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2020.07.15

「感染予防と熱中症対策」に関する悩みを解決!1分で読める医師Q&A

kencom公式ライター:森下千佳

気温がグングン上がる中、毎日マスクを着用しなくてはいけないという、今までに経験したことのない夏が来ます。新型コロナウイルス感染症対策をしっかり行いながらも、熱中症にならないためにはどうしたら良いのでしょうか?
4つの疑問に専門家が答えます。

Q.暑さで食欲が減退してしまい3食食べることができません。水分さえとっていれば、熱中症にはなりませんか?

A.夏場はどうしても食が細くなりがちですよね?
今までに比べて、食事の量が2〜3割減った程度であれば、あまり気にすることはありません。ただ、熱中症予防のためには、水分補給はしっかりと。食欲がない時期は、できれば塩分と水分が同時に取れる「経口補水液」のような飲み物を取り入れると良いでしょう。

食欲がないと、冷たいそうめんのような食べやすいものだけの食事になりがちですが、一緒にタンパク質や夏野菜やフルーツなどを積極的に摂るようにしましょう。
水分補給や、筋肉を作るといった熱中症対策になるだけでなく、免疫力を高めてくれるので感染症対策にもつながります。お年寄りは水を飲みづらくなる為、元々水分が含まれているフルーツや野菜から摂取すると無理がなくオススメです。

Q.幼稚園の子供がいます。暑くなり、子供がマスクを嫌がります。マスクの着用はまだ必要でしょうか? 子供がマスクをしている時に、保護者が気をつける点はありますか?

A.日本小児科医会では、「乳幼児は気道が狭く窒息のリスクが高まるため、2歳未満はマスクをさせないように」としています。

3歳以上の幼児に関しても、「学校や幼稚園、保育園などでのクラスター(集団)発生はほとんどなく、万一、子どもが感染しても重症例はきわめて少ない。それよりもマスク着用による、窒息や熱中症のほうが、はるかにリスクが高い」としています。

小学生低学年ぐらいまでは肺の機能がまだ未発達なので、マスクで呼吸が苦しくなることがあるため無理をさせないことが大切です。ただ、人混みに行く場合には、着用した方が良いでしょう。その時には、子供の様子をしっかりと親御さんが見てあげてください。
こまめに水分補給をし、マスクを外して休憩する時間をつくるといいですね。
また、おしっこの量やトイレの回数も脱水症の目安になります。普段よりも回数が少なくなっていないか、尿の色が濃くなっていないかを確認しつつ、水分補給を促してください。

Q.熱中症予防のために、夏用マスクは効果がありますか?

A.不織布のサージカルマスクは、気密性が高いので感染予防には良いですが、一番熱がこもりやすい構造になっています。これからの季節は熱中症対策も同時に行う必要があるので、各社がいろいろと工夫している「夏用マスク」を試してみる価値はあると思います。通気性が良いものが多いので、マスク内に熱がこもりにくく、喉の渇きに気がつけるという利点があります。

ただ、どんなマスクも長時間着用していると、水分を含んで目が詰まり、呼吸が苦しくなっていきます。こまめにマスクを外し、乾燥させることが大切です。

Q.高齢の母が、真夏でも「身体に悪いから」と冷房を嫌がります。どうしたら良いのでしょうか?

A.高齢者は体内の水分量が少なく脱水症状になりやすい上、体温調整機能が低下しており、身体の中に熱がこもりやすい状態になっています。また、暑さや喉の渇きも感じにくいほか、頻繁にトイレに行くのをいやがるなどの理由から水分補給をおろそかにしてしまうケースもあります。夏の暑い時期は、ぜひ積極的に冷房を使い、水分補給を意識して欲しいです。ただ、高齢者は寒がりなので、設定温度はご本人が快適だと感じる温度で良いと思います。

高齢の方でよく、「冷房は身体に悪い」と思い込んで暑さを我慢してしまう方がいらっしゃいますが、危険なのでやめましょう。周りの方が上手に誘導してあげて、身体が冷えきらない程度に冷やしてあげることが大切です。

谷口 英喜(たにぐち・ひでき)先生

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済生会横浜市東部病院 患者支援センター長
専門は麻酔・集中治療、経口補水療法、体液管理、臨床栄養、周術期体液・栄養管理など。日本麻酔学会指導医、日本集中治療医学会専門医、日本救急医学会専門医、TNT-Dメディカルアドバイザー。1991年、福島県立医科大学医学部卒業。学位論文は「経口補水療法を応用した術前体液管理に関する研究」。

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
フリーエディター。お茶の水女子大学理学部卒。テレビ局に入社し、報道部記者として事件・事故を取材。女性ならではの目線で、取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。退社後、ニューヨークに移住。当時、日本ではなかなか手に入らなかったオーガニック商品を日本に届けるベンチャー企業の立ち上げに関わる。帰国後、子宮頸がん検診の啓発活動を手がける一般社団法人の理事を経て現職。一児の母。

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