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2020.07.13

栄養が通常の2倍にも!夏を乗り切る「夏野菜」の美味しい見分け方と栄養

kencom公式:管理栄養士・前田 量子

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スーパーに手頃で美味しい夏野菜が出回る季節。

夏野菜は夏に美味しい旬を迎えるだけでなく、カリウムと水分が豊富で体内の余計な塩分や熱をスムーズに排出する効果があると言われています。今回は、夏を乗り切る食生活づくりにもおすすめな旬の夏野菜の美味しい見極め方と栄養素についてご紹介します。

季節の野菜を食べると良いことだらけ

野菜の栄養素は日本食品標準成分表で分かりますが、その値は年間の平均値。実は旬とそうでないときでは差があることが分かっています。

例えばトマトは旬のものはそうでない時期のものと比べ、β-カロテンの含有量が約2倍の差があるというデータもあります。
また旬の野菜はもともとその季節が栽培に適している食材。つまり、無理なく栽培できて収穫量も多いため、価格も手頃になります。

通常よりも栄養価が高く価格も手頃になる、と旬野菜は良いことがいっぱいあるのです。

夏野菜の見分け方と栄養を知ろう

夏野菜の中でも、ご家庭でよく食べられる野菜の美味しい見分け方と栄養素をご紹介します。チェックポイントをおさえて選ぶと、失敗なく美味しくいただけますよ。

茄子

旬の時期

6月~9月

美味しい見分け方

・ヘタが尖っている
・切り口が変色していない
・皮につやがあり張りがある
・持ってみて重みがある

主な栄養素:ナスニン、カリウム

茄子には長茄子をはじめ卵形の米茄子、丸茄子など種類も豊富。色も緑や白など様々なものが出回っていますが、やはり代表的なものはつややかな紫色のものですよね。
その皮にこそ茄子の代表的な栄養素「ナスニン」が含まれています。ナスニンはアントシアニン系の色素で強い抗酸化力を持っています。体内の活性酸素の働きを抑え、動脈硬化や老化などの防止効果が期待できます。

このナスニンは水溶性なため、油を使う調理で表面をコーティングすると流出量が少なくなり損失を減らすことができます。しかし茄子は油の吸収率も高いので、カロリーが気になる場合は電子レンジで蒸しナスがおすすめです。ナスニンを失いにくくなりますし、カロリーを気にせずたっぷり食べられます。

きゅうり

旬の時期

5月~8月

美味しい見分け方

・いぼがピンと尖っている
・皮に張りがある
・太さが一定
・両端がしっかりしている
・持ってみて重みがある

主な栄養素:シトルリン、カリウム

きゅうりは四川きゅうりや加賀太きゅうりなど色々なものが出回っていますが、一般的なものは白いぼきゅうり。苦みや青臭さが少なく改良され、食べやすいのが特徴です。

きゅうりは9割が水分ですが、カリウムやビタミンK、食物繊維などの栄養も含まれています。そのため、たくさん汗をかいて失われる水分やビタミン、ミネラルを補給するとともに熱を輩出させる効果が期待できるなど、暑気払いに役立つ野菜です。
他にも血管拡張作用によって血流改善に効果が期待されるシトルリンも含んでいます。

トマト

旬の時期

夏秋もの 6~10月

美味しい見分け方

・ヘタが緑色でピンと張りがある
・皮に張りがありみずみずしい
・色むらがなく鮮やか
・持ってずっしりと重い

主な栄養素:リコピン、カロテン、カリウム、ビタミンC

人気の高いトマトは、色形など様々で品種は100種類にも上ります。中でも一番多く出回るのが「桃太郎」で甘みが強いのが特徴です。

トマトの優れた栄養成分と言えば「リコピン」。昔から健康効果が認められており『トマトが赤くなると、医者が青くなる』という言葉があるほど。リコピンは赤い色素に多く含まれており、カロテノイドの一種でβ-カロテンよりも強い抗酸化作用があると言われています。体内の活性酸素を抑制すると言われているので、老化防止、動脈硬化にも期待されています。加熱に強く脂溶性なため加熱調理にも向いています。

トウモロコシ

旬の時期

6月~9月

美味しい見分け方

・ひげがふさふさで赤褐色のものがよく熟している
・皮の緑が鮮やか
・粒に張り、つやがある
・粒の大きさが揃っている

主な栄養素:炭水化物、ビタミンB1、ビタミンB2、カリウム、マグネシウム、ゼアキサンチン

夏になると出回るトウモロコシは、旬を感じられる貴重な野菜のひとつ。甘みの強いスイートコーンが一般的です。収穫後に甘みが減っていくので、特に鮮度の良さが大切な野菜です。

黄色い色素に含まれるゼアキサンチンはカロテンの仲間で、目の健康に効果があると言われています。粒の胚芽部分にはビタミンB1、B2、カリウム、マグネシウムなどのミネラルが含まれます。
ビタミンB1、B2は糖質や脂質の代謝に必要な栄養素で、摂取したエネルギーの代謝を促してくれるため疲労回復、夏バテにも効果が期待されます。アミノ酸のアスパラギン酸も含まれており、スタミナ増強にも期待できます。

かぼちゃ

旬の時期

国産 5月~9月

美味しい見分け方

主な栄養素:炭水化物、カロテン、ビタミンE、ビタミンC

・軸が太い
・ヘタが枯れコルク状になっている
・ヘタの周りがくぼんでいる
・果肉の色が濃く張りがある
・種が大きく詰まっている
・皮が濃い緑

年中出回っているかぼちゃですが、国産の旬は5月~9月です。ヘタが枯れ、周りがくぼんでいると完熟している証拠です。

かぼちゃの栄養素と言えばカロテン。鮮やかな黄色い色素と皮に多く含まれます。カロテンは体内でビタミンAに変わり強い抗酸化力を発揮します。また、抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンC、Eも豊富。この3つはビタミンACEと言われ、細胞や体内の酸化防止をしてくれるとともに、相互作用により免疫細胞の活性化、血流改善の作用も期待されています。
活性酸素が多く発生する夏にはもちろんのこと、冬には風邪予防としてもいい野菜です。

夏野菜を食べて夏を乗り切る!

旬の野菜は価格が安く、その季節に必要な栄養価は高く、良いことがいっぱいあります。
夏はうどんやそうめんなど、炭水化物に偏り栄養バランスが崩れがちです。副菜やサラダ等で旬の野菜をたっぷりとり、健康に過ごしましょう。

著者プロフィール

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■前田 量子(まえだ・りょうこ)

管理栄養士 野菜ソムリエ。著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』(全て主婦の友社)管理栄養士、ロジカル調理研究家。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

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