合の注意点

少し体調が悪いと感じた時、またPCR検査の結果を待っている間などは「感染しているかもしれない」と考え、他の人へ感染を広げないよう可能な限り外出や人との接触を避けるようにしてください。

同居する家族がいる場合には、可能であれば食事をする部屋や寝室を含めて居住空間を分けましょう。完全に分けることが難しければなるべく距離を取り、カーテンなどの仕切りを設置することで、飛沫感染のリスクを下げることができます。

一人暮らしであれば家族と連絡を取れるようにしておく、体調が変化したらすぐに医療機関に連絡できるようにしておくことも大切です。毎日体温測定をして健康状態を確認し、例えば息が苦しくなったり、食事が取れない程に身体がだるくなってしまったら、悪化する恐れがあるので医療機関に相談してください。

感染防止のためにできること

手洗い、マスク、3密回避などの基本動作をしっかりと

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新型コロナウイルスへの感染を防止するためには、当初より言われていることですが、マスクを着用すること、小まめに手を洗うこと、3密、飲酒・運動をする空間を避けることが大切です。

日常生活では、無意識に様々な物に触れています。手を介して、鼻や口から体内にウイルスが入り込むことが多いため、特に手洗いは重要です。せっけんを使い、十分に時間をかけて手洗いをしてください。しっかりと手洗いができていればそれに加えてアルコールで除菌をする必要はありませんが、小まめに手洗いができない場合などはアルコールでの除菌も有効です。市販のものであれば基本的に十分有効と考えられますが、アルコール濃度が下がると効果が薄れるため、水で薄めるなどの対応は取らないでください。

また部屋の換気はこまめにするといいでしょう。

マスクは「他人に移さないため」に

マスクを着用し、ソーシャルディスタンスを確保していれば、約8割は感染を防止できると言われています。マスクは万能ではありませんが、特に感染していた場合、他人への感染を防ぐためには有効です。
暑い季節は熱中症を引き起こすおそれがあったり、マスクがこすれて肌荒れするなど注意が必要な部分もあります。無理のない範囲で着用を続けましょう。

感染症対策と合わせて生活習慣の見直しを

新型コロナウイルスの感染が広がってから、一部のスーパーマーケットでは納豆が品薄になるなど、免疫によいと言われる食品が売り切れる現象が多く見られました。ですが、単独の食品だけで免疫が劇的に向上することはないと考えてください。
1つの食品に頼りすぎることなく、適度な運動を続けたり、バランスのよい食事を心がけたりと全般的に生活習慣を見直せるとよいですね。

参考

監修医プロフィール

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36

著者プロフィール

■松本まや(まつもと・まや)
フリージャーナリスト。2016年から共同通信社で記者として活躍。社会記事を中心に、地方の政治や経済を取材。2018年よりフリーに転身し、医療記事などを執筆中。

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