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2020.07.01

辛い頭痛を我慢しないで!専門医が教える頭痛タイプ別対処法【コロナと頭痛・後編】

kencom公式ライター:森下千佳

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一般的に起こりやすい頭痛は、大きく分けて「片頭痛」と「緊張型頭痛」の2タイプがあり、あなたがどちらのタイプか知ることで対処法が違います。

頭痛は辛いだけでなく、我慢しすぎると脳の血管を痛め、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高める可能性もあります。頭痛のタイプ別の上手な対処法を、頭痛の専門家、山王クリニック品川の山王直子院長に教えていただきました。

▼前編の記事で頭痛のタイプをチェック

自分でできる片頭痛の改善方法は?

痛む場所を冷やす

片頭痛の症状をやわらげたいときは、痛む部位を氷枕やペットボトルなどを使って冷やすことをおすすめします。片頭痛は脳の血管が拡張する事で痛みが出るので、血管の収縮を促す事が効果的です。頭が痛いからと言って、マッサージを行ったりすると逆効果になるので注意が必要です。

入浴や運動を控える

また、片頭痛の症状があるときは、湯船に浸かることは控えましょう。お風呂に入る場合は、シャワーをさっと浴びる程度にし、できるだけ静かな暗い場所で少し睡眠をとると(1時間以内、寝すぎは逆効果)症状が落ち着きます。また、運動をすると血管が拡張してしまい、頭痛が悪化する恐れがあります。過度な運動は避けましょう。

寝すぎや寝不足を避けて、規則正しい生活を!

寝すぎや、寝不足、長時間の昼寝などで体内時計が崩れると、寝起きに頭が痛くなることがあります。人は熟睡している時間が長く続くと身体が「省エネモード」になり、呼吸が浅くなり、心拍数が下がります。すると、 脳の血管の中に二酸化炭素が増えて血管が拡張し、血管を取り巻いている三叉神経が引っ張られて、朝方に頭痛が起こります。

寝不足の場合でも、脳の神経が過敏になるので痛みを感じやすくなります。頭痛を起こさないためには、睡眠のリズムを整えることが大切です。

頭痛ダイアリーで片頭痛を起こす「トリガー」(誘因)を知る

片頭痛のトリガー(誘因)はストレス、光、臭い、天候、音、食べ物など人によって様々です。これからの梅雨の時期は低気圧といった気圧の変動を受けますし、日差しの強い夏は、光刺激によって脳の頭痛センサーのようなものが活性化してしまい、頭痛が誘発されることがあります。また、環境や生活リズムの急な変化も、片頭痛のきっかけになり得ます。

自分のトリガーを知るためにお勧めなのは、「頭痛ダイアリー」をつけてみること。「どういう気候の日に、何をして、頭痛が起きたのか?」という記録をとってみると、誘因が見えてくるので対処方法がわかります。頭痛ダイアリーは、医療機関を受診する際も非常に役に立ちます。

緊張型頭痛の改善方法は?

パソコン、スマホの利用に注意。1時間に1回はストレッチを!

パソコンやスマホなどの画面を、同じ姿勢のまま長時間見ているのはよくありません。
1時間に1回は休憩し、首や肩を回したり、肩甲骨を寄せるストレッチをしたり、コーヒーを取りに行くなどして歩くと良いでしょう。特にスマホは、画面との距離が近くなり、猫背になりがちです。なるべく顔から離し、高い位置で持つようにしましょう。

お風呂、運動で血行をよくしよう!

筋肉の緊張をとるには、湯船に浸かり身体を温めると効果的です。ぬるめのお湯に長めに浸かり、リラックスしましょう。日中に30分〜1時間程度、ウォーキングやヨガなどの軽い運動ができれば理想的です。

枕を見直す

高すぎたり低すぎたりする身体に合っていない枕は、首、肩周辺の筋肉にコリや張りが起こり、首の神経が圧迫されるので頭痛につながります。専門店などで相談してみると良いでしょう。

片頭痛と緊張型頭痛を併せ持つ人は、片頭痛に合わせて対処

片頭痛と緊張型頭痛を併せ持つ人の症状の現れ方はその時々で違うので、冷やせば良いのか?温めた方が良いのか?判断が難しいところです。その場合は、頭痛外来や神経内科など頭痛専門医への相談することをお勧めします。一般的には片頭痛の症状の方が辛いため、どちらの頭痛が出ているのか迷った場合は、片頭痛の対処法に合わせて行動してください。

飲み過ぎNG!頭痛薬の正しい使い方は?

辛い時には市販の頭痛薬を飲んでも構いませんが、月に10日までにしましょう。市販の頭痛薬を選ぶ際は、「アセトアミノフェン」という成分のものを選ぶと安全です。ロキソプロフェンやイブプロフェン系の薬は、飲みすぎると余計に頭が痛くなる薬物乱用頭痛になりやすいので注意してください。

頭痛薬の飲み方は、「痛くなったらすぐに飲む」こと。痛くなる前に予防的に飲んでしまうと、薬の飲み過ぎにつながるので止めましょう。

長期間続く頭痛、いつもと違う頭痛はすぐに受診しよう

頭痛の中には重大な病気が隠れていることもあります。今まで感じたことがないくらい激しい頭痛が起きた場合や、頭痛とともに、手足のしびれや、めまい、言葉のもつれ、歩行障害など、他の症状を伴う場合は、脳梗塞や脳腫瘍が起きている可能性もあるのです。

頭痛は単に辛いものでなく、私たちの身体に起こる様々な変化を知らせるために、脳が送ってくれる「危険信号」。頭痛を我慢し続けると、命に関わることもあるので、異変を感じたらすぐに脳神経外科や神経内科を受診してください。

山王先生からのメッセージ

自粛期間が続くストレスで、頭痛を我慢されている方、辛い思いをされている方は多いと思います。頭痛には、治療薬や漢方薬、予防薬など、その方にあった様々な解決方法があります。決して一人で我慢せずに、相談にいらしてください!

山王 直子(さんのう・なおこ)先生

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山王クリニック品川院長・医学博士

【プロフィール】
横浜市立大学医学部を卒業後、米国メイヨークリニック留学 博士号取得(脳下垂体の研究)、日本医科大学脳神経外科学講師、日本医科大学付属多摩永山病院勤務(脳外科部長)を経て、山王クリニック品川開設。日本内分泌学会研究奨励賞受賞他、数々の受賞歴あり

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
フリーエディター。お茶の水女子大学理学部卒。テレビ局に入社し、報道部記者として事件・事故を取材。女性ならではの目線で、取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。退社後、ニューヨークに移住。当時、日本ではなかなか手に入らなかったオーガニック商品を日本に届けるベンチャー企業の立ち上げに関わる。帰国後、子宮頸がん検診の啓発活動を手がける一般社団法人の理事を経て現職。一児の母。

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