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2020.05.18

ホテル療養を宣告されても慌てないための準備|生活必需品を用意するだけでは安心できない

東洋経済オンライン

ホテルで療養することになった場合に注意しておきたい大切なこととは?(写真:ばりろく/PIXTA)

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ホテルで療養することになった場合に注意しておきたい大切なこととは?(写真:ばりろく/PIXTA)

「ホテル療養対象者」になる想定で備えを

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する緊急事態宣言が、東京や大阪など8つの都道府県を除く39県で解除されました。とはいえ医療機関の現状はまだまだ逼迫した状態であり、PCR検査が陽性であっても、軽症者はホテルでの療養が推奨されています。

しかしながら、急に療養対象者になったとしても、物品を揃える時間は限られています。1人暮らしでは感染した状態での買い物ははばかられるところですし、買い出しに行ける家族がいても家庭内感染、家族を介した外部への感染が心配です。そのため、いつでもすぐにホテル暮らしに移ることができるような普段からの備えが大切となります。

ホテル療養について

自治体などが発行している宿泊療養のしおりによれば、ホテルでの療養期間は約2週間ですが、健康状態が改善するまで宿泊日数が延長される場合もあります。ここでとくに注意したい2つの点があります。

1つは、通販や外部からの物品受け取りは、感染拡大防止のために原則不可ということです。常用薬の補充や家族の差し入れは一部可能なケースがあるようですが、基本的に必要物資は療養開始時にすべて持っていく必要があります。

もう1つは、ホテル滞在は健康な人が旅行先や出張先で滞在するのとはまったく違うということです。軽症と判断されたとはいえ感染者ですから、発熱や味覚障害といった症状を抱えながら、悪化や急変のおそれに日々晒されることになります。とくに窓も開かない、外部との接触が最小限の閉鎖的空間では不安も大きくなることでしょう。そのため、生活必需品に加え、メンタル面の十分なケアも必要となります。

生活必需品の準備

では、具体的には何を準備しておけばよいのでしょうか?

生活用品として最低限準備するべきものは、健康保険証、運転免許証・マイナンバーカードなどの身分証明書に加え、現金やクレジットカード、スマートフォン、おくすり手帳、下着を含む着替え、体温計、洗剤や洗面用具です。常用薬も忘れずに、十分に用意しておきましょう。

洗面用具はいつも使っているシャンプーやリンス、整髪料などを持っていくとよいでしょう。嗅覚は視覚以上に記憶や情動に関わると言われており、日常生活と同じ香りがするだけで安心感が得られます。香りという意味ではアロマポットや部屋の芳香剤を持ち込むのも効果的です。また、これらの「いつもの匂い」がするかどうかを、新型コロナウイルス感染症の症状である、嗅覚障害の程度を知るバロメーターにしている方もいらっしゃるようです。

衛生面ではちょっとした場所の消毒ができるアルコールスプレー、清潔なタオルやマスクのほか、女性は衛生用品も念のため多めに持っていくと安心です。

また、見落としがちなこととして、ホテル内はかなり乾燥します。オフィス用の卓上加湿器や就寝用の布マスク、保湿液といった乾燥対策は長期滞在において必須と言えます。

メンタル面のケア

これで一通りの生活は可能となりますが、やはり気になるのはメンタル面でしょう。無限に自由時間がある、と言えば聞こえがいいですが、体調が万全でない中、閉鎖空間でずっと過ごすのはつらいものです。

先日、東京都の小池百合子知事が東京玩具人形協同組合の寄贈をうけ、けん玉をホテルに配布していましたが、自分にとって気が紛れるもの、安心感を得られるものがあるとよいでしょう。

インターネット関連ですと、通販の利用は不可能でも書籍や音楽、映画のネットサービス(Kindle、Amazon Music、Huluなど)は利用できます。支払い用にクレジットカードを用意しておくと困りません。こうしたサービスやYouTubeなどの動画サイト、スマホアプリ、携帯ゲーム機で1日楽しく過ごせる方も少なくないと思います。

複数の電子機器を使う方は、家庭よりコンセントの数が限られるので、複数のケーブルがつながる充電器があると安心です。ただ、1つ注意として、暇つぶしにネット環境を利用していると、通常よりPCやスマホの画面を見ることになり、眼精疲労や腰痛、肩こりの原因になります。この対策は、「在宅勤務が招く3つの乱れを放置してはダメだ」(東洋経済オンライン 2020年4月20日)で、ディスプレーとの距離や長時間同じ姿勢をとるときの注意点などを書きましたので、参考にしていただければと思います。

また、3食お弁当が支給されるようですが、温められず冷たい食事しかとれない場合もあるようです。簡易ケトル有無の確認に加え、お味噌汁・コーヒーや紅茶を持ち込むことで、ほっと一息つけるのではないでしょうか。

一番大切なこと

ここまで療養に必要な生活物資についてお話ししてきましたが、やはり最も大事なのは、他人とのつながりです。

家族や友人と1日に1度は話す習慣を

家族や友人と毎日連絡を取り合う、チャットグループ、SNSのつながり、どんな形でもよいので1日1度は他人と話す習慣をおすすめします。同じ「つらい」という気持ちでも、自分の感情を心の中で思うことと、それを外部に発信することには大きな違いがあります。言葉や文章にして誰かに伝えることで、気持ちを受け止めてくれる相手がいる安心感を得られるだけでなく、感情の整理ができると同時に心の浄化作用(カタルシス)を得ることもできます。

なお、言葉は1分間に約600文字話せると言われているため、可能なら文章よりも音声で伝えたほうが、たくさんの情報のやり取りができ、より効果的です。

まだまだ外出自粛が続き、先の見えない状況が続いていますが、一人ひとりがしっかりと感染に対して備えることで、被害を最小限にとどめることができると考えています。こうした生活用品などの準備は災害時の対策にもなりますので、ぜひ積極的に取り入れていただければと思います。

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上原 桃子:医師・産業医

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