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2020.06.20

その使い方、間違ってる!?家庭で気を付けたい夏場の冷蔵庫の食品管理術

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

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食品を安全に保存するために欠かせない「冷蔵庫」や「冷凍庫」。

しかし、どれだけ鮮度の良い食材を買っても、保存状態が悪いと食材の劣化を早めたり食中毒の原因になる事もあります。

特に日本の夏は高温多湿であることから、夏場に食中毒を引き起こす原因となる細菌が増殖しやすい条件「温度」「水分」が揃いやすくなるため特に注意が必要な時期。
買った食材を安心して使えるように冷蔵庫や冷凍庫を上手に活用しましょう!

夏場の食品管理で気を付けるべきこと

食中毒予防の食品管理は買い物をする時から始まっています!
順を追って注意すべきポイントを紹介します。

購入時の注意

鮮度の良いものを選ぶ

肉や魚はトレーにドリップ(魚や肉から出てくる水分やタンパク質)が出ていないか、袋に入っている野菜は汗をかいて袋がくもっていたり、底に水が溜まっていたりしないかを確認しましょう。

袋詰めはドリップがつかないように注意

袋に入れる際は、肉や魚のドリップが付着しないようにビニール袋に入れるなどしましょう。肉魚と野菜を別々の袋に入れるのもおすすめです。

保冷剤を活用し、速やかに帰宅する

生鮮食品を買った場合は、保冷剤やドライアイス、氷など保冷アイテムを活用しましょう。

また、食材を持ったままあちこちに寄り道をするとその分食材の温度は上がります。買い物をしたらしっかり保冷して速やかに帰宅しましょう。
特に夏の車内には熱がこもりやすいので、短時間でも置きっぱなしにしないように注意が必要です。

保存時の注意

適切な保管場所にしまう

保存する際は、肉や魚は温度が低いチルド室へ、野菜は野菜室、冷凍品は冷凍庫へとしまいましょう。

冷蔵庫の部屋が分かれている理由は、しまいやすいだけでなくそれぞれ温度が違うことで様々な食材に対応できるようになっています。

◆冷蔵庫:約2~5℃に設定されていることが多く、多くの食材はここで保冷します。
◆チルド室:約0~3℃と冷蔵庫よりも低く、凍る直前の温度に設定されています。肉や魚などの傷みやすい食材や発酵食品の発酵を遅らせたいときにも役立ちます。
◆野菜室:冷蔵庫と同じか少し高めの3~8℃程度に設定されており、冷蔵庫よりも湿度が高いのが特徴です。野菜の保存に適した空間になっています。
◆冷凍庫:約-18℃に設定されています。冷凍保存と言っても永遠に保存するのは不可能です。家庭用冷凍庫は業務用冷凍庫と比べると温度が高いため、冷凍したとしても食材の劣化が起きないわけではありません。1~2ヵ月で使い切るようにしましょう。

詰めすぎない

冷蔵庫はパンパンに詰めると隅々まで冷えにくくなるため、7割程度を目安に詰め込みすぎないようにしましょう。

冷蔵庫は常に冷気のベールが食材を包み込むイメージです。パンパンに詰め込むと冷気が循環できずに食材の冷え方にムラが生じる可能性があります。必要なものを必要な分だけ保存するように冷蔵庫内の整理整頓を心がけましょう。

冷蔵庫内に水分が溜まっていないかチェック

水分が多いと、食材が傷んだり、菌が繁殖する原因となります。
肉や魚のドリップは特に注意が必要です。トレーの裏側のラップに水滴はついていないかチェックしましょう。

また、野菜室も水が溜まることがあるのでこまめにチェックをし、水が溜まっていたらすぐに拭き取りましょう。

下準備や調理での注意

手指・キッチングッズは清潔に

手指の洗浄をこまめに行うのは、食中毒予防の基本です!時計や指輪など装飾品は外して爪の中まできれいに洗いましょう。

少しでも食中毒のリスクを避けるために、まな板や包丁などのキッチングッズも、肉、魚、野菜、その他(パンなど)で使い分けましょう。もし同じ包丁を使う場合はきれいに洗い常に清潔を保ちましょう。

食材を常温で出しっぱなしにしない

特に気温が高い夏場は少し常温に出しただけでもすぐに食材の温度が上がり、冷蔵品などは汗をかいてドリップが増えます。

また、食材を火の近くや電子レンジや食洗器などの温かくなる調理機器の近くに置くとさらに温度が上がりやすくなりますので注意が必要です。

残り物の管理での注意

残り物は清潔な容器に入れ、冷まして冷蔵庫で保管します。煮物や炒め物など再度温めて食べる場合は、食べる直前に再度十分に加熱します。

使いきれずカットした野菜は、野菜室よりも少し温度の低い冷蔵庫に入れて保存します。一度カットした野菜は切り口からどんどん劣化していきますので、なるべく早く食べきることをおすすめします。

キッチン用品や冷蔵庫も清潔に

家庭の衛生管理で意外と見落としがちなのが、食材以外のものです。
特に調理に関わる布巾、手拭きタオル、食器洗いスポンジの衛生面に配慮することや、シンク、三角コーナーを清潔に保つことも食中毒予防には大切なポイントです。

布巾やタオルは台拭き用、まな板用、手拭き用など用途によって分けましょう。また、濡れたまま放置すると菌の増殖につながるので、1日使ったら必ず洗濯しましょう。
まな板はキッチン用の漂白剤や除菌効果のある洗剤を使用するほか、最後に熱湯をかけるのもおすすめです。洗って除菌した後はしっかりと乾かしましょう。

冷蔵庫内も汚れや水滴に気づいたら速やかに拭き掃除をしましょう。野菜室やチルド室は食材の水分やドリップで濡れていることがあるので特に注意が必要です。

その他にも電子レンジの庫内も普段は暗くて見えづらいのですが、固く絞ったぬれ布巾で拭くと意外と汚れていることに気づきます。

食材を置く場所すべてに配慮を

食中毒は食材の扱いだけでなく、食材が置かれる場所すべてに配慮をすることが大切です。
些細なことではありますが、食材と食材を取り巻く環境に注意を向けるとよりしっかりと予防ができるようになるでしょう。

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磯村 優貴恵(いそむら・ゆきえ)

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大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。
その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆など幅広く活動中。

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