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2020.06.02

「なぜこんな場所にカビが?」の理由がわかる。知っておきたいカビの基礎知識

kencom公式ライター:春川ゆかり

日頃気をつけていても、いつの間にか黒く広がっている「カビ」。
家の中でも特にお風呂場や洗面所といった水回りに繁殖しやすく、特にこれからの梅雨時期にはクローゼットや靴箱など空気がこもりやすい場所にも注意が必要です。

今回は、そんなカビにまつわる基礎知識について、ナチュラルクリーニング専門家・本橋ひろえさんにお話を伺いました。

<基礎知識>そもそもカビって何?

梅雨の長雨がある日本では馴染み深いカビですが、ちゃんと理解している方は少ないのではないでしょうか。
実は、カビの正体は「菌(真菌)」!つまり、キノコや酵母などと同じ仲間と言えます。また、一般的に家に生えるカビといえば黒色をイメージしますが、食べ物に生えやすい青色や緑色、ピンク色などさまざまな種類が存在します。

カビの芽となる胞子は直径3~10μm(マイクロメートル)と小さいため肉眼では見ることができません。黒ずんだ場所だけがカビだと思いがちですが、肉眼では見えない小さな胞子は空気中にも漂っているので「黒ずんでないから大丈夫!」という判断は禁物です。

カビが生える3大条件

定期的にお手入れしていたはずなのに、気付けばカビが生えていた…なんて経験をした人も多いのではないでしょうか。
カビは「温度」「湿度」が高い場所に「雑菌のエサとなる栄養」が加わることで繁殖につながります。

<カビが発生しやすい条件>
・温度:温度が20℃以上で換気が悪く、常に暖かい場所
・湿度:水気を取り切れないお風呂やキッチン周辺の水回り、梅雨時期の換気の悪い場所など
・栄養:シャンプーの洗い残し、皮脂や髪の毛、食べ物のカスや油汚れなど

つまり、水気が多く温度も高いお風呂や、食べ物のカスが付きやすく温度が高くなりやすいキッチンなどは、まさにカビにとって最高の環境。この3大原因のどれか1つでも取り除くことができれば、カビが発生しにくくなります。

身体への影響は? アレルギーを発症することも

先ほども述べたように、カビの小さな胞子は空気中に漂っているため人が吸い込んでしまうこともあります。

その結果、鼻炎や湿疹・かゆみなどのアレルギー症状に悩む人もいます。この症状はカビの量によって変動するため、梅雨の時期には症状が強く出やすいといったことも。
また、カビの中には発がん性をもつ種類もあります。有害性の高いカビの判別ができれば良いのですが、専門知識を持たずに色や生える場所などだけで区別するのは難しいため、カビを発生させないよう日常的なお手入れを心がけましょう。

空気中を漂う胞子を防ぐのが大事

目に見えるカビにどれほど気をつけていたとしても、思わぬところに黒ずみができてしまうこともあります。
家の中に発生するカビは、湿気や温度の高い場所だけに生えると考えがちですが、小さな胞子が空気中を漂い、一つの発生源から別の場所に広がってしまうケースが少なくありません。

例えば、お風呂場。水気が多くシャンプーの残りカスや皮脂といったエサも豊富なため、夏場に限らずカビが生えやすい場所です。そのお風呂場のドアを開け閉めしたり人が出入りすることによって、カビの胞子がお風呂場から廊下、廊下からリビング・寝室などに移動し、カビの胞子が家中にジワジワと広がる原因になります。

つまり、カビ対策は黒ずんだ場所だけを見るのではなく、「家全体」で大きく捉えてカビを繁殖させない対策・予防を行うのが重要です。

お風呂掃除がカビを制する!梅雨前に対策を

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梅雨時期にカビを発生させずに快適に過ごすには、やはり日常的なお手入れが重要です。

中でも、カビの発生源となるのがお風呂場です。ゴムパッキンの黒カビやタイルについた赤カビなどの目に見えるものはもちろん、浴槽や排水口など見えにくい場所に発生したカビの胞子が空気中を漂って家の隅々に菌を運んでしまう原因に。梅雨前にお風呂場を徹底的に掃除することで、家全体のカビの発生をグンと抑えることができます。

お風呂のカビ予防方法

カビ予防や黒ずんだばかりのカビであれば、強い洗剤を使わなくても除去・除菌ができます。界面活性剤を使用した泡タイプの洗剤は洗い残しがカビの原因になることもあるので、重曹やアルコール消毒などで対処するのがおすすめです。

カビの予防・黒ずみはじめの対処法

・タイルやゴムパッキン:タイルや床を軽く濡らし、重曹を粉のまま振りかけ先の細いブラシで擦って落とす
・バスタブ:軽く濡らし、重曹を粉のまま振りかけメッシュクロスで擦って落とす
・排水溝:毛髪などの汚れを取り除いた後、重曹を振りかけてメッシュクロスなどでヌメリや黒ずみを擦って落とす
・換気口:換気口のフタを取り、ホコリがある場合はハンディワイパーでホコリを取る。その後、アルコール水(消毒用アルコール90mlに対して水110ml)で拭き掃除を行う

お掃除をした後は、スクイージーなどでしっかり水気を切り、排水口のパーツなどは乾かしておきましょう。また、乾いてから消毒用アルコールを吹きかけておくと予防に効果的です。
※2020年5月現在、新型コロナウイルスの影響で消毒用アルコールが不足しています。

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なかなかお手入れが難しいカビ対策ですが、「なぜ発生するか」がわかると予防・対策が取りやすくなり、水気を切ったり、換気したりなどのちょっとした一手間で生えにくくなります。

カビは根が深く張って黒ずんでしまったらなかなか取り除くことができません。だからこそ本格的な梅雨が始まる前に大掃除することで、繁殖を抑えられるだけでなく、生えてしまったとしても落としやすくなります。効率的に対策を行い、今年の夏はカビに悩むことなく、快適に過ごしましょう。

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本橋ひろえ(もとはし・ひろえ)

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北里大学衛生学部化学科(現・理学部化学科)卒業後、室町化学工業株式会社(現・室町ケミカル株式会社)にて合成洗剤製造などを担当。結婚後、掃除・洗濯・洗剤を主婦目線で、かつ科学的に解説するナチュラルクリーニング講座を開始。著書に『ナチュラル洗剤そうじ術』、『ナチュラルおそうじ大全』など。

著者プロフィール

■春川ゆかり(はるかわ・ゆかり)

フリーライター・編集者。大手IT企業にてウェブメディアの広告やマーケティング業に携わる。その後フリーランスのライターとして独立し、住まい・子育て・ヘルスケアなどのジャンルで執筆。

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