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2020.08.06

withコロナ時代、リモートワークで効く「雑談力」【40代からの雑談力Vol.4】

kencom公式ライター:大貫翔子

リモートワークを導入する企業が増えたのに伴い、新しいコミュニケーションスタイルが生まれています。対面での会話に比べ、画面上でのやりとりはメリットもデメリットもあります。

新しい生活様式の中で職場での人間関係を円滑に保つには、雑談はどうあるべきなのでしょうか。

リモートワークで雑談はどう変化するのか?

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オンライン会議で縮まる上下関係

新型コロナの影響により、対面のコミュニケーションが激減している今、多くの企業がオンライン会議を採用しています。会話が画面越しとなったことで、以前では想像していなかった変化が起きています。

まず大きな変化としてオンライン会議では、役職者の『威厳』が薄れます。画面では全員同じサイズのコマに表示され、上長の威圧感を感じにくいからです。さらに、大人数での会議でも、周囲の視線がないので、気兼ねなく質問や意見をぶつけられる環境になったと言ってもいいでしょう。

これからの時代は「誰が言ったか」よりも、「何を言ったか」と質の時代になるのではないかと思います。

こうした変化は、リモートワークのメリットといえそうです。
しかし、これまで発言力の強かった上の世代からすると、ただ言うだけでは仕事が動かない可能性があります。オンライン会議でのファシリテート力やディベート力、アピール力などが必要になると考えられます。

ここで注目したいのが、会議前や後のちょっとした時間での雑談の重要性です。

雑談する時間をつくってみよう

リモートワークの導入によって、会議前後のスキマ時間や休憩スペースでの雑談タイムがなくなりました。オンライン会議では開始時間とともに画面をオンにし、終了後はすぐにオフにしてしまうため、業務外の会話をすることもないのではないでしょうか。

そこでご提案したいのが「リモート雑談」です。会議の前後30分に「雑談タイム」を設定してみましょう。

雑談でチームのコンディションを確認していた方は、意識して会話の時間を取らないと現在どういう状況なのか把握できません。

『雑談しよう』とはなかなか言い出しにくいものですが、『親睦を深めたいから』と理由づけすれば、メンバーにとっても無駄な時間という印象になりません。『懇親会』や『歓迎お茶会』などと名前をつけるのもいいですし、会議のレジュメに『雑談タイム』と記載してもいいでしょう。

オンライン会議ツール「zoom」では、参加者を複数のセッションに分ける「ブレイクアウトルーム」という機能があります。手動または自動でグループ分けができ、設定した時刻になったらグループワークを終了するタイマーもついているので、会議前の時間を使ってランダムなメンバーで雑談することも可能です。

「リモハラ」を防ぐには

一方で、映している顔や自室、家族の様子などに言及し相手に不快な思いをさせる「リモハラ(リモートハラスメント)」が問題になっています。
特に上司に苦手意識があって顔を見せるのに気を引けたり、女性なら外に出ないのに化粧をするのが手間ということもあるかと思います。

リモハラが起きるのは、普段見られないパーソナルな部分が見えるから。気にされる方は、背景を設定するなどして極力見せないことです。

こうした話をすると「自分が見せているからといって相手も見せるのが礼儀だ」という謎の理論を振りかざす人がいますが、そんなものは通用しません。
リモートワークならではのこうした問題を防ぎ、互いに気持ちよく仕事したいものです。

今後オフラインの時間はより貴重に

対面・非対面を比べると、両者は一長一短です。対面の方が表情や身振りなどがわかりやすく、情報量が多いので濃密なコミュニケーションがとれます。非対面では打ち合わせ場所まで行く時間や労力を省くことができ、最小限のコストで必要な情報を交換することができます。

今後オンラインが当たり前になると、オフラインでのコミュニケーションは価値が高まると思います。

個人の考えですが、いつでもどこでもオンラインでコミュニケーションが取れるようになると、1回の会話の価値は下がると考えています。
オンラインの雑談の重要性を語りましたが、私自身はオフラインでのコミュニケーションが好きです。

新型コロナの影響で、外出や人との集まりに自粛が求められる今、同じ時間と場所、空気を共有するオフラインでのコミュニケーションは貴重なものだと再認識させられます。

そのため、コミュニケーションにおいても、効率化が進み「楽しいこと・やりたいことはオフライン」「面倒なこと・気乗りしないことはオンライン」と棲み分けていく人が増えていくと思います。

仕事においては事務的にオンラインでのコミュニケーションが増えるでしょう。そのため、時にはオフラインでも集まれる工夫を取り入れて、仕事ができる環境をつくるのが必要なのではないでしょうか。

withコロナ時代も、雑談力はビジネスに活きてくる

新型コロナウイルスの感染拡大により、ビジネスシーンにおけるコミュニケーションは大きく変わりました。しかし、相手を気遣いながら適度に距離を縮めるという基本スタンスは、リモートワークになっても大切です。そのためには、雑談が大いに役立ちます。

非対面だからとおろそかにするのではなく、より一層コミュニケーションの質を見直す時代が来ています。工夫次第で新しい人間関係の構築のしかたが見えてくるかもしれません。

監修者プロフィール

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■五百田 達成(いおた・たつなり)さん
作家・心理カウンセラー。米国CCE,Inc認定 GCDFキャリアカウンセラー

東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て五百田達成事務所を設立。専門分野は「コミュニケーション心理」「社会変化と男女関係」「SNSと人づきあい」「ことばと伝えかた」。最新刊「超雑談力 人づきあいがラクになる 誰とでも信頼関係が築ける」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)発売中。シリーズ累計70万部突破。

著者プロフィール

■大貫翔子(おおぬき・しょうこ)
編集プロダクションにて住宅情報誌や企業の広報誌、フリーペーパー等の編集・制作に携わる。のちにフリーの編集・ライターとして独立し、住宅、キャリア、ヘルスケアなどのジャンルで記事を執筆。

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